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<スペシャル対談>「習慣化サポート×カスタマーサクセス」新たなパートナーシップがもたらすコミュニケーションの未来

企業の営業・マーケティングを支援する株式会社ダイレクトマーケティングミックス様は、弊社が2023年2月7日に発表した資金調達「総額5.4億円の資金調達を実施し、ウェルビーイング領域へ本格進出」の際に、出資いただいた企業様の1社です。

習慣化サポート運用における、カスタマーサクセス業務の協業を見据えてご出資いただき、2023年5月現在、既にコラボレーションがスタートしています。

今回の対談では、株式会社ダイレクトマーケティングミックスの土井 元良 氏をお迎えし、WizWeへの出資の経緯や、協業することにより見えてくる未来などについてお話を伺いました。

・株式会社ダイレクトマーケティングミックス 取締役 兼 執行役CFO
 土井 元良 氏
・株式会社WizWe 代表取締役CEO 森谷 幸平


10年前の出会いとハイブリッドセンター

森谷:最初に接点があったのは、ダイレクトマーケティングミックス(DmMiX)様の小林 祐樹 取締役 兼 代表執行役社長CEOが、株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング(CRTM)様の社長をされていたときですね。ある方の引き合わせで、CRTM様のグループ会社がM&Aをした「オンライン英会話イーフレンド」の展開を一緒にしましょうというコラボレーションの話がありました。

イーフレンドを法人向けにご提案する、シンプルに言うと販売代理をすることになったのですが、最初に決まったのがサントリー様でした。そして、今はそのイーフレンドがNOVA様にエグジットして、GEOSオンラインという名前に変わっています。そもそもCRTM様に作っていただいたご縁でNOVA様に行き、NOVA様にはMBOのときに支援をしていただいたという経緯があります。 

実はずっとご縁があって、WEICがSALES BASEという営業支援(Sales Tech)の事業を始めたときに、CRTM様が株主になって下さいました。WEICでCRTM様と事業上のコラボレーションをしていたこともあります。私は、そこでカーブアウトしてしまいましたが、小林社長とは10年前からのお付き合いになりますね。

土井氏(以下、土井):10年前なので小林は30歳ですね。

森谷:当時からCRTM様はすごかったですよね。そのときから売り上げがずっと伸びていらっしゃって。すごい会社だなと思っていました。

土井:当時はまだ、ハイブリッドセンターという標榜はしていませんでした。当社の立ち位置を際立たせるという観点で、上場の少し前からハイブリッドセンターと言い始めました。

従来の日本のカスタマーセンターは、お客様の明確なニーズ、何かを聞きたい、何かを申し込みたい、何かの困りごとがあるというお電話を受けて、事務的な処理を行うことに特化しているものが主流でした。一方で、当社は小林をはじめとした創業メンバーが営業出身であったこともあり、アウトバウンドコールという形で、サイレントなお客様やまだニーズが顕在化してないお客様に対して、能動的に働きかけることを強みとしており、これが当社の最も重要な特徴です。

その特徴に一般的な問い合わせ等を行うカスタマーセンターを組み合わせることで、さまざまなユーザーの悩みに対応できるプラットフォームになるのではないかという発想で、当社のポジショニングのユニークさをアピールすることも含めて、ハイブリッドセンターを標榜し始めたという経緯です。

森谷:会社名に「カスタマーリレーション」とついているのが象徴的で、10年前から「カスタマーリレーションだ」とおっしゃっていましたね。

土井:アウトバウンドコールセンターというと、瞬間的な利益の最大化の追求を行うビジネスモデルを思い浮かべる方も多いかと思いますが、当社は、目先の利益に拘るのではなく、長期的な視点でのエンドユーザーとの関係構築、さらには、それを通じた中長期的な利益の最大化を重視しています。

日々のエンドユーザーと直接対話を通じて、サービス・商材や当社のコールスタッフを気に入っていただき、ロイヤルカスタマーになっていただくことで長期的な関係性を築くことができるのではないかという想いを持っており、それが当社の起業のきっかけでもありました。そうした背景から「カスタマーリレーション」という言葉を社名に採用したと聞いています。

森谷:今でこそカスタマーサクセスというコトバが広まりましたが、2012年か13年くらいにはCRTM様はもうおっしゃっていて、早かったですよね。初めて聞いたときはすごく新鮮でした。カスタマーサクセスというコトバはまだまだ一般的ではなかったので。 

土井:ハイブリッドセンターという名称は、インバウンドとアウトバウンドのハイブリッドという意味でつけたと理解しています。当然、これをさらに進化させていくことが、勝ち続けるための一つの切り口だと思っています。 

現時点では電話が主要なコミュニケーション手段ですが、それは結果論であって、目的はエンドユーザーと直接コミュニケーションを取り、関係を深め、悩み事を聞いて、それを解決することです。ですから、それがかなうチャネルであれば、積極的に活用してきたいと思っています。

AIの導入についてですが、当社は人と人の接点を非常に重視しています。そうではないところを機械化できるのであれば、機械に任せて合理化、スピード化を図るのが良いと思っています。ただ、対話の相手がAIだと分かると、不快感や不信感を感じる方も多いのではないでしょうか。たとえたどたどしくても、人が自分に対して頑張って接客をしてくれると感じられた時、体温を感じて響くことがありますよね。当社が最も大切にしているのは、そういった人と人の接点の部分です。

森谷:そうですね。私たちも効率化したり、自動化システムを入れたりしていますが、基本ヒューマンコミュニケーションだと思っていますので。その点は本当に同意します。

土井:ChatGPTのようなものが出てくると、当社の業務についても今後AIに置き換わるのではないか、という意見をいただくこともあります。しかし、悩み事がある人であればAIの「何番を押してください」というオートコールから受けるストレスに耐えられても、悩み事がない、またはニーズが顕在化していない人に対して能動的に働きかけようとした時に同じことをすれば、その瞬間に電話を切られますよね、というご説明をすると、そうしたご意見をいただいた方々にもご納得いただくことができます。

「明確なシナジーがある」とんとん拍子に進んだ出資

土井:出資に至る最初のきっかけは小林からですね。

森谷:そうですね。DmMiX様の事業を存じ上げているので、コラボレーションで客先を開拓できる可能性があると思い、小林社長にアポを取りました。事業提携の営業を掛けに行ったので、資本の話をしに行ったわけではなかったのですが、かなりシナジーがありそうなので出資もあり得るというお話が出ました。ちょうどその頃、弊社は調達活動をしていたのでという流れですね。

土井: われわれの既存の顧客企業の困りごとは、ひとたび売ったのはいいけれど、その後どうやってお客様に継続していただけるのかというところです。とてもいい商品なのに、料金が高ければ高いほど、あるいは長期間になればなるほど、人というのは買った瞬間に買う前に描いた未来を忘れてしまう傾向があると思います。まさに習慣化が課題なのですが、そこをうまくできずにやめてしまうということが多いです。

そこに対して、正統派のアプローチではないところに顧客企業のコストをかけて、それでうまくいかないという共通の課題認識がある中で、WizWeさんの習慣化の話を聞いて、まさにこれですよねということで、とんとん拍子に話が進んでいきました。 

本当に優れた企業さんの場合、他と組まれてしまうと怖いので、ぜひ出資させていただきたいという話はいろいろなケースでさせていただいています。本件はまさにその形の一つですね。

森谷:全てオンラインで決まりましたね。

土井:社長の森谷様は小林と旧知の間柄で、人として本当に素晴らしい方だと聞いていましたので、直接お会いしてどんな方か確かめたいという話にはならなかったですね。 

森谷:弊社も協業が大変ありがたかったです。「大きいオーダーが来たらどうするのか」とよく聞かれるのですが、そんなに大量に人材を採用して育成することができません。実はDmMiX様とのコラボレーションでというお話をすると、外部の方からも納得していただけますね。 

土井:われわれは、100名でも500名でも1,000名でも用意できますので。

森谷:何名までできるのか、御社の習慣化サポーターは何人いるのかと必ず聞かれますから。

本当に、10年前からの縁に助けられているように思います。CRTM様がいなければ弊社の習慣化事業はなかった可能性もありますから。 

土井:もし本当にそうだったとすると、すごいご縁ですよね。

森谷:最初にもお話ししましたが、CRTM様にいただいたチャンスで英語サービスを販売することができ、その結果、サントリー様ともつながっています。サントリー様とのプロジェクトで習慣化事業を一緒に作っていきました。その時の皆さんが今の株主でいて下さる。不思議な歴史を感じますね。10年前が今につながっている。 

土井:リレーション構築の打率の高さがすさまじいですね。

森谷:縁がつながっていますね。本当にありがたいなと思っています。最初の協業のとき、すごく楽しかったです。懐かしいですね。

コラボレーションスタート!エンドユーザーとのリレーションで世界観が変わる

森谷:DmMiX様とのコラボレーションが4月からスタートしました。コンタクトのコールはCRTM様と、私たちの習慣化サポートを組み合わせて行っています。

土井:当社は、ニーズが顕在化していない方のニーズ喚起を行い、サービス・商材を気に入ってご購入いただくまでのサポートは得意です。ただ、顧客企業、特にサブスクリプション型のサービス・商材を提供する企業にとっては、初回購入後の継続がかなり重要になってきます。そこで、まさにWizWeさんの習慣化が当社にとって大きな武器になると思っています。当社はWizWeさんとの連携を通じて、上流の販売から下流の習慣化までカバーし、長期継続ユーザーを確保するための環境を構築できると考えています。

森谷:ヘルスケア事業の話が来るときには、結構ご相談しています。すごくお強いので。お電話が発生するときには弊社のリソースだけでは難しいので、CRTM様がいないと崩壊ですよ。

土井:当社は様々な顧客企業とお取引をさせていただいており、凡そ日本の全消費者をカバーしているような業態ですが、日本の人口の半分がデジタルのチャネルでアプローチしても全く動かせない層です。

総人口の年齢の中央値が50歳を超えていて、消費者層では約60歳になります。そうなってくると、電話が最も有効なチャネルです。

森谷:そうですね。しかも面白いことに、習慣化サポートになるとお電話の接続率は40~50%と高くなります。最初に私が担当サポーターの〇〇ですとコンタクトしているので、結構お客さんが電話に出てくださいます。

土井:営業電話は、普通切られてしまいますよね。投資家の方々にも「どうして切られないのか?」とよく聞かれるのですが、当社はコールドコールではなく、「いつもお世話になっています。〇〇社のXXです。」と顧客企業の名前でお電話をします。既に認知されているので、安心感を持っていただける。一度心を開いていただけると、利用状況や新しいニーズなど色々お話していただけますので、そこも強みです。

当然スクリプトなどでエンドユーザーの心を掴む工夫はしています。ですが、何より自分が加入しているサービスからの電話であるということが一番大きいです。お客様のことをよく知った上で、クオリティーの高いコールをしているというところは、とても大切なポイントだと思っています。

森谷:コールを担当する人材に必要なことは、お客様の在りたい姿に寄り添うような想い、そして、丁寧に日々サポートしていくことですね。やる気やお客様に共感する姿勢がとても大切だと考えています。また、弊社の習慣化サポーターの場合は会話が発生するので、コミュニケーションが好きであることですね。

土井:そうですね。われわれもコミュニケーターや販売員のハイパフォーマーと呼ばれる人たちは、本当にコミュニケーションが好きです。好きという気持ちが声のトーンに出ているので、相手も安心感や親近感を持って接してくださいます。

土井:コミュニケーターの仕事は決して簡単ではありません。お客様ご本人も気づいていないニーズを掘り起こしにいくわけですから。安くなるといった明確な効用が提示できれば極めて簡単ですが、場合によっては、現状より高いプランを販売することもあります。コミュニケーションをしながら欲しいものを作っていく、形にしていくという部分がとても面白いですし、やりがいのある仕事だと思いますね。

森谷:人口が減っていくので、対人のご連絡というもの自体の付加価値が自然に上がるはずですよね。すごく価値が発揮しやすくなるのではないかと思います。

土井:デジタル領域が拡大すればするほど、その価値は希薄化していくと考えています。例えば、1,000通超えるメールの中で、実際に開封されるのは10通程度といった状況もあります。当社は違ったアプローチで価値を訴求していきたいと思っています。何千通とメールを送ることより、1分1秒をしっかりお客様と向き合って話すほうが響くと思いますので。

今までは、あくまでエンドユーザーから問い合わせをいただいたり、明確ではないもののリクエストをいただいたりした後に、ではこれはどうですかと提案をする、コンシェルジュのような形でした。しかし、WizWeさんとの連携による習慣化に対するサポートとなると、こちら側からエンドユーザーに踏み込めます。エンドユーザーとのリレーションが作れるので、世界観が変わると思っています。

森谷:人間の存在がもう会話ですよね。発話、文字、ボティランゲージなど色々あると思いますが、双方向のコミュニケーションによって人格が形成されるように思います。発話だけに限定されないので対話と言えますね。対話が人間存在の中核に思います。逆に孤独はキツイ。孤独の対極が対話であり対話が社会を形成しているように思います。

土井:私も入社した際に当社のコンタクトセンターで研修して、1カ月間電話をかけ続けました。その時に、これは機械に置き換わるのではないかと心配をしていたのですが、新人がたどたどしく案内していても、頑張っているからと買ってくださる瞬間を目にすると、これは絶対に機械に置き換わらないと確信しました。本当に人間が全員働かなくてもいいぐらいの時代、全て機械がお世話してくれるような時代にまで進めば置き換わることもあるかもしれないですが、私は最後の最後まで人の役割は残るだろうと思っています。

森谷:弊社は習慣化サポートというサービス業態ですが、基本は会話ですね。会話にはボイスや文字、手紙、ボディーランゲージもありますが、コミュニケーションというものが根幹だと思います。人間には生活空間の中で見えない壁があると思っていて、壁の外はシャットアウトします。最近は通知や連絡がいらないと閉じてしまいますよね。

そこはそういうものだと思ったときに、生活圏内の中のコミュニケーションというポイントはすごく価値があるのではないかなと。今、人口が減っていって、孤独が進みそうだと言われているので、電話や手紙によるコミュニケーションというのは、非常に重要になってくると思っています。

「カスタマーサクセス×能動的なコミュニケーション」ビジネスモデルとして一緒に作り上げたい

森谷:Smart Habitがヘルスケア業界において、今のように大きく可能性が広がるとは開発当初は、まだ想像できていなかったです。ヘルスケアピッチで優勝するとは予想もしていませんでした。

土井:日本人はきちんと話を聞きますし、リスクに対する感受性も高いので、ヘルスケア領域の未病というところには結構ハマると思いますね。真面目なので、しっかり服薬指導をしたら、しっかり薬を飲むというように。

森谷: 特定保険指導が大きいですね。やはり、初期的にお電話はとても大切な行動介入になってきます。生活習慣病の服薬継続のような話になってくると、何千万人という単位になりますので、ここはニーズがものすごくあります。

健康食品もかなりの数がありますよね。現状は、いつ飲まなくなるのかが分からないので、定期的に確認をする手段さえあれば、2週間目で飲まなくなるのか、1カ月目で不満があるのかなどが分かってきます。これも大きなマーケットですね。

あとは、薬局がオンラインになってくるので、それも面白いと思っています。今までのヘルスケアは正解を出すというものだったのですが、今後、顧客センターでやっていくとなったときに、生活者さんの視点がすごく重要になってきます。この領域をきちんと解像度を上げていかなくてはいけないということで、カスタマーリレーションやカスタマーサクセス的な視点が急速に求められているようです。 

土井:今までの薬局のビジネスモデルでは、売った後にお客様に能動的に関わるという発想がありませんでしたからね。

森谷:オンライン薬局は、より生活者さんが便利なようにという思考回路で変わり始めているという印象です。 

土井:旧来型の産業のDX化というと、われわれの主要クライアントもまさにそういったニーズを持っています。そのような顧客企業に対しては、ソリューションとして提供していきたいですね。ヘルスケア領域を始めとして、様々な領域でオンライン化が進んでいくけれど、人と人の接点は欠かすことができない。そこに私たちが登場し、カスタマーサクセスまで踏み込んで能動的にエンドユーザーとコミュニケーションを行う。そういったビジネスモデルをWizWeさんと一緒に作り上げたいと思っています。

この先にはものすごく大きなマーケット、社会的意義、トップラインなどが待っているのだろうなと思いますので、コラボレーションが本当に楽しみです。

森谷:本当にありがたいです。必ず、どうやって拡大していくのですかと聞かれますので。 

土井:当社は、セールスプロフェッショナルやその能力素地を持った素晴らしい人材をたくさん用意することが本当に得意です。WizWeさんがCXプラットフォームの設計に専念していただいても、あとは全部当社が追走していきます。

森谷:素晴らしいです。よろしくお願いします。