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警察は本当に「動いてくれない」のか 正しい警察の頼り方 【自分用メモ】

警官歴28年の筆者が、警察に動いてもらうためのコツをを解説した本。自分用のメモとして。


警察に相談する「目的」と「時間」を考える。
あくまで警察に仕事をしてもらうのだという前提に立ち、想像力を働かせることが良い結果につながる。

夜間や休日はできるだけ避ける
警察も組織の人である。現場では夜間や休日は相談が殺到しており、電話は鳴りっぱなしだ。したがって緊急性を要しない場合は、平日の昼間にあらかじめ電話を介して相談する方が満足いく対応をしてもらいやすい。

捜査をスタートしてもらうための「法的根拠」を示す
「相談したのに警察が動いていくれない」という場合、動くために必要な条件がそろっていないと担当者が判断した可能性がある。警察は法的根拠が無ければ、すなわち犯罪が成立していると判断できるだけの事実が無ければ、動けない。

詐欺罪であれば、構成要件を満たすには要は、欺いた、となる条件が必要だ。

例えば500万をお店の回転資金としてAさんに貸しても、Aさんが病気など事情があってお金を返せない場合は詐欺にならない。だが、Aさんが競馬で使いこんでいる、店を開く様子が無いなどの事実があれば、詐欺が成立する根拠を満たしたと判断しやすくなる。

できれば証拠も提示する
不真面目な忙しい警察官の場合、実際に要件を満たす場合でも捜査を開始しない可能性がある。しかし、法的根拠と証拠があれば嫌でも動かざるを得ない。

例えば、先ほどのAさんへの500万の詐欺の例でも、やり取りを記録したメモ程度で良いから証拠があれば動いてくれるはずだ。証拠の文章が無ければ、「(500万だけど)1000万貸したよな?」「→ふざけるな、500万だ!」という電話の録音などアクロバティックなやり方でもOK。ちなみにボイスレコーダーでこっそり録音しても全く法的な問題はない。

相談管理課を利用する
警察は「相談管理表」という形で、相談された事件を基本はまとめて保管している。相談内容と警察の対応、処理結果が残っている。例えば過去にストーカー被害に関して警察に相談していれば、警告を依頼した記録などが残っている。民事事件の証拠にも利用できる。本人であれば、各県で定められた情報公開制度に則って開示請求ができる。これには弁護士は不要。

加害者をどうしてほしいか明確に示す
被害届を出したいなら、加害者の処罰を強く求める必要がある。例えば詐欺の場合であれば、「だまし取られたものを取り返してほしい」だけでは不十分だ。

誤解されがちだが、警察の捜査は被害の回復ではなく犯人を確保し、裁判にかけ、刑罰を科すことだ。例えばDVでも「私に手をあげたあの人を処罰してください」と自らの意思を示す必要がある。そうでなければ、よくある男女のトラブルとして、警察も当事者をなだめることしかできない。

行方不明者
未成年であればすぐ動くが、成年の場合は対応が遅くなる。自分から出ていった可能性も高いためだ。「自殺の恐れがある」「他人に危害を及ぼす可能性がある」など早急に行方不明者を見つけ出す必要性があることを説くとよい。

ストーカー
実はストーカー規制法によって、原則は定められた手続きをとってくれる。ここでも「何をしてもらいたいか」を明確にすることが有効だ。①相手への警告②事件として立件③相談だけで何もしないの選択肢がある。しかし、大抵は③を選んでしまう。実は①で未然に防いでいる事件がかなりある。勇気を出して①を筆者はおすすめする

民事不介入は過去の話?
民事不介入だから警察が介入しないというのは過去の話で、原則は介入することになっている。具体的には、夫婦間の暴力と、幼児・高齢者への虐待などだ。(ぼったくりは駄目なのかな?書いてなかった)ダメもとでも「民事不介入など今はないはずだが」といった方がよい。 

警官に好かれる
警察官も人である。残念ながら敵対的な行動をとってもいいことは一切ない。「任意ですよね?」と詰めるような理屈っぽい人と、「税金泥棒め!」といったように罵倒してくる人は、警官も頑なな態度をとってしまう。

職質されたときに、任意ですよね?は私も言ってしまったことがあるのだが、その時は本当にバイトに間に合うかの瀬戸際だった。結局、バイトに遅刻しそうなんです!!と言っても開放してくれず、バイトには遅刻した。正直、これは警察の機嫌を取るようでムカつくが、まぁ現実的に開放はしてくれないので仕方ない。

犯罪を満たす要素とは
次の3点。①構成要件に該当すること②違法性が認められること③違法な行為を行ったもの責任を問えること→具体的には心神喪失、心神耗弱状態、14歳以下は例外。

こうしたものにつながりそうであれば警官も頑張ってくれるとのことで、裏を返すと、「精神病の人が怖いから警告してくれ」みたいなのは、あまり動いてくれないかもしれない。

読後に

本来、痴漢冤罪であれ、ストーカー対応であれ、不審者出没によるパトロール依頼であれ、警察官は市民の要請に対して動くのが前提となっている。

しかし、「取り合ってくれなかった」「面倒そうな対応をされた」という声はネットに少なくない。また、不信感を持つ人もいると思う。

かくいう私も正直、好きではない。

小柄で話しかけやすいからか、友達と比較しても学生時代はやたら職質されていた。職質に関しては、引っ越した今になって思うと治安の悪い地域だから仕方ないのかなと思うのだが、その一方で私の原付の窃盗はまともに取り合ってもらえなかった経験があり、あまり快く思っていないのが正直なところだ。

それでも私たちは警察官を頼るしかない。

しかし現実として、市民がいざというときに頼れるのは警官である。

ただし、警官の仕事量は膨大であり、優先順位を付けることは仕方ないところがある。公務員であっても現場で働く人の場合、リソースに応じた柔軟な判断は認められている。

加えて、警察にはやはり警察の論理というのがある。警察学校という特殊な環境で育つこともあり、常識がやや世間とずれることもあると、元警官の筆者は指摘する。そうした中で、警察に動いてもらうために市民が想像力を働かせることはきっとお互いのためになるはずだ。

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