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<スペシャル対談>習慣化というユニークな事業に出資を決めた最大の理由

WizWeは、2023年2月7日に、プレスリリース「総額5.4億円の資金調達を実施し、ウェルビーイング領域へ本格進出」を発表しました。

今回ご出資いただいた企業様の1社であるエムスリー株式会社様とは、ヘルスケア事業の未病予防領域への習慣化ソリューションの連携、服薬アドヒアランス領域、食・運動の習慣化における協業などを見据えています。

今回の対談では、エムスリー株式会社の近藤一行氏をお迎えし、WizWeへの出資のきっかけや決め手、今後期待することなどについてお話しを伺いました。

(左から)近藤 一行 氏、森谷 幸平

・エムスリー株式会社
 事業開発グループ ディレクター  CVCチーム チームリーダー 近藤 一行 氏
・株式会社WizWe 代表取締役CEO 森谷 幸平


エムスリー様のビジョンに勝手にビビッと感じました


森谷:エムスリー様のビジョン「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを一円でも減らすこと」を見て、瞬間的にすごく素晴らしいなと思いました。
 
近藤氏(以下、近藤): 世の中をより良くしていく、社会に前向きな変化を起こすということが、企業が存在する意味と考えています。いろいろな問題が多い医療業界で、課題を次から次に解決していきたいという、そういう思いが込められたビジョンになります。
 
森谷:すごく大局観がありますよね。そこに具体的な数字が入っていることでリアルに感じられます。
 
近藤:WizWeさんも、100億人っていう数字が入っていますよね。
 
森谷:そうですね。わたしたちは「習慣化プラットフォームで100億人をありたい姿へ」というビジョンです。最初は全ての人にというちょっと曖昧な単位だったのですが、人口は100億人以上にはならないだろうという統計もあり、壮大なビジョンにしました。
 
近藤:弊社は一人一人と考えているので、100億人と対極で面白いかもしれないです。

森谷:思いは一人一人のユーザーさんに寄り添うという思いでやっていますので、同じような世界観や志を持った企業様だと勝手に共感しました。ビジョンでビビッと感じて、何かしら貢献できることがありそうだと思いましたね。
 
エムスリー様の「1人1円ファンド」についても、裏にある世界観をビジョンから感じました。
 
近藤:ありがとうございます。「1人1円ファンド」も、まさにビジョンから来ています。基本的な活動は、ヘルスケア領域を中心とした、社会課題解決に取り組むベンチャー企業を支援させていただくということなのですが、資金だけではなく、エムスリーグループの多岐にわたるリソースを活用して、投資先企業のグロースの加速化に貢献していきたいと考えてやっております。

ベンチャー投資の実績は、1人1円ファンドを開始したのが2019年10月で、その前からも含めるとIPOで14社です。

WizWeに興味を持った「ICCサミットFUKUOKA2022」のピッチ動画

近藤:WizWeさんへの出資のきっかけとしては、もともとフォースタートアップスさんから資金調達中のベンチャー企業をご紹介いただいていたのですが、WizWeさんもフォースタートアップスさんからのご紹介でした。
 
初回の面談の前にいろいろ調べさせていただき、 「ICCサミットFUKUOKA2022 スタートアップ・カタパルト」のピッチの動画をまず拝見しました。すごく華々しいものがあって、とても面白いと思いました。ピッチの文字起こし記事も拝見し、すごく興味を持ちました。
 
森谷:ありがとうございます。 

近藤:初回の面談に森谷さんと津野さんにご参加いただき、直接お話を伺ってやっぱり面白いなと思いました。
 
特に印象に残っている点が三つあります。
一つ目は習慣化というところが、これまでに聞いたことのないテーマで、すごくユニークな事業だなということで印象に残りました。習慣化の理論や独自のノウハウがあることでデータがたまってきていて、統計的にこうなのですとご説明くださって、それがすごく説得力がありました。まず面白いなと直感的に感じました。
 
二つ目が、具体的な成功事例があるというところです。私自身もオンライン英会話やフィットネスジムにも行っていますので、自分自身の体験としてもサービスがイメージしやすくて、分かりやすかったです。
 
三つ目は、投資検討の視点で重要な、スケールするかどうかというところのイメージについてもご説明くださった点です。お客様が慣れてくると、ゆくゆくは社内でオペレーションを回せるようになってくる。最終的にはシステムにデータがたまっていくので、システムだけSaaS的に提供して、安い価格でお客様に使っていただくということが考えられるよねといった、スケーラビリティがあるようなイメージもご説明いただいたところが、すごくよかったと思っています。

ホワイト・ジャック・プロジェクトとの親和性

近藤:面談する前は、本当にそこまでヘルスケアなのかというところも分からなかったのですが、弊社が今注力しているビジネスが「ホワイト・ジャック・プロジェクト」という、予防医療や健康経営といったもので、そことの親和性はありそうだなと思っていました。
 
森谷:「ホワイト・ジャック・プロジェクト」については調べまして、これは相性良さそうだと思い気合を入れて臨みました。

Smart Habitは、もともとヘルスケアを想定してプラットフォーム化しています。最初は誰も信じてくれなかったのですが、サントリーホールディングス様との事例がちょうど出せそうな時期で、フィットネスクラブもはまってきていたところでしたので、フォースタートアップス様からお話をいただいた瞬間に、エムスリー様いいなと思いました。いいなというか、もう王者という感じだったので、ありがたかったですね。
 
近藤:いえ、とんでもないです。
弊社は、これまでは疾病発症後の治療が主たる事業ドメインだったのですが、これからは病気になる前の方々に、治療というよりも、むしろ予防や未病、健康を増進していくという領域に事業を拡大していこうということで、「ホワイト・ジャック・プロジェクト」として、今、いろいろな事業を立ち上げています。
 
例えば、M3PSP(法人向け健康医療相談サービス)という企業の健康経営のところでの貢献や、最近はEBHS Lifeという健診結果や生活習慣を元に生活者の余命と健康スコアを予測する事業も始めました。今まで指標がなかったので、健康経営もうまくいっているのか、うまくいっていないのか、何とも評価しにくかったのですが、そういった評価の指標を作って、それを良くしていく、そういう取り組みをしたらいいのではないかというところから始まったものです。

森谷:新しい事業を作っていくスピード感がすごいと思います。エムスリー様の規模でこのスピード感。新規性やオリジナリティも素晴らしいですね。わたしたちもそうありたいなと思います。
 
近藤: 新規事業は、本当に現場のニーズがあるのか、弊社がやることでユニークな付加価値を提供できるのか、そういった本質的かどうかという観点で考えています。うわべだけの提案や流行りだからというものは、あまり前に進まないようなケースが多いですね。その結果として突き詰めていくと、今まで世の中になかったようなサービス、より大きなインパクトを出せるようなサービスになっていくのかなという気はしています。
 
森谷:社内でスピードについてはよく言われますか?

近藤:スピードは重要視しています。スピード感を持ってやらないと大企業病みたいになってしまってよくないよねというのは、結構よく言われていますね。
 
森谷:弊社も口酸っぱく、ずっと言い続けようと思いました。スピード感。あと勝ち筋を捨てること。そうするとスピード感が出ると思います。一度これでいいかなと思うと、固定化すると思っていまして、うまくエムスリー様を参考にしたいなと思っています。
 
近藤:そう言っていただけるとありがたいです。
 

出資の大きな決め手「森谷さんに賭けたい」

近藤:今回の出資の決め手は、そこはもう一言で言うと、会社の経営者としての森谷さんに賭けたいというのが一番大きなところです。様々なピッチコンテストで優秀な成績を収めていらっしゃいますが、プレゼンテーションのスキルやQ&Aの対応力のすばらしさなどから、そういったものを日々積み重ねていらっしゃるのではないかと思いました。
 
また、創業のときから出資されているモバイル・インターネットキャピタルさんにもヒアリングさせていただき、森谷さんの評判を伺いました。人柄や経営に対するコミットメントの姿勢などが素晴らしいというご評価があり、それで出資させていただきました。
 
加えて、これからの注力領域がヘルスケアということで、事業面での連携で御社のグロースに貢献させていただける余地が大きいのではないかと感じたというところです。
 
出資の前に、いろいろな部署やグループ会社をご紹介し、協議をさせていただきましたが、すごく関心が高く、前向きなコメントがたくさんありました。本当に現場から必要とされているサービスなのだと理解できました。
 
実際、出資後も早速共同でセミナーを開催するなどの連携の話も進んでいると聞いています。そういった連携のところで、何かいろいろお役に立てればと思っています。

森谷:エムスリー様の持っていらっしゃる考え方やフィロソフィー、本質的なところをやっていくというようなところを、わたしたちも突き進んでいきたいという思いがありましたので、出資いただけると決まって、本当ありがたいと思いました。
 
また、昨年よりサントリーホールディングス様に資本参加いただいたことでヘルスケアの色がちょっと付いてきたので、ヘルスケア領域に注力したいと思ったときに、エムスリー様に出資いただけたというのは、すごく本質的なところというか、WizWeが得る色としても理想的だなと思いました。
 
同時に、責任感もズシンといただいて背筋が伸びました。しっかりやらなくてはという思いを新たにしたところはあります。よろしくお願いします。
 

投資先のベンチャー企業を通して、ヘルスケアを中心とした社会課題の解決に貢献


近藤:1人1円ファンド」では、投資先のベンチャー企業を通して、ヘルスケアを中心とした社会課題の解決に貢献していきたいです。また、ベンチャー企業の育成という観点では、政府の新しい資本主義にも入っており、日本経済の長年の課題でもありますので、社会的にもこういった活動というのは意義深いと思っています。
 
実は、Smart Habitのキャラクターが黒衣(くろこ)×時間(クロック)のClokko(クロッコ)ということで思ったことがあります。本来、投資家というのは起業家の黒衣でもありますので、今回、黒衣の黒衣として、陰ながら支えていきたいです。

森谷:素晴らしい。ありがとうございます。いろいろな方がClokkoについて言っていただけるので、作って良かったと思っています。

最初、色が黒で出て来たときに、どうしようか、明るい色のほうがいいのではないかと思ったり、社内でも聞いたりしたのですが、多様性やいろいろな考え方の色を混ぜ合わせると黒になりますし、わたしたちは黒衣の存在だということで、結果的に黒が一番いいと。Clokkoがあるおかげで、すごく習慣化サポーターとのやりとりがしやすいですね。わたしたちは黒衣だというのはみんな共通認識です。
 
森谷が言わなくても、みんなが同じ方向を向けるようにキャラクターを作ったので、わたしたちはこれですよというものがあることはすごく良かったと思っています。絵が上手な社員が、Clokkoのキャラクターをデフォルメして擬人化したイラストを描いたりして、勝手にいろいろ使われていますね。
 
近藤:すごいですね。ちゃんと浸透している。そういうところも含めて社内の文化醸成が上手ですよね。素晴らしいと思います。ベンチャー企業は、どうしても成長していく過程で、組織づくりで難しい局面があって、悩まれるケースがすごく多いです。そこで少し足踏みしてしまうケースもありますが、WizWeさんはいろいろ工夫されているので、そういうところを突破していけるのではないかと思っています。

多くの人を幸せにできるようなプラットフォーマーに!


近藤:今、ヘルスケアに注力されていらっしゃって、そこで習慣化のソリューションが広がっていくと、健康な人が増えて、社会が良くなっていきますので、社会貢献性の高い事業だと思っています。そこでWizWeさんのビジョンにもあるように、多くの人を幸せにできるような、そういった大きなプラットフォーマーに、今後成長していっていただきたいです。
 
森谷:ありがとうございます。頑張ります。
 
近藤:何かお手伝いできることがあれば、いろいろさせていただきたいのでおっしゃってください。

森谷:早く習慣化プラットフォームの開放というのをやっていきたいですね。この仕組みの勝ち筋は誰でもいけるはずで、これをわたしたちではない企業様が使って成果を上げると、レバレッジがかかりますので、早くその世界を作りにいきたいというのはすごく思います。
 
近藤:ある意味、代理店ではないですけれど、Smart Habitのシステムを使って、パートナー企業が何かソリューションを提供されるというような、そういう風に開放されていくイメージでしょうか。

森谷:おっしゃるとおりです。もう勝ち筋ややり方は全部入っていて、それを使うことで自社の利益にもなるし、そこのユーザー様の成果が上がるというような。その世界が到達点なので、もっと頑張らないと。直線的だといけるのですが、それを間接的にしながら成果を上げるというのが、一番やらなくてはいけないことだと思っています。ぜひアドバイスを!
 
近藤:お役に立てることがあれば。
 
森谷:本当に頑張ります。一つ一つ丁寧にやっていきます。スピードもマックスで。ありがとうございます。