篠原雅武(masatake_shinohara)

哲学などを研究しています。現時点での肩書は、京都大学大学院総合生存学館特定准教授。主な…

篠原雅武(masatake_shinohara)

哲学などを研究しています。現時点での肩書は、京都大学大学院総合生存学館特定准教授。主な著書『生きられたニュータウン』(青土社)、『複数性のエコロジー』(以文社)、『人新世の哲学』(人文書院)、『人間以後の哲学』(講談社選書メチエ)など。ティモシー・モートンの翻訳なども手がけた。

最近の記事

大学院における受験と研究(その2)

前にこういう記事を書きました。 要は、自分は京都大学大学院総合生存学館というところに教員として所属していて、令和7年度(つまり2025年度)からは、大学院生の指導もできることになる、ということなのです。ただ、残念なことに今年の受験者は少なかった。来年度以降ももちろん募集はしていますので、関心のあるかたはぜひとも受けてみてください。 さらに、三年次入学制度というのもできたそうです。それはつまり、どこかで修士論文を書いたけれど、何らかの事情があって博士課程に進学しなかったとか

    • Lamp、キリンジ、岡田利規など

      今年大学で学部生相手の授業をしていたのだが、そこの受講生の人がなかなか難しい問いを投げかけてきた。それは、「現代の(特にネットを介した)言説空間では、議論が単純な対立構造に組み替えられて消費され、論客とされる人どうしの衝突や結託に全神経が注がれてしまう」状況があるとして、そこに絡め取られないで思考するにはどうしたらいいのか?、というものである。 ここで「全神経が注がれてしまう」というとき、それはその言説空間に読者として関与する側からのもので、そうなると、対立構造の外に立つか

      • 以文社の大野真氏

        先日、久しぶりに、以文社の編集者の大野真さんと会った。最後に会ったのは2022年5月頃。東京芸大で少しだけ会った。なぜかというと、彼には論集「新しいエコロジーとアート」をお願いしたからである。 http://www.ibunsha.co.jp/books/978-4753103690/ 東京芸大では、この論集と合わせて開催された展示「新しいエコロジーとアート」が行われた。それで大野さんがオープニングに来てくれていて、ちょっとだけ挨拶した。 https://newecol

        • 学部生相手に授業をしていて思い出したこと。

          大学で授業をしている。学部生向けの授業をしている。そこで最初はチャクラバルティの論文を英語で読もうと思って話を始めた。だが、何度かイントロ的な話をしているうちに、ティモシー・モートンについて何かと話をしていることに気づいて、だったらやはり、ティモシーの論文や本を読んだ方がいいんじゃないかということになって、そのうちのいくつかを抜粋して英語で読むことにした。自分自身、ティモシーさんのオンラインレクチャーを受けた経験もある。その話のおもしろさ、それも映画やドラマや音楽と関連させて

        大学院における受験と研究(その2)

          お知らせ(大学院における受験と研究)

          京都大学大学院総合生存学館での受験と研究について こんにちは。篠原雅武と申します。私は現在、京都大学大学院総合生存学館というところに特定准教授として所属しています。ここに来たのは2019年4月です。それからいろいろなことがありまして、令和7年度(つまり2025年度)からは、大学院生の指導もできることになるそうです(大学の事務の人がそう言っていました)。 総合生存学館がどういうところだったのか、私はあまりよく知らないのですが、もとはといえばリーディング大学院プログラムを実施

          お知らせ(大学院における受験と研究)

          人新世という言葉を否決したからといってその現実が消えることはない。

          先ほど、日経新聞に掲載されていた、「地質時代「人新世」案、学会否決 社会で浸透も議論に幕」という記事を読んだ。 ということなのだが、それはつまり、地質学者の世界において否決された、ということである。じつをいうと、人新世をめぐっては、たとえば地球システム科学者によっても提起されていて、2018年には、「ホットハウスアース」仮説を提唱する論文が出された。日本語訳も出ているが、その冒頭にはこう書かれている。 つまり、温暖化の観点から、今が人新世に入りつつあるということを主張する

          人新世という言葉を否決したからといってその現実が消えることはない。

          大学で講義した

          今日は京都大学で講義をした。新入生向けに開講されるILASセミナーというのがあって、その枠で講義した。大学では、どういうわけか院生相手にこれまでしてきたのだが、学部生相手に授業したのは久々で、緊張した。 講義名は、「人新世の「人間の条件」を考える」というもので、概要は下記のとおりである。 どれくらい受講生が来るのか心配だったが、わりと来てくれた。文学部、法学部、経済学部、総合人間学部、農学部など、多彩である。よく考えてみると、合格発表からまだ一ヶ月程度で、つまり、受験勉強

          2020年あたりから考えていること(what does it mean to be human?)

          思えば、2012年に、ティモシー・モートンの本を読む中、エコロジカルな思考(ただしそれは、post-anthropocentricな観点を見出すことを通じて、人為の限界を考えることであって、そのかぎりでは、人間を中心とするのではない世界像を描き出し、そのもとで人間とは何かを考えること)の大切さに気づき、必死でフォローしてきたのだが、自分の言うエコロジカルなものはいわゆる自然保護とは違うものだということを(日本国内で)主張するのに疲れてしまって、そろそろ限界かと考えるようになっ

          2020年あたりから考えていること(what does it mean to be human?)

          高校生(受験生)から大学生になること。私の場合。

          みなさまこんにちは。篠原雅武と申します。わりと適当に始めたnoteですが、読んでくれた人もいたみたいで、とても嬉しく思います。 気づいたら四月になりまして、新学期になり、京都の岡崎公園周辺は大学生で溢れています。3月半ばから末にかけては、みやこめっせ周辺には卒業する学生さんがたくさんいて、近所のスターバックスも学生さんやその親御さんで溢れかえっていたのですが、その一週間後には新入生が入学式をするというわけで、なんとも目まぐるしいです。 大学は、文系と理系に分かれて入試をす

          高校生(受験生)から大学生になること。私の場合。

          自己紹介など

          はじめまして。篠原雅武と申します。 1975年生まれ。神奈川県出身。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書『複数性のエコロジー』『人新世の哲学』『人間以後の哲学』など7冊刊行。翻訳書として『自然なきエコロジー』(ティモシー・モートン著)など4冊刊行。 学問研究を生業にしています。哲学を勉強し、写真や建築にも関心をもって勉強し、本を書いたり翻訳もしています。哲学的な問いをたて、それをめぐって考え、文章を書くというのが基本です。自分の問い