記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

FateHF感想(聖杯についての考察)

原作: Fate/stay night
監督: 須藤友徳
作成(?): 奈須きのこ

前置き

まず自分はFate素人で、冬木の他2ルートとExtracccを少しと、衛宮さんちのご飯しか知らないです。
ただこれだけ熱烈な支持を受け、エンタメを牽引しているコンテンツなので消化すべきだろうな、と思って鑑賞しました。

他ルートとの違い

鑑賞するにあたって、前もって評判を少し調べたのですが、「士郎(主人公)が唯一人間に立ち返るルート」「鬱」「重い」 というものが大半でした。

主人公の衛宮士郎は、正義の味方になりたい!自分は割とどうなってもいい!という考えを持つ人物で、作品舞台で起きた聖杯戦争という戦いを、周囲と協力するなどして何とかする人物です。

ヒロインの間桐桜は、ここに書けないくらいしっちゃかめっちゃかな半生を送って来た少女で、士郎と惹かれあって両想いになるものの、聖杯戦争で利を得ようとする者たちの策謀に巻き込まれます。

このヘブンズフィールというお話においては、士郎が桜のためだけに戦うようになって人間らしさを取り戻す事と、桜がとにかく重〜い人生を送ってきた事が、前述した評価に繋がっていると考えられます。

そもそも、ヘブンズフィールってなんぞや?

Fateにおけるヘブンズフィール(第3魔法)については、映画でその正体が語られますので、そちらは見ていただくとして。
天の杯ってどこからきた用語なんでしょうか。

天の杯、天の聖杯、heaven's feelなどで検索をしましたが、Fate記事にヒットしてしまいますね。
という事で聖杯を調べました。

聖杯(せいはい)とは下記の事物を指す。
キリスト教の儀式である聖餐に用いられる杯。カリス(羅:Calix 英:en:Chalice)。
キリスト教聖遺物のひとつで、最後の晩餐に使われたとされる杯(英:Holy Chalice)。
中世西ヨーロッパ聖杯伝説に登場する杯(仏:Graal 英:en:Holy Grail)。

Wikipediaより

①の聖杯 聖餐とは

聖餐というのは、キリスト教における「最後の晩餐」です。
聖書の言い伝え通り、パンとぶどう酒を口にする典礼的会食として、今日でも聖餐式とか聖礼典などと呼ばれて行われているようですね。
そうなると、②の聖杯と同じになっちゃいませんか……?と思ったのですが、どうやら少し違うようです。

キリスト教で聖杯(カリス)といえば、何よりもまずイエスの血をいれた杯のことを指します。
ミサ(聖餐会)などの儀式で使用する杯のこともカリス(Chalice)とも呼びますが、これとははっきり 区別する場合にはホーリー・カリス(Holy Chalice) と呼ぶこともあります。

伝承によれば十字架に磔にされたイエスの脇腹を刺した百人隊長、あるいはアリマタヤのヨセフと共にイエスの遺体を引き取ったニコデモが、イエスの体から流れ出した血(一説には血と水)を受けた杯で、最後の晩餐のときにもイエスが用いたとされるものです。

そんな出自ゆえ、聖杯には人智を超えたパワーが宿っており、それを手にした者は絶大なる権力を手に入れることができると信じられてきました。
ナポレオンやヒトラーといった時の権力者をはじめ、キリスト教の異端宗派・カタリ派(パトラン派)の修道者たちなど、多くの人々が権力やパワーを得ようと聖杯を探し求めたといわれています。

スピリチュアルな視点から情報発信「アイスピ」より

はっきりとした見分け方の記述はなく、サイトによっても認識が違っていたりするのですが、一番大きな違いとしては下記のようになりそうです。
①の聖杯はイエスが磔になった時の血を受けた聖杯
②の聖杯は、血を受けていない聖杯(ホーリー・カリス(Holy Chalice) )

②の聖杯 聖遺物としての聖杯

現在まで続く世界最大の宗教における開祖が使用した秘宝となれば、誰でも欲しいですよね。なので、これまでに4つも所在が確認されています。

1、エルサレム近くの教会にあったとされるもの
7世紀、ガリアの僧(Arculf)が聖地巡礼のさいに、エルサレム近くの教会でそれを見て、触れたと証言している。現在の所在は不明。
2、ジェノヴァ大聖堂にあるもの (sacro catino)
1101年にカイサリアで発見されたと伝えられる。ウォラギネの『黄金伝説』(13世紀)で触れられていたものと思われている。
3、バレンシア大聖堂にあるもの (santo cáliz)
イエスの弟子ペトロがローマに持込むが、弾圧の危険に聖杯はいったんピレネーに難を逃れる。その後スペイン内を転々とした後バレンシアに持ち込まれたと伝えられる。
4、メトロポリタン美術館にあるもの (Antioch Chalice)
1910年にアンティオキアで発見された。杯ではなく教会で照明用に使われたものと思われる。

奪われたり戦火で割れたりと、なかなか不憫な扱いを受けておりますね。

③の聖杯 聖杯伝説とは

書くのもう疲れてきたけどもう少しがんばります。

聖杯伝説(せいはいでんせつ)は、一般には騎士道文学での聖杯en:Holy Grail)を追い求める物語全般をいう。大半が12・13世紀の中世西ヨーロッパにおいて書かれた。

Wikipediaより

ヨーロッパにおいては聖杯というアイテムが大人気でして、他の伝説と結びついて複雑な発達をしていきます。

・アーサー王物語『アーサー王の死』
ガラハッドを含む3人が聖杯城で聖杯を見つける。ランスロットは聖杯城に到ることが許されるものの、不義の愛が原因で聖杯を見ようとした瞬間に倒された。ガラハッドは聖杯を奉じて聖地に至りそこで天に召される。
・ヴァーグナーの『パルジファル』
・それに触発されて書かれたジュリアン・グラックの『アルゴールの城にて』と『漁夫王』
・エリオットの『荒地』
・近年では、映画の『インディ・ジョーンズ』や『ダ・ヴィンチ・コード』
・いわゆる陰謀論の中では、ヒトラーや歴史上の様々な人物が聖杯を探して争ったとされる。また、そもそも杯ではないという説もある。

このように、手に入れられれば望みが叶うけれども、そう易々と扱えるものでもない、というのが共通認識のようです。

天のさかづき・・・天の・・・せいはい・・・

聖杯についてはよくわかりましたが、結局どこから来た用語なんでしょうかね?
そういえば、別のゲームによく似た用語があった・・・ような・・・

小僧……。


そうだね!ゼノブレイド2だね!

そう語るパッション屋良さん

天の聖杯と三位一体論

ゼノブレイド2の考察についてはこちらのブログ(記号論研究所)を推します。
読んでいただければと思いますが、ゼノブレイド2では三位一体論が中心となって物語を形成しています。

三位一体というのは、神様は3つの位格を持っておられるという考え方のことです。位格というのは、人間で言うと人格のようなものですね。そして、その3つの位格というのが
父なる神(“創造主”)
子なる神(”イエス・キリスト“)
御霊(みたま)なる神(”聖霊“)
です。
それぞれの位格に上下関係はありませんが、役割分担があります。

キートンの"キリスト教講座"より

ゼノブレイド2は、既に完成された世界観の再定義すべく、
ライプニッツが提示したジオコスモス(大地世界)を踏襲し、
キリスト教の三位一体論と取り合わせています。

RPGの類型として用いられるボーイ・ミーツ・ガールを、
神学的に解釈したのはなかなか面白い試みで、
ジュブナイル色を前面に出した演出も好印象です。

記号論研究所より

ここからは私の考察です。
FateHF内で士郎とイリヤが過去の記憶を巡った時、御三家の当主が揃い踏みして、第3魔法を実現するために聖杯戦争を始めましたよね。
・霊地の管理者だった遠坂が「土地」
・呪術に優れた間桐(マトウ)が「サーヴァントの技術」
・錬金術と第三魔法を司るアインツベルンが「聖杯」
上記をそれぞれ提供。

このように御三家、第3魔法と”3”にかけられた仕組みの数々。

ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンが体をぺっちゃんこにして聖杯になるのですが、この時の寝そべり方はイエス・キリストの十字架を連想します。
そもそもの聖杯をつくった悪の根絶という目的も、人間がアダムとイブの頃から背負っていた罪を赦すためにイエス・キリストが十字架にかけられた事と似ていますね。

なので、三位一体論の”父”、”子”、”聖霊”に照らし合わせて
・霊地の管理者だった遠坂が「土地」⇒“父”
・呪術に優れた間桐(マトウ)が「サーヴァントの技術」⇒”聖霊”
・錬金術と第三魔法を司るアインツベルンが「聖杯」⇒”子”
になるのかなと。

以上のことからの推論ではありますが、
「天の杯」という用語は、もとはキリスト・聖杯伝説等に出てくる聖杯のこと。
聖杯の成り立ち、仕組み、意味合いとしては三位一体論に近いのではないでしょうか。

あっ!映画の感想忘れてた!【まとめ】

考察していてすっかりと言い忘れてました。
映像技術がもうすごかったですね~!ぬるぬる動いて迫力満点です。

実はFateZeroを最近少し見たのですが、バトル演出は時代感が出ていて、ずーーーーっと討論していて動かなかったので、うーんってなったんですよね。
そこはやはり、最新の映像は違いましたね!

お話自体も感動しましたし、UBWを彷彿とさせる演出もあったりして熱かったです。
桜ちゃんの生い立ち背景が、嫌な意味で重すぎたのだけが気になりましたかね……。必要以上に重いというのでしょうか。そこまでする必要あるかな?と思いました。

長くなりましたが以上です。
FateHF、考察のはかどる良い映画でした。


この記事が参加している募集

#映画感想文

66,723件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?