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35点男の立ち回り術 田村淳【読書感想】

「みなさんは自分を何点の人間だと思いますか? ボクは100点満点で、せいぜい35点です」


ロンドンブーツの田村淳が自身の”立ち回り術”要は処世術を語った本。こんな本が企画されて世に出ている通り、田村淳について立ち回りがうまいと感じる人は少なくないと思う。田村亮が下手糞すぎて目立つのかもしれない(笑)

バラエティーの外でも、知識人ポジでもないが、馬鹿ではなくちょっと鋭いことをたまに言う…と言う感じで、良い感じ。テレビに依存せず、個人のYoutubeやオンラインサロンで儲けてたり、結構うまくやってる様である。

個人的には、テレビの範囲でも実に器用に先輩や後輩、女の子に好かれるような立ち回りを見せる印象がある。

僕は100点にはなれないと腹の底から自覚した

そんな淳さんの自己評価は100点満点中35点。

背が高いわけじゃない、顔がいいわけじゃない、大卒じゃない」と話すが、自己評価が低い一番の理由は、学生時代の女性経験だ。

例えば、中学1年生の時、初めて付き合った彼女に1週間で振られてしまった経験がある。

理由を聞くと、彼女がぽつり…。
「だって田村君、一緒にいて面白くないんだもん…」

他にも、小学校2年生の時に、淳さんはいじめられていたそうだ。半年ほど机にパンが詰められたり、無視されたりと言ったいじめが続いたある日、ジャッキーチェンに憧れて教室で自作のヌンチャクを振り回し、いじめっ子をぶちのめしてしまった。

すると不思議なことに、翌日からいじめはなくなったどころか、一目置かれていろんな人が話しかけてくれるようになったのだという。「格好悪くてもいい、行動すれば何かが変わる」という原体験を得る。

それからは「いじめられっ子」「クラスの弱い立場の子」に積極的に話しかけたり、彼らのいいところを広めることを意識した。

これはモテるためにしたことではないのだが、結果として女子中心に人気となって「立場の弱い子を守るような行動をすると女の子からモテる」という気付きにもなったのだそう。

これらの経験から、淳さんには「とにかく自分から動いて、立ち回りを考える必要が僕にはある」という哲学が刻まれた。

口説きたいなら自分を出すな

そんな自己評価の低い淳さんであるから、女性を口説く極意もシンプル。「最良の聞き役に徹すること」だという。

もし口説きたいのなら、僕なら自分を出しません。まず最初は自己主張しないんです。自分を「無」にする。とにかく相手のことを全部聞いてあげます。そこに自分なんてなくていいんです。

失敗例としては、しっかり聞く前から自分なりの意見を挟んでしまうことだという。自分なりの未消化の考えを言ってしまうことは「オヤジの説教」であり、「よくわかりもしないのに偉そうなこと言わないでよ」と”逆襲”を食らう。

とはいっても、ただ"うんうん"と頷けばいいわけではない。うなずくタイミングもしゃべってる途中にするより、しゃべり終わった後に深くうなずく方が効果的だし、ワザと逆のことを言って気持ちを煽ることも時には必要。

例えば、多くの女性は、父親との間に何らかの葛藤を抱えている。だからその手の話を引き出してあげたりするとお互いの距離が近くなって、心を開いてくれるのだそうだ。

淳さんが対談したホストが「女性って、何歳になってもプリンセス」とおっしゃっていたそうだ。プリンセスに意見できるのは、白馬の王子だけ。

「35点男がプリンセスと付き合いたいなら、上から目線は捨てて聞き上手に徹するのが立ち回り術としては絶対に良い」

余談だが、淳さんは「たくさんの人の前でやるとクサいことを、1対1の場で実行すると株が上がる場合がある」という。

相手はプリンセスであることを忘れず、下僕の立場で行動してください。タクシーでもエレベータでもわざと小走りで行ってドアを盛ったり、大げさにエスコート。食事は必ず女性側。あと、僕が良くやったのは1対1の場でわざとクサいセリフを言ったり。タクシーで「次の赤信号で止まったら、キスしていい?」と聞くんだそうだ。女性は次の信号が青でもドキドキする。赤ならわざとキスしない(笑)こう立ち回るだけでグンと距離は縮まります。

だそうだ。僕がやったら警察に通報されそう。

恋愛面の話が面白かったので抜粋したが、仕事でも似たようなもので、要は自分の才能やセンスなんてものを過信せず、その道の偉い人をひたすら観察する。真似る。多少空気を読めなくても、行動する。このようなことを書いている。

淳さんの天性にも見える立ち回りの上手さは、子供時代のコンプレックスをバネに試行錯誤のなかで身につけたものなのである。

本書の所感

立ち回り術、淳さんの半生を明かすパートは面白かったが、正直あまり本書はお勧めできない。

というのも、この立ち回り術に関するパートは2割程度しかない。分量が少ないからか、大事なノウハウ的なところは隠しているようにも感じた。

他の8割は過去のコラムの使いまわし。使いまわしは別に良いのだが、内容は社会問題などを取り上げたり、読者の悩みに答えるというもので、それが面白くない。

例えば
Q:東京オリンピックはどう思う?
A途上国でやった方が良い。将来のレガシーが不安だし、テレビ的にも深夜に中継する方が楽。(要約するとこんな感じ)

といった具合の回答である。間違ってはないが、これに金を払って聞きたいと思える人は限られているのではないか。

読者の悩みも、「コミュニケーション力を身に着けるにはどうすればいいですか?」という漠然とし過ぎる悩みだから淳さんの回答もあいまいになってしまっている。(これは淳さんが悪いのではないのだが)

テレビ業界ならではの視点が盛り込まれているのは面白かったが、あまりお金を払う価値のあるアドバイスとは思えない。淳さんが好きなら読んでも良いのかなと言う感じ。





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