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【人妻の性】


 おや南田教授、今夜はおバカな二人と一緒ですね。もう一軒行くみたいですよ、どこに行くんでしょう?


雅夫:ねぇ教授、この調査どう思います?

光治:そうそう、私も教授の意見が聞きたかったんですよ。

教授:なにこれ? 『週刊◯◯◯』恒例1000人アンケート。

今回のテーマは「人妻の性」 既婚女性1000人調査。

「不倫したことがある」22、8%

「不倫願望あり」15、6%

日本人既婚女性の性の実態を追究する。

 あはは面白いね。で、どうとは?

光治:だからですね「この調査結果を どう思いますか?」ってことなんですが……

教授:どうも思わないよ、たかだか週刊誌のゴシップ記事だろう。「どう分析するか?」なら、いろいろあるけどね。

雅夫:それ! そっちが聞きたかったんですよ。

教授:そんなの聞いてどうするんだ。キミたちのことだから、キャバに行った時のネタか?

雅夫:あちゃ、すっかり読まれてる。


光治:まぁそう言わずに「女性生態専門家」のご意見を。

教授:なんだその「女性生態専門家」ってのは。ま、いいだろう。

 まず「この調査が本当に行われ、この結果が偽りのないもの」ということを前提としてだが、

 世の奥様方にはその人相風体からして、どうひいきめにみても不倫などとは縁遠い人もいる。

 また新婚の奥様は、まだ不倫にそれほど積極的では無いだろう。そう分析すると、世の男性諸君がターゲットとする人妻の不倫率は、もっと高くなる可能性がある。22%が35%、40%と上がる可能性がかなり高いだろう。

 まずこれが1つ目。

雅夫:なるほど。

教授:次は サンプルをどう選んだか? だね。こんな内容のアンケートを、公正公平に行ったとはとても思えない。

 サンプルを公平にしたと仮定しても、内容が内容だけに解答の信用度はかなり低いだろう。またサンプルをSNSに絞ればかなり偏った結果になるだろうし、サンプルを出会い系サイト利用者なんかに限ったら、ほぼ100%に近い数字が出るだろう。

光治:確かにそうですね。

教授:そう言う観点から見れば、ほぼ信用するに値しないとも言える。ではなぜこんな記事を載せるのか? 冷静になって少し考えれば詭弁だとわかるこんな物を、いったい誰が読むのか?

雅夫:誰でしょう?

教授:ま、読んでいるのは暇をもて余した人。もしくはなにかをしていないと、とても耐え難い時間を必死に耐えている人。内容など嘘でもなんでもいいから、とにかく面白ければいいという人。現実逃避に走らないと自殺しそうな人。そして不倫に興味津々な人。とまぁこんなところかな~

 具体的な例としてだが、満員電車で通勤中のサラリーマンなどがよく読んでいるんじゃないかな。電車の網棚にたくさん置いてあるよ。


雅夫:なるほど、なるほど。そんな見方がありましたか。

光治:さすがは大学教授、見るところが違いますね。

教授:ま、こういう見方をすると『不倫率は高いほどよく売れる』ということになるな。「もしかしたら自分にもチャンスが!」なんて考えてる男は、こぞって買うだろうから出版社も大喜び! っていうところか。

雅夫:さすがですね、教授。

光治:勉強になりました。な、雅夫。


教授:なにをバカなことを言ってる、こんなものが勉強であるわけがない。キミたちは学校で、いったいなにを教わってきたんだ?

雅夫:なにを? って言われても…… なんだろう。

光治:勉強はしてましたよ、人並みにそこそこテストの点数もよかったし。

教授:困ったもんだ。学校はテスト勉強をするために行くところじゃない。点数をとりたければ塾に行けばいい。

雅夫:じゃ教授、学校はなにをしに行くところですか?


教授:いいか雅夫くん、光治くんもよく聞きなさい。

 勉強というものは、一生涯にわたってするものだ。「学校を卒業すればもうしなくていい」というもんじゃない。学校というところは「勉強をする方法を学ぶ所」なんだよ。

 卒業して一人になった時、自分で疑問点を考え、自分で答えをだす。そのための方法を学ぶんだ。答えは聞くもんじゃない、自分でだすものなんだよ。

 私だって若い子たちに物を教えてはいるが、そのために日々勉強に励んでいるんだよ。わかったかい。

光治:なんだろう、この違和感は? 今日の教授は本当に先生みたいですね。

雅夫:本当だ、まるで学校の先生だ。見直しましたよ。

教授:おいおい、キミたちは私をなんだと思っていたんだ。

雅夫:女たらしの飲んべえ。

教授:そこまでハッキリ言うか、少しは遠慮しろ。お! 着いた着いた。さぁ行こう。

光治:「行こう」って…… ここ キャバクラですよ。

雅夫:教授が「行きたい」って言ってたの、ここだったんですか?


教授:そうだよ、うちの学生がバイトしてるから教授割引がきく。大丈夫だ、キミたちの分も割引きするよう頼んでみるから任せなさい。

雅夫:光治ぅ…… オレたちは自腹らしいぞ。どうする?

光治:あの教授が帰してくれると思うか?

教授:なにをしてる、早く入らんか。

みよ:あ! 教授、来てくれたんだ。こっちこっち、早く~

教授:よう、みよちゃん。そのミニスカートとってもかわいいよ、パンツ見えそう。今日は何色のパンツはいてるかな~ 先生が見てあげよう。

みよ:やだぁ~ エッチ

雅夫:ミニスカート…… パンツの色…… ダメだこの人。

光治:偶然会ったときに嫌な予感がしたんだよな。

雅夫:しかたない、行くか……

光治:うん、そうだな……



 あらら教授ったら、今夜は先生らしいいい調子だったのに、もういつもの女たらしの飲んべえになってますね。

 そんなことばっかりしてると、大学 クビになっちゃいますよ教授!

 本当に困った人だ……




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