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【赤いぼうしの子供】

 ここは仙台の繁華街「国分町」の南側「大町界隈」です。


 五階建の雑居ビルの三階にあるカクテルバー「Reiko」 に例の三人組がいますね。

 某大学教授の南田さんとおバカな二人、雅夫くんと光治くんです。

 

 何だか三人とも妙に神妙な顔つきで、バーテンダーの香織さんの話を聞いていますよ。

 

 私のお友だちにナースしてる人がいるのね、彼女が昨日話してたんだけど……

 

 夜勤の日、深夜の廊下に十歳くらいの赤い帽子をかぶった男の子が立っていたんだって。


 彼女「なぜこんな時間に?」って思ったらしいんだけど、その時はすぐそばの病室の患者さんが意識不明になって、みんなバタバタしていたから声をかけなかったんだって。

 

 その患者さんはその夜に亡くなってしまって……


 少し落ち着いた頃に「そうだ!」と思って廊下に戻って探してみたけど、男の子はいなかったんだって。

 

 その階に入院している子供はいないから「おかしいな~」って思って、そのことを同僚に話すと、

「その男の子なら私も見たことあるよ」

 という人が続々とでてきたんだって。

 

 それでね、話をつき合わせていくと、「どうも患者が亡くなるタイミングで、その男の子が現れる」っていう結論になったらしいのよ。

 

 それからしばらくして、ある女性患者の部屋に行ったら、

 

「今ね、男の子と話していたのよ。どこに行ったのかしら?赤い帽子のかわいい子でね」

 

 そう言って首をかしげ、不思議そうにしていたんだって。

 

 もちろん、彼女が部屋に入った時には、患者さん以外誰もいなかったのよ。部屋を出ていく子供も見ていないんだって。

 

 その時彼女の脳裏には、例の男の子の姿がはっきり甦ったのよ。


 そして数時間後、その女性患者は容体が急変して亡くなってしまったんだって……

 


 どこ思います教授。怖いでしょう……

 

南田:う~ん、子供がね……

 

光治:似たような話、オレも聞いたことありますよ教授。

 

南田:光治くん、それはどんな話なんだい。



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