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”メガネデビュー”と言ってくれ。

3歳児検診の案内に、家庭でできる視力検査のシートが入っていた。
リボンや飛行機、イヌなどの絵が大きく書かれたものと、小さく書かれたものだった。

ハサミで切り取り、娘を既定の位置に立たせ、さっそく視力検査を行うと、
「わかんない」
「それもわかんない。全然見えない」
と娘が言い出した。
左目だけ、明らかに視力が悪いことがわかった。

とても驚いたが、ほんの少しだけ、想定もしていた。
私自身が弱視であり(娘と同じ左目)、幼いころにメガネをかけ、矯正していたためである。

視神経の発達は3歳がピークであることを知っていたため、すぐに眼科へ連れて行った。娘は3歳でメガネをかけることになった。
(子ども用の眼鏡はオーダーメイドなので高価だが、自治体や健康保険組合などから補助が出ることも多いよう。)

大人では誰もが当たり前に掛けるメガネだが、メガネをかけた子どもは稀有な存在。

幼稚園で何を言われるかなぁ、他のママたちにも(必要以上に)心配(反応)されないだろうか。
それをきっかけに、メガネをかけること(=治療の一環)を嫌がってしまうことを恐れていた。

母子ともにドキドキしながらの初登園。
朝の挨拶をしながら「あら!メガネ?」の後に続く言葉を遮るように軽く会釈し、ソワソワしながら、玄関に向かった。
(頼むから「かわいそう!」などは言わないで、と思いながら。)

娘が玄関で靴を履き替えているとき、
「あら!○○ちゃん、メガネデビューじゃん!大人の仲間入り!
と声をかけてくれたママがいた。

1歳から一緒の園に通う、私の尊敬する4児のママだった。
将来の夢が”大人のお姉さん”である娘は、満面の笑みを浮かべながら、軽やかに教室に入っていった。

「ありがとう、”メガネデビュー”か!さすが、素敵な言葉がけだね。」
と伝えると、ご自身のお母さんがメガネ屋さんを経営しているらしい。

「『メガネになっちゃったね』というのは絶対にダメよって。
デビューって言いなさい、大人なんて、ほぼ全員メガネなんだからって。」素敵なママは、ご自身のお母さんもまた素敵。

その後娘が、裸眼の息子を「○○くんだけ、まだお兄さんじゃないね」と言い出したのには若干不満があるものの、
メガネデビューを果たしそうなお子様には、是非お試しあれ!

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