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スピリチュアルにハマった友人の話⑧

>>⑦からの続き

A子の引っ越し当日。
全く気乗りしない、重い腰を上げ、1時間かけてA子のところへ行く。
A子はNPOが運営している、DV被害者やホームレスなどの受け入れをしている施設にいる。
A子が言うには、男性が多く、お風呂もトイレも共同で、全く気が休まらなかったとのこと。一応、個室らしい。

一人だし、緊急で受け入れてもらったから、そんなに荷物ないよな…と考えていたのだが、甘かった。
やたら大きなコタツ机、布団一式、ビーズクッションタイプの一人用ソファ、小さなチェストが2台、シャンプーなどの洗面用具、衣類…。
よく、持ってきたな…。と思う荷物の量だった。
私の車は、そこそこ大きなミニバンなのだが、後ろが見えないほどに、後部座席がいっぱいになった。

1日目のスマホ乗っ取りの件とB美の助言で、スマホは忘れたていにしておいた。
財布の中身も免許証と1000円だけ持ち、カード類は全て家に置いてきた。
とにかく、自分を証明できるものは免許証だけにし、肌身離さず持ち、他は全部置いてきた。
…友人だった子に、ここまでしないといけないのがつらい。
けれど、A子自身が蒔いた種だ。

A子の引っ越し先に向かう。
車の中が、自分ではない他人のニオイに包まれている。
うう…嫌だ…。
そして、まだ微かに聞こえる癒し(?)の音。最初、ついに幻聴まで始まったと思ったが、聞き間違えではなく、音量を小さくした状態で流れていた。

午前中に、A子の旦那が実家に残っていたA子の荷物を引っ越し先に運んでくれたらしい。A子は洗濯機くらいで他の荷物はあまりないと言っていた。
役所や不動産屋などに寄り、手続きを済ませ、A子の引っ越し先のアパートへ。

旦那が運んだであろう、A子の荷物が粗大ゴミのように置かれていた。
A子と2人、呆然とした。

・・・いや、荷物多すぎだろ・・・。
大きなタンスが2棹、2人掛けソファ、漫画、大量の衣類、靴、洗濯機、ラグ、鏡台、電子レンジ、トイレの収納棚、自転車、植物・・・その他多数・・・。

よく持ってきたな!

何が洗濯機だけか…そして、車の中の荷物と、コレ、女2人で運ぶ量じゃない…。しかも、部屋は2階の一番奥だ。
タンス、重すぎて動かないし…。
A子も、処分してと言っていた荷物まで持ってこられて、若干パニくっている。
…まぁ、旦那からしてみれば、家にあるA子の不用品まで、なんで自分が処理せないかんのだという胸中だったのだろう…。
それにしても、私が手伝うのを分かっていたのだとしたら、ちょっと物申したい。

しばらく呆気に取られていたが、動かないことには終わらない。
とりあえず、奥に入れるモノで大きいものから順番に運んでいこう!となった。A子はパニくっている。
そして、A子の非力なこと。私が2往復するまでに1往復もできていない。私は、近所迷惑も考え、物をぶつけないように、細心の注意を払いながら運んでいたのだが、A子はがったんごっとんと大きな音を鳴らしている…引っ越し早々、トラブルになるよ…(汗)

部屋に入れる物、処分する物…とにかく、必要最低限の動きで終わらせたい。
最初、タンスは1つだけ入れると言っていたが、後になって、やっぱりもう一つも入れると言い出した…体力がもたない…。
タンスに関しては、引き出しを全部外したら、何とか本体を動かせたので運ぶことができた。
ソファと段ボールを処分して欲しいと言われたが、私の地域だってお金を出してゴミを処分せにゃならんのだ。そこまで面倒見切れない。
だんだん、要求が軽々しく図々しくなってるなぁ…。

私は女にしては体も大きく、力もある方なので、とにかく運ぶことに徹した。A子には運んだものをクローゼットとかに仕舞っていきな。と指示したのだが、袋ごと放り込んでいた。

何とか、全部運んだ。ちらっと見えたチェストの中身におふだや訳の分からないモノがたくさんあったことには触れないでいた。
後から、アレがない、コレがないと言われても困るので、ちゃんと確認して、足らないものを買いに行って、終了した。

ようやく終わった。
落ち着いたら遊びに来てね、久々に飲みに行きたいし、今年は忘年会したいねとA子が言う。私は適当に「そうだね~」とか言っていたが、内心は
・・・お金、返してからね。

前日は精神的に、引っ越しは身体的に疲れた。
次にA子に会うときは貸したお金が返ってくるときだ…と心に決めている。
生活保護を受けるらしいので、とりあえず2カ月後くらいに催促しようと思う。まぁ、無理だと思うが。

>>その⑨に続く


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