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【新作小説】『君を守りたいseason3』   ③ 公安 古御門寅子(とらこ)の活躍

前回までの「君を守りたいseason1~3」

BGMを聞きながらどうぞ(2分間)

内閣発足から1年後、森林が多くなった日本は、動物の生態系が激変した。


全日本大震災で動物園の動物、家畜、ペットなどすべての動物たちが日本国内に解き放たれ、野性化ていた。猛獣は主に元静岡、神奈川、山梨、長野あたりに生息している。


陸ではクマが生態系の頂点となった。クマは、馬や牛、豚を食べ体格が倍以上の5メートル、リスやウサギ、イタチなどの小動物を追いかけるうち、とんでもないスピードを手に入れていた。また、左右の額に角と下あごに牙が生え、爪が刀のように鋭かった。そのため、動物から格を上げ、怪獣と分類し、名前をグマラとした。


ライオンや虎もある程度強いが、動物園育ちのため野性とは程遠かった。あと、170センチほどの身長で筋肉隆々のチンバンジーの群れが、ゴリラ、オラウータン、ニホンザルの群れを率いて山に住んでいた。

陸の力関係は、グマラを頂点に、クマ、ライオン、虎、サイ、サル、次に人間の順となっていた。ある日のこと。

【公安法務省 大臣室】
大臣室のドアを秘書ドロイドがノックし、「大臣失礼します」と礼儀正しく部屋に入って来た。
「どうした?アンドレ」
マントを翻して古御門寅子が振り向いて剣を腰に差した。
「大臣、大変です。街にグマラが出現して人を襲いました」

「貴さまぁー、そうゆうことは急いで入って来て早く言え、愚か者」

「大臣、申し訳ございません!以後気を付けます!」とゆっくり話した。寅子はもう部屋に居なかった。


【庁舎の屋上】

待機していた大型ジェットドローンに寅子が乗り込んだ。「皆の者、敵はグマラ1体だ!油断するな!」「おー!」戦闘ドロイド10人が一斉に気合を入れた。


【街中のグマラポイント上空】

グマラがドローンに向かって激しく威嚇している。
「行くぞー!」「おー!」
次々とドローンからロープで建物の屋上に降下した。
まずは、ライフルで狙撃した。しかし、毛が固く、皮下脂肪の層が厚いため、全く弾が効かなかった。
刀のように長い爪で弾いた物もあった。

続いて、バズーカ砲で攻撃したが、グマラが俊敏なため余裕で弾を避けていた。


「チッ」寅子が舌打ちした。

「どうですか?古御門さん」

いつの間にか志朗が背後から声をかけた。

「志朗さん、武器が効きません」

「では、私が魔法で動きを拘束し、その剣に魔力を付与するので、試してくれ」
志朗は、寅子の剣に手をかざして指で文字を書くしぐさをした。
「よしっ、これでヤツを斬れるだろう」「はい、どうも」と言うと走り去った。


寅子はグマラと対峙していた。グマラが寅子に向かって走って来た。寅子はとっさに2メートル以上ジャンプして、グマラの背後に着地と同時にグマラの背中から腰まで切り裂いた。

魔力の剣は浅く斬っても3倍深く切り裂いた。
グマラは、寅子に向かってきた。
寅子は、身を低くして、グマラの両足を斬った。
動けなくなったグマラの眉間に剣を突き刺し、グマラは死んだ。


「やったな!古御門さん!」

「ありがとうございます!志朗さん」
「でも、課題が残ったな、初めての対決だったから仕方ないな」
「はい、グマラの死体を研究所に運んで、対グマラ戦の武器開発を急ぎます」
「それにしても、どこから侵入したのでしょう?」
「うーん、たぶん穴を掘って来たと思うよ」

④へつづく



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