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朝ドラ余話

NHKは朝ドラの再放送というのをやっていて、今は「オードリー」と「ちゅらさん」である。
脚本家はそれぞれ大石静と岡田惠和、どちらもわたしの好きな脚本家であり、今や大御所といってもいい人たちだ。

これらの作品が放送されていた当時、わたしは朝ドラはまったく観ていなかったので、今回まっさらな目で鑑賞することができる。
なのでちょっと楽しみにしていたのである。

ところがいざ始まってみると、やはり25年近く前の作品で、現在の感覚からすると、うーん、どうなんだろうと、突っ込みたくなることも多いのである。

とくに「オードリー」はきつい。
別に話の展開云々ではなくて、登場人物のあまりの非常識さが、今の時代では容認できなくなっているのだ。

だって他人の娘に勝手に名前をつけた上に、お母ちゃまと呼ばせ、自分のうちに部屋まで作って、夜も帰らせないという、ほとんど誘拐案件の隣人と、それをまったく問題視しないどころか、大歓迎の父親という、異常な設定。
それを演じるのが、芸達者な大竹しのぶと段田安則というキャスティング。
また、娘を奪われる母親が賀来千香子で、これまた翻弄されて叫ぶ演技が上手いこと上手いうこと。

これ放送当時はどういう評判だったのか、視聴者に受け入れられていたのか、ちょっと気になるのである。

当時まだSNSもなく、今のように大勢で感想を共有する文化もなかったわけだが、現在なら炎上必至だと思うのだ。

顧みて、今季の朝ドラや大河ドラマ、ネットや録画で繰り返し観られたり、大勢の感想に晒されながら、あらを見せないというか、細部まで配慮が行き届いていて、お見事という他はない。

どんな時代でも素晴らしいものは素晴らしいが、確実に進歩している部分はあるのだなぁと、思った次第。


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