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オフコース 「We are」番外編「Give up」

本棚の片隅に古い文庫本がある。周りの本と比べると、その古さは際立っている。カバーは少し破れかけているし、ページの隅は茶色く変色している。奥付をみると、昭和58年6月25日初版発行とある。今からちょうど40年前である。著者は山際淳司。スポーツライターとして有名な方であった。「こういう分野も書くんや」と若干驚きつつ、本屋さんで本書を手に取った記憶がある。そんな人物がオフコースについて書いた本である。タイトルは「Give up オフコース·ストーリー」

本書の内容は、解散へと動き始めたオフコースを密着取材したものだ。

具体的には、アルバム「We are」をリリースしたオフコースが「OFF COURSE TOUR 1981 『We are』」のリハーサルに入る80年の年末に鈴木さんが小田さんやマネージャーなどのごく一部のスタッフに脱退表明し、小田さんは鈴木さんを説得したが、鈴木さんの決意が堅い事を知った小田さんは「ヤス(鈴木)のいないオフコースは考えられない」ということから解散へと動き始め、1982年6月の武道館10連続公演終了後までを追ったものである。

この文庫本が発行された当時、オフコースは活動休止状態であった。私は、本書を読んで内幕を初めて知り衝撃を受けた。そして、誰が悪いわけでもなく自然な流れだったのだと納得した。ただ、5人のオフコースが大好きだった私は5人のオフコースが消滅したことによる喪失感に苛まれた。

その後、本書は行方不明となった。著書の山際淳司氏が若くして鬼籍に入られた際、本書の存在を思い出し探したが行方不明のままであった。

親が亡くなり、実家に置いたままであったダンボールを整理していると、そのダンボールの底から本書が出てきた。自宅に持ち帰り、折に触れて目を通した。置いた場所を失念し再び行方不明になったり、忘れた頃に出てきたりと、そんなことを繰り返し、当時のオフコースの曲を聴き流したりしていた。そのうち当時は見えなかったものが見えてくるような気がした。

私は音楽的な知識は皆無なのだが、日本語は、まあ、人並みに使えている。そこで、「Give up」の内容を前提にオフコース作品の歌詞を吟味していった。最近、オフコースの名盤と言われるアルバム「We are」についての記事を投稿しているのは、こういった経緯から。

そういうわけで、私の「We are」に関する記事は私の想像や誤解などが含まれているかもしれない。というのは、アルバム「We are」制作時は鈴木さんの脱退問題は表面化していないからである。

しかし、「さよなら」以降、鈴木さんが曲を作れなくなったのは事実であり、その後のシングルや「We are」の収録曲の数などを見ても明らかである。そんな鈴木さんの変化に小田さんも気付いていたであろうと考えてしまう。それを前提に「We are」を聴いていくと小田さんと鈴木さんの心の葛藤のようなものが見え隠れしていると思えてならない。

つまり、オフコースの終わりは、オフコースの次のオリジナルアルバムである「over」を待たずして「We are」から始まっていたと言える。

鈴木さんは後にこう語っている。「55年から57年にかけて出したアルバムタイトルが『We are』『over』『I LOVE YOU』だったのは、もう僕ら(We are)はおしまい(over)。みなさんを愛しています(I LOVE YOU)という気持ちだったから」と。

こんなことを前提に引き続きアルバム「We are」のB面のレヴューをしていこうと思う次第です。

本書は現在Amazonではかなり値段が上がっているようですが、kindle版だと安く買うことができるようです。ご興味のある方はどうぞ。


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