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薬とクスリ

今日は通院日だったため、いつもように家を出る支度をした。月に1回の通院日。30日間の様々な感情の集合体が僕の心にベッタリとこびり付く。
僕の重たい感情とは裏腹に電車は当たり前に予定時刻で到着する。足が重い、とりあえず病院まで向かう。すぐに診察室へ呼ばれ医師からの診断を受ける。
「気分はどう?出した薬でしっかりと眠れてる?」いつものように医師は同じ言葉で僕に問いかける。しかし僕は数ヶ月前から医師を信用することをやめている。なぜなら診察をすぐに終わらせようとして、効いてる気のしないクスリをいつまでも処方してくるからだ。僕も小さな子供が嫌いな野菜を拒んで食べないように、クスリを飲むことを拒絶したい。しかしそんなことをする勇気のない僕はきっとあの小さな粒を飲むのだろう。そして問いかけてきた医師にこう答えてやる。
「はい。ちゃんと薬が効いて毎日よく眠れてます!」それを聞いた医師は表情も変えずに「それじゃあ、また1ヶ月分薬出しておくから。次の診療日の時に状態聞かせてよ、お大事に。」とだけ告げて、早く診療室から出てけという雰囲気を漂わせ僕を部屋から追い出した。部屋を出る前に礼儀として「ありがとうございました。」と少しかすれた声で言って、そそくさと部屋を後にした。

先月も貰ったクスリを薬局で受け取り、そのクスリを少しの間眺める。このクスリにはなんの罪もない。そう、薬が悪いのではなく僕が患者として医師に自分の状態を明確に告げられていないのがいけないのだ。しかしまだこの現実を受け止めきれない僕はまた頭の片隅に追いやる。
でもなんだか今日の病院の帰り道は僕の足取りをさらに重たくさせた気がした。

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