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「メトロポリス」感想

手塚治虫、初期のSF漫画を映画化したアニメ『メトロポリス』。製作期間5年、最先端の技術を駆使し、総作画枚数15万枚を投入した本作がみせるのは、壮大なスケールで描かれた未来都市の姿である。

どのシーンを切り取っても画になるハイクオリティな作画はもちろんだが、手塚が原作で1ページを使って描いたモブ(群集)シーンを再現した映像はとにかく圧巻。緻密に描かれたリアルな背景とレトロな雰囲気を残した手塚キャラたちが融合することによって、温かみをもった世界が展開される。

物語は、文明の絶頂に達し感情をもつロボットを生み出すまでになった人類と、その先にある悲しみという原作のテーマを踏襲しつつ、オリジナルのストーリーを再構築する形で作られている。脚本を担当したのは『AKIRA』の大友克洋。監督は『鉄腕アトム』の演出もした、りんたろう。豪華スタッフの共演で実現した文字どおり超大作アニメである。(Amazon商品ページより)

手塚治虫、これを1949年に描いてるんですよ。インターネットない時代なんだよなあこれ。天才すぎる

あらすじ

ケンイチ少年とその叔父、私立探偵ヒゲオヤジこと伴俊作は、人とロボットが共存する某国の大都市メトロポリスへやって来た。生体を使った人造人間製造の疑惑で国際指名手配されている科学者ロートン博士を逮捕するためだった。
ちょうど、高層ビル「ジグラット」の完成記念式典の真っ最中で、町の広場でレッド公による演説が華々しく行われていた。が、ロボットが式典を妨害し騒ぎが起こる。そして、制服を着た1人の青年が平然とロボットを破壊して去っていった。
メトロポリスは、「人とロボットの共存都市」と言われていた。しかし、そこでは、ロボットたちが人間に酷使されていた。一方、労働者たちも、ロボットに働き口を奪われ、都市の地下部に押し込められ、ロボットに憎しみをたぎらせていた。ロボットに人間と同等の権利を認めるよう叫ぶ団体が存在し、また上層部ではレッド公とブーン大統領が表向きは手を取り合いつつ対立しているなど、さまざまな確執が噴出していた。
ヒゲオヤジとケンイチは、ロボット刑事ペロの手助けを借りて、ロートン博士が潜伏していると思われる都市の地下部ZONE1へと潜入する。そこで、彼の地下研究所を見つけるが、原因不明の火事が起こっていた。研究所内部に突入したケンイチは、逃げ後れた謎の少女を助ける。彼女は、大統領に成り代わり都市の実権を握る影の実力者、レッド公の亡き娘・ティマに瓜二つだった。そうとは知らないケンイチは、彼女を連れ脱出を図るが、ロボット弾圧の先鋒である過激派組織マルドゥク党の幹部ロックに狙われてしまう。ロックは養父であるレッド公が、ティマをジグラットの超人の椅子に座らせようとしている事が許せず、しつようにティマを破壊しようとする。

Wikipediaより

夢中になって観てしまう

3DCGをふんだんに使用した美麗なアニメーションはもちろん、緊迫したシーンでも妙にコメディチックな音楽、息も付かせぬ展開。ほんのり暖かさのあるラブストーリー。

広大な地下世界で、火事に巻き込まれ、革命に巻き込まれ、陰謀に巻き込まれて……
間違いなくSF好きが描いたSFですね!
胸が躍ります。

「どうして人間は、物事の解決の手段に暴力を用いるのですか」
『分かっているんだ俺達も。確かにそこが問題なんだ、感情ってやつがな。
その振幅の中で少しずつ進歩するしかないんだ。それを肯定しないと、俺達は生きていけないのさ』

このシーンは……本当に……

人間とロボットの愚かさ、悲惨さを鮮烈に描き出す

この映画、全く容赦ないです。銃持ったら撃ちますし、バンバン裏切りますし、ロボットは奴隷みたいな扱いを受ける。
甘えのないストーリーが心を抉ります。
恐らく多くのSF作品に影響を与えたであろう傑作です。

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