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セフレと彼氏の境界線の話

セフレと彼氏の違いってなんなのだろう。

セックスだけの関係がセフレ?デートに行くなら彼氏?
付き合おうと言われなかったらセフレ?言われたら彼氏?

結局は自分の問題のような気もして、私は自分が彼氏だと思ったら彼氏と言うようにしている。



28歳夏。私にはセフレがいた。前の彼氏と別れてから友達に心配されるほど、荒れに荒れていた。当時、何人かセフレがいたけれどメンテナンスは面倒だし、セックスだけのためにわざわざ待ち合わせしてホテルに行くのが無駄に感じられて、だんだんと数を減らしている最中だった。

彼は見た目がいいわけでもなかったけど小綺麗にしていて、私の好きなちょっとガッチリめの体型だった。

いくつか年上でおしゃべりだったからいつも自分の好きなことを話してくれてとても楽だったし同業だったから仕事の話もできた。自分の過去の恋愛の話も自然と話せて心地よかった。

彼とはいつも、美味しいお店の話をして二人で行きたいお店を探してデートした。渋谷が多かった。

少し早めに集合して、少しデートしてからご飯を食べることもあった。最後にいつも行くホテルに行って、朝ご飯を一緒に食べて帰るのがお決まりのコース。

だいぶちゃんとしたセフレだなと思っていた。ちゃんとした、がどんな定義かはわからないけれど少なくともセックスだけのセフレよりずっとよかった。当時元カレと同棲解消できていなかった私は、家にあまり帰りたくなくて時間を潰せること、お泊まりできることが重要だったのだ。



よく、セックスしたら好きになっちゃうんじゃないの?と聞かれることがあるけれど、それとこれとは別物である。

現に、彼とはキスをしたくなかった。

毎回ホテルを出る時にキスを強請られるのがイヤだった。好きでもないのに、と思っていた。一緒に夜を共にしてくれるお礼だと思って頑張っていた。

それ以外にも少しずつ少しずつ嫌なことが増えていった。

例えば話の内容。彼がする自慢話は大体仕事の話だったけど、同業だからこそ、話の内容が薄っぺらかったり間違っていたりするダサさもわかってしまう。彼を立てるためにも相槌を打つだけにしていたが、心の中では苦笑している自分がいた。

あとは何かにつけて周りの人に若干の上から目線で話すのも気になった。横柄なやつだ、と思っていた。

セックスがしたいわけでもないのに。
なんでこんな人と一緒にいるんだっけ。

それでも少しずつ、少しずつ、距離は縮まっていってしまった。



夏の思い出に花火大会にいきたい。そう、誘ったのは私だ。

花火大会に行きたいというのは本心だ。一人で行くわけにはいかないから彼を誘った。

もう季節外れで、遠方の花火大会しかなかったのでレンタカーもとって一泊二日の小旅行になった。

この日、私は家を空ける必要があった。元カレが出て行く日だった。

彼は旅行中ずっと上機嫌でとても楽しそうだった。自分の家族の話、元カノの話、過去の話、将来の話ずっと話し続けていた。

それをなんとなく聞きながら、違和感を感じていた。セフレなのに、何でこんな話ずっと聞いてなきゃいけないのだ、と。過去も未来もどうだっていい。いま、楽しければいい。


東京に帰ってきた。
彼はもう一泊したいと言った。
ああ、潮時だな、と思った。



次に会った時の出来事は美しくなさすぎて書く勇気がないので割愛したい。端的に言えばご飯だけ食べ、速攻帰って、連絡先を消去した。

我ながら酷い。酷いけど酷い方がいいと思った。セフレの別れ方なんて、そんなものだ。



彼にどんな感情があったのかはわからない。
ただ、ヤリたくて長く時間を過ごしていただけかもしれないし、なんらかの感情が生まれていたかもしれない。何も考えてなかったかもしれない。


それでも私にとっては、セフレだ。
それ以上でも、それ以下でもない。

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