多様性という言葉を嫌う先輩
「最近は多様性多様性とか言われてるけど、そういうのってわがままだと思うんだよね。上司が女の子の店行く時は一緒に行った方がいいし、そういうのが会社だと思う」
僕がいつも一緒に同行している先輩から、運転中に言われた言葉だ。
その日はこの言葉を何度も反芻したが、よく考えると、彼が搾り出した心の叫びだったのかもしれない。
私が会社でカミングアウトしているのは、同期と、支店の先輩である彼1人。
同期とは、年に一回関東で会うか会わないか。
先輩とは、毎日顔を合わせてる。
そもそも私がカミングアウトした狙いは、
先輩との距離を縮めるためであった。
自分のことを曝け出すことで、相手と深くコミュニケーションが取れると考えたのだ。
しかし今冷静に考えると、後輩からカミングアウトされ、事実を知っているのは、支店で先輩ただ1人。
うーん。相手からしたら、かなりしんどい状況かもね(笑)
そりゃぁ何か思うことおもありそうだ。
僕は先輩に、すごく負担をかけさせていたのかもしれないと思った。
しかし同時に待てよ。と思う。
先輩は本当に僕が「ゲイであること」が負担だったのか。
単純に僕の仕事の出来が悪く、それを募らせていた可能性もある。
無駄に憶測を立て、
自分が「ゲイ」だから酷いこと言われるのだ、
というのは邪推な気がする。
現に、色んなゲイにたくさん出会って、千差万別であることを、この目で見てきたから。
またその先輩は、いわゆる「ザ男!」と言う感じでは無い。社会に出てからの付き合いの中で、先輩自身も周りに合わせてきた部分があったのだろう。
だからこそ、自分のような人が出てきたことには、戸惑った部分もあるのかもしれない。
あまり積極的に関わってくれることは無くなったけど、質問にはちゃんと答えてくれるし、あからさまな無視とか、嫌がらせを受けたりはしていない。
本人の中でも色々と考えてくれているのだと思う。
私はどうしても自分中心で考えがちだが、
相手の立場に立ってみることも大切だと思った。
そう思うと、先輩には感謝したくなる。
また、この経験から学んだこともある。
カミングアウトは闇雲にすれば良いと言うものでも無い。
タイミングや、する人を見極める必要がある。
特に仕事など、付き合いが続いていく人へのカミングアウトは尚更だ。
なんだが、ワクワクしてくるなぁ。
ありがとう!先輩。
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