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恋愛におけるルーティンの効果の話


有名なスポーツ選手がおまじないのようにルーティンをこなすという話を聞いたことがある。

ルーティンを繰り返すことで不安を取り除きパフォーマンスを上げることができる、と。

恋愛はどうか。

私はルーティンの効果はあると思っている。


26歳の時の彼とは長く同棲していた。仲は悪くなかったけど、仕事がお互いに忙しかったし平日は1時間顔を合わせられれば良い方だった。

当時はまだまだ私もお子ちゃまだったし、彼に依存していたのかもしれない。

週末は遊びに行きたいし夜はイチャイチャだってしたい。

でも、彼のプライベートもなかなかに忙しかった。頻繁に外泊したり、週末も外に出かけて行くことが多かった。

月に1.2回のデートでは満足できない私。自分の時間を作りたい彼。

何故かうまく折り合いがついたのが週末の夜のスーパーへの買い物だった。

車に乗って、ちょっとだけ遠いスーパーに行く。1週間分の食材や日用品を買い込んで帰ってくる。ただ、それだけ。

それでも何もないよりずっと良かった。毎週末、ちゃんと私のところに帰ってくる。私と彼の約束がある。それが何よりも安心できたのだ。



25歳のときの彼もそうだった。彼、と言ってるけどきっとセフレだった。後にも先にも彼を超える好きな人はできないくらい、本当に本当に好きだったけど。

彼とは毎週末、仕事終わりになんとなく飲みにいく雰囲気になって、いつも家の近所のご飯屋さんに行く。

お気に入りの居酒屋があって、お店の人と顔馴染みになるくらいには何度も通った。そして、その後私の家に泊まって、次の日帰っていく。

私たちの関係に名前をつけたことはなかったし、明確な約束はひとつもなかった。それでも毎週末必ず会ってくれることが見えない約束だった。週末を重ねる度、また今週も来てくれるという安心につながった。


ルーティンには安心をもたらす効果がある。それは、プラスにもマイナスにも働くけど。



スーパーに行っていた彼と別れた時も週末会っていた彼と別れた時も、とてもとても悲しかった。

その悲しみを増長させたのは紛れもなくルーティンが無くなったことにあった。


毎週末の約束がなくなって、ぽっかり空いたその時間。時間だけじゃなくて私の一部がくり抜かれてなくなってしまったかのように感じられた。

本を読む時間に当てても、自分磨きの時間に当ててもくり抜かれたそこは全く埋まらなかった。その穴を埋めるために遊んで遊んで遊んでを繰り返して、どちらも忘れるまでに3ヶ月はかかっただろうか。


恋愛のルーティンは悪魔だ。永遠に続くように錯覚する、見えない約束。その時は安心するのに、なくなった瞬間に猛烈な不安が襲う。

だったらもっと健全な約束をしよう。2人で作るもっともっと幸せな約束。


その話は、また今度。

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