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優れたデザインがコンテンツに必要な科学的理由

唐突な質問ですが、皆さまはデザインにどの程度関心を払っていますか?

デザインが経営に及ぼす影響力・重要性についてお伝えすると、アメリカにおける過去 10 年間の研究で、デザインを最優先する企業は一貫して成功していることが確認されています。

・Apple や Coca-Cola などのデザイン志向の企業が、10 年間で S&P 500 を 228% 上回る (2014 年、Design Management Instituteの調査)

・デザイン重視の企業は 5 年間で 32 %の収益成長率と 56 %の TRS 成長(2018 年、McKinsey の調査

あなたの会社が物理的な商品、デジタル製品、サービス、またはこれらの組み合わせに焦点を当てているかどうかにかかわらず、優れたデザインは重要です。

マッキンゼー (The Business Value of Design、2018)

日本においても経済産業省と特許庁が、2018年に発表した政策提言
『デザイン経営』宣言」からデザインを生かす考え方やその重要性が
公に認知されました。

デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を
表現する営みである。
それは、個々の製品の外見を好感度の高いものにするだけではない。
顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。
さらに、デザインは、イノベーションを実現する力になる。
なぜか。デザインは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。

「『デザイン経営』宣言」冒頭の一節より

ここでは主に物理的な商品と UX のデザインに焦点を当てていますが、他にもデザインで企業の成長、健全性を大幅に改善できる領域があります。
それはコンテンツ・マーケティングです。
ここでは、有力なコンテンツの一つである“レポート”に絞って、
話を進めていきます。

多くの人がデザインをないがしろにしている現状

レポートを作成するのに、多くの労力がかかります。
調査レポートであろうと、販促キャンペーンレポートであろうと、
情報を収集し、照合して、貴重な洞察に統合することは大変な作業です。

しかし、なぜこれほど多くの人がレポート作成に多大な労力を費やしながら、レポートのデザインをないがしろにするのでしょうか?

多くの場合、レポートは文章作成に力を注ぎ込まれ、
デザインについてはほとんど考えずに報告、発表されます。

これは、大きな機会損失です。

強力なレポートは、情報を抽出し、簡潔に伝え、
操作しやすい形式で提示する必要があります。

これにはデザインが大きな役割を果たしますが、見過ごされがちです。

デザインがレポートをどのように変えるか

優れたレポートには、人々が情報に基づいて意思決定を行うのに役立つ、
説得力のあるストーリーがあります。

優れたレポートデザインは、人々がそのストーリーを体験する方法を
大幅に改善することができます。
それはなぜか?

その答えは、私たちの脳は視覚的な情報があることで、効果的に処理できるからです。
聴衆がレポートをより簡単に解釈し、理解し、意味を見出せるようにしたい場合はデザインを優先すべきです。その科学的理由3つを次に示します。

1) 訴求力が高まるため

MITの研究によると、人間はわずか 0.013秒で視覚コンテンツを
処理できます。
これは、脳が本能的に美しいものに惹きつけられるからです。
色、形、その他のデザイン要素が注目を集めます。
スプレッドシートの数字の列は難解に見えるかもしれませんが、いくつかのカラフルなグラフは視覚的に刺激的で、すぐに興味をそそられます。

一層の訴求力を高めるためには、ビジュアルデザインが特に重要です。

Content Marketing Instituteによると、アメリカではB2B マーケターの 37% が調査レポートをコンテンツ マーケティングに使用しています。

溢れかえる情報の中で目立ちたいのであれば、視覚的に印象的で、単純なものが興味を惹きます。これは、SEO 対策にとって特に重要です。

Hoosh Technology と ISDIA の調査によると、Google の画像をクリックした全訪問者の 63% が Web サイトにアクセスします。

ここでのヒントとして、情報量が多い場合、ページに十分な余白を持たせ、視聴者を圧倒しないようにします。
また、明確な階層に用意することで、ページを簡単にナビゲートできます。また特定のハイライトをつけることで、特定の情報に注意を引きやすくなります。

レポートの内容を問わず、読者の注意を引き付け、維持していく必要があります。
美しくデザインされたレポートは、退屈でテキストの多いドキュメントよりもはるかに優れています。

2) 内容理解が早まり、深まるため

多くのマーケティング レポートは信じられないほど大量のデータが含まれており、読み進めるのは大変です。

ここで、データビジュアライゼーションの出番です。
なぜなら、聴衆が数字が何を言っているのかを「見る」のを助けることで、すべてのデータを解釈しやすくするからです。

脳は視覚的な手がかりを拾い上げ、視覚から即座に意味を導き出すことができます。
つまり、チャート、グラフ、またはその他の視覚的要素を含むレポートデザインは、プロセスや階層などの情報理解を早め、深く理解することに非常に役立つのです。

3) 記憶の定着に役立つため

脳が視覚情報によって、画像を識別し、意味を想起し、最終的に記憶に保存します。
ビジュアライゼーションに触れることで既に記憶されている脳のデータバンクを参照させ、新しい情報と、すでに保存されている情報に接続させます。

情報に触れた3 日後、10%しか記憶に残らないが、写真を追加すれば、65%記憶保持ができる。

Brain Rules Auth: John Medina

社内レポートを無駄にしないでください

多くの場合、レポートは社内で重要な意思決定を行うために使用されますが、そこに含まれる情報は、顧客、同僚、業界、および主要な出版社に関連している可能性があります。

したがって、レポートを最大限に活用する最善の方法の 1 つは、その洞察を独自のコンテンツ マーケティングに変換することです。

著名なブランドが、調査、レポート、データ、および洞察を、一般の人々とつながり、関与するのに役立つ素晴らしいコンテンツに変換した事例を以下に示します。

LinkedIn のワークフォース レポート

LinkedIn のビジョンは「グローバルな労働力のすべての労働者に経済的機会を創出する」ことです。

彼らはソーシャルプラットフォームを通じてこれを行っていますが、人々が自分のキャリアをより効果的に見つけてナビゲートするのに役立つコンテンツも作成しています。

LinkedIn のプラットフォームからの洞察を統合して出来るこのレポートは
アメリカの労働者プロファイル、企業プロファイル、300 万以上の求人情報、およびプロファイルに記載されている 50,000 のスキルが含まれます。

また100 以上のデータ グラフィックを含む、業界別の傾向と洞察が記載されており、この最新データは、求職者、採用マネージャー、メディア関係者などにとって非常に重要なリソースであり、LinkedIn のビジョンを実現するのに大きな役割を果たしているのです。

デザインを活用した、高品質なレポートを作成するためのリソースの用意が難しい場合や、プロのサポートが必要な場合は、メタコラムまでご相談ください。