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誇りと正義のために…小田和正『この道を』

CDを買うのは何年ぶりだろうか…?
そう思いながら買ったCDがある。

私の好きな漫画『坂道のアポロン』が実写映画化されるにあたって小田さんが主題歌を担当するということで、その主題歌を聴きたくて買ったものである。Amazonの履歴には2021年7月となっておりコロナ禍になって1年半くらい経過した頃。

お目当ての『坂道を上って』以外に『この道を』という曲が気に入った。この曲は2018年にTBS系日曜劇場のドラマ『ブラックペアン』というドラマの主題歌らしい。このCDで初めてこの曲を知ったのでドラマのことなど知る由もなかった。ただ、どうやら医療系ドラマということと歌詞の内容から患者のために奮闘する医師たちの物語かななどとぼんやり想像したりした。

最近、U-NEXTでドラマ『ブラックペアン』を鑑賞できることを知った。これ幸いとばかりに観ることに。

舞台は東城大学医学部附属病院。天才的な心臓外科手術の腕をもつ主人公の渡海。彼は大学病院内のブラックジャック的存在。その上司で教授の佐伯も佐伯式という彼だけにしかできない心臓外科手術の技量の持ち主。佐伯と外科学会の理事長の座を争うライバル関係の帝華大学の教授・西崎。その西崎から意を含められ東城大学に送り込まれた高階。研修医の世良や看護師の花房。

それでもけんめいに
生きていくとそう決めた

「それでも…」とあるから前提として何らかの困難や立ちふさがる壁があるのだろう。

繰り返す迷いも
争いも悲しみも

ドラマの登場人物たちは、それぞれの立場で迷い争い、そして傷つく。それでも…

すべてを時に任せて
選んだ道を行く

その道はどこへと
つながって行くのか

未だ見ぬその場所は
どんな風が吹くんだろう

誇りと正義のために
戦う自分がいるはず

登場人物たちは、自らの信念をもって自ら選んだ道を歩んでいく。外科学会理事長の座を争う佐伯と西崎。二人の教授から屈辱的な扱いを受けるが新しい手法の普及のために耐える高階。佐伯教授を尊敬しつつも何故か佐伯に反発する孤高の渡海。そんな渡海に惹かれていく研修医の世良は看護師の花房の協力で渡海の謎を解明しようとしていく。それぞれの誇りと正義のために。

晴れわたる広い空に
明日が確かに見える

どんなに険しくても
この道を信じて行く

守るべきものそれはただひとつ
それを知った

ドラマはミステリー要素も含んで進んでいく。最終回、それぞれがたどり着いた「その場所」でそれぞれは「どんな風」を感じたのだろうか?

こうして見ると『この道を』はまさにこの『ブラックペアン』というドラマに相応しい。小田さんはこの主題歌を書き下ろすために原作の小説や脚本を読み込んだのでしょう。

そして、小田さんが凄いのは最後に「それ」と代名詞をもってきたところ。

このドラマを前提にすれば、「それ」は人の命であると解釈できるだろうし誇りとか正義とも受け取れる。同時に「それ」 という代名詞によって、この曲は普遍的な存在へと昇華した。つまり、聴く者はそれぞれの「それ」を思い浮かべることができるということ。愛する存在とか自分の信念とか、人それぞれの守るべきものがあるのだから。そして、オフコースを結成して以降音楽活動を続けてきた小田さん自身の「それ」があるのだろう。

という感じで主題歌に惹かれドラマを視聴するという珍しいパターンとなりましたが、どうも『ブラックペアン』のパート2が7月からあるらしい。

あゝ、そういうことか。U-NEXTで『ブラックペアン』が解禁されたのはパート2のためだったんですね。TBSの戦略にハマっている私がいることに気付きました。きっとパート2を観ている私がいるのでしょう…

ちなみに「ペアン」とは手術用具で止血のためのものらしいです。「ブラックペアン」は佐伯教授の特製で物語の象徴ともなっています。


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