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クライアントの潜在的な欲求や関心を見つけろ!

決まりかけていた2つの案件が吹っ飛んでしまい大打撃ですが、これは神様がくれた休憩時間だと思って、溜まった本を読んで、次の仕事のネタを準備して、そしてnoteの記事もう少し書いてみようと思います。

私の事務所では海外本社人事部の担当者への日本の労働法令に間するアドバイスを行っています。日本に進出する海外企業は日本法人を立ち上げても日本法人に人事の専門家を置くことはありませんので、何かあると私に相談があります。その相談で訊かれるのが「残業代は支払わなければなりませんか?雇用契約書には残業代の支払いはしないと記載してるのだから残業代は支払わなくて問題ないでしょう。」です。私は「きた!」と思って、いつもの説明を始めます。「管理監督者、裁量労働制適用者については時間外労働、休日労働については支払わなくても差し支えないですが、実態として適用出来るの場合は限定的です。これは日本の労働関連法令は工場制手工業の時代の工場法に基付いており「時間に対して報酬を支払う」ことが日本社会の前提となっているからです。この前提で現在まで法律が運用され、企業が運営されているからそう簡単には変わらないでしょう。こればかりは避けられないです。税金だと思ってください」と説明します。そして、ここからが私にとっては本題。私は「ここに従業員数に応じて人事に関してやらなければならないことの一覧があります。やらなかった場合の罰則と重要度(リスク評価)も記載しています。これらを完了すると人事に関するコンプライアンスは殆ど問題ないでしょう。これから一緒にスケジュールを立てて一つ一つ対応しましょう。」と同意を促します。多くの場合、自国の法令以外に知見がない海外本社人事部担当者は安心し、「では次のミーティングはいつにしましょうか」とビジネスに繋がります。

「残業代は払わなければなりません。それが法律ですから」で終わるのは非常に勿体無いと思います。残業代は払わなければならないことを知らないということは、そもそも日本の労働法を知らないということに起因する質問です。つまり、「もし何があっても残業代を支払わないという」スタンスではなく、法令遵守は必要と思っているが、何をしなけれならないのかを理解していないから問い合わせをしたのです。であれば、相手が関心があること(この場合は労働法令で定める義務)の全体像を可視化して共有することでクライアントに安心感を与える事が出来ます。そして安心感が私への信頼となり、次のビジネスに発展します。もし、ここで「残業代が支払わなければなりません。」という回答だけであれば、そこでクライアントとの関係は終わりかもしれません。相手が求めている潜在的な関心に刺さる提案を出来るかはビジネスの成長には重要なのではないかと思います。

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