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右?左?いや、いいから行け!

私は、割と、書き順は丁寧に守る。
習字を習っていたことが大きな要因だと思う。
まぁ、理由などはどうでもいいのだが。

書き順通りに書いて、とても上手に書けた
という経験を通じて、きっと書き順は大事なんだと無意識に感じたんだろう。
漢字の中でも大好きなのは
【飛】と【必】
【飛】という字は、出会った時に、
絶対に書けないと思った。
実際に、何度書いても上手にマスに収まらない。
でも、書き順の通りに書くと、不思議なことにマスに収まって、
かつ先生が書いたような字が書けることが分かった。
私は、そういうことがあると、休み時間、
下手すると授業中もノートや教科書の余白を見つけては、
感動した字を気が済むまで、無になって書き続ける癖があった。

そして【必】という字。
これは、大して多い画数でもないが、どうしても先生が黒板に書く
ように書けない。
なぜなら、心と書いて、右上から左下にヒョイって書いてたから。
筆順は大事だと認識していても、
そういうもんだと思い込んで、心にヒョイって書き続けてた。
でも、違うということを知り、正しい筆順で書くと
やっぱり、先生が書いた感じのような字が出来上がる。

また、例によって、気が済むまで 必必必・・・って
書いてた。

で、タイトルのギリシャ文字。
中学生か高校生の時に、この文字と出会った。
でも、αはaだし、βはBだし、γはrだと思い込んでいて、
さほど気に留めてなかった。

でも、どうしても、教科書に書いてあるようなβ、γにならない。
で、文脈的に分かると思うが、筆順が違ってたらしい。
βはなんと、下のヒョイって出ている下のところから
上に向かい、右に急旋回する形で数字の3を描くように書くわけだ。
γなんて、ありえない書き順だ。
左上から右下に降りて、バックして右上に行くもんだと思っていたら、
全くの逆。右上から下に降りて、バックして左上に行くんだって。
まず、その私の中の筆順の常識をぶち破る出来事に感動した。
そして、何より、その通りに書くと、やっぱり教科書通りに書けたことに、もう一回感動した。

で、儀式のように、βとγが教科書の余白に何百匹、何千匹と書かれるわけだ。

話は急展開するが、先日ふとYouTubeを観ていたら
モノマネ芸人の松村邦洋さんのモノマネを特集したものがあって、
何ループもしてしまった。
まっちゃんが昔から好きだったから、見入ってしまった。
学生時代にも、先生のモノマネをする人が周囲にいたが、

私はひたすらリクエストして披露してもらっては、笑う側の人間だった。
自分はどうしてもうまくモノマネというのができなかったから。

半沢直樹やVIVANTが大好きなので、
堺雅人さんのモノマネをしているまっちゃんを見て
ほれぼれしてしまった。
やっぱすげーなーって。

モノマネする人の何がすごいって、
今まで誰もモノマネしたことのないモノマネが認知されると
途端にそのモノマネが誰にでもできてしまうというところだ。
「ダンカン、バカヤロウ」
が象徴的で、実は、ビートたけしさんはそのフレーズを言ったことが
ないというのはよく耳にする。
でも、何となく言ってそうな気がするし、
そのフレーズを言うことで、ビートたけしさんのモノマネになっちゃう。

何か、象徴的なものがあって、それをモノマネする人が
発見・発明して、それを披露してバズる。
ひとたびバズれば、言った事実関係はどうでもよくて、
それをモノマネと世の中が認めた瞬間に、一気にそれで広まり、
言ったということになってしまう。


何かができなくて困っている時、
ふとしたきっかけで、できるようになる。
鉄棒の逆上がりもそうだし、
スケボーや竹馬だってそう。
100%できる人の動きを再現することは不可能だが、
ポイントポイントを押さえることで、
できるというゴールにたどり着く。

今、私は、あるプロジェクトのリーダーになっている。

それは、割と大きなプロジェクトで、それは誰もやったことがなくて、
今だって、向かう先が分からない。
今、選択肢があって右に進むのか左に進むのかを迷っている最中。
その分岐点は右が正解なのかもしれないけど、
判断のミスで左を選ぶことだってある。
きっと、これからの私はそのプロジェクトを進めていく中で、
右往左往しながら、反省と改善を繰り返し、
最終的にゴールらしきものにたどりつく。
結果、失敗というゴールにたどり着いてしまうかもしれない。
そして、こういうものは不可逆なものだから、あそこで右を選んでおけばよかった
と後悔しても仕方ない。

そもそも誰もやったことのないものだから誰かが通ってできた轍のようなものもない、まっさらなところを歩くこと自体に
感謝して、感動しておいた方がいいんだろう。
でも、まだ今のところその余裕もない。

あとで、もっと早くしておけばよかったとか
そういう思いだってきっとする。
でも、ぜ~んぶが、自分だけにしか体験できないことだから、
きれいなところを踏みまくって、轍を作ることが、今の自分の役割なんだと思う。

はじめっから、きれいな【飛】や【必】や【β】や【γ】
は書けない。
今やっていることは、新しい字を作ること。

今、こうして、こんなことをアウトプットしているわけだが、
さぁ、これからというところで、人生最大と言っていいくらいの
躊躇をしている。
はじめからきれいな【β】を描きたいんだろう。
でも、さすがにそれはできないし、
今やっていることの面白さは、それではない。
新しい字を作ることだ。

数か月後の夏、
とびっきりのいいものが作れるといいなと思う。
ただ、これまでも似たようなことを思ったし、書いたけど、
いいものを作っている、まさに【今】を一番楽しんでいる自分でありたいと思う。

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