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新海誠作品:言の葉の庭って最高よ?

ここに来た皆様は新海誠を知らないはずは無いだろう。
100億越えの大ヒット作品を3連発中、ポスト宮崎駿と呼ばれている名映画監督である。

新海誠先生の作品は全部で8作品あるが、皆様の記憶に新しいのは「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」ではなかろうか。

私も新海誠作品は嫁さんとコツコツ見ているが、一番推している作品が上記3作品以外で1つあるのだ。
それについてぜひレポートしたい。

若干のネタバレもあるので、注意してほしい。

◆「言の葉の庭」


「君の名は。」の前の作品である「言の葉の庭」はご存知だろうか。
映画としては45分程度で短めだが、それが儚さを加速させる美しいロマンス映画だ。

新海誠作品に見られる美しい映像はもちろん、繊細な男女の心理描写やそれぞれで生きている社会観の違いを絶妙なバランスで表現している。

◆現代に疲れた人こそ見てほしい

これは靴職人になるという夢を追いかける青年と、人生の歩き方を忘れた女性の物語だ。

主人公の秋月孝雄は、靴職人になるという夢を追いかける高校生だ。決まって雨の日の午前に学校をさぼり、庭園のベンチで靴のデザインを考える。

梅雨入りしたある日、同じように学校をサボって庭園へ向かうとベンチにはチョコレートを
おつまみに(!?)ビールを飲む女性、雪野百香里がいた。

この出会いから2人の物語が始まるわけだが、
話が進むにつれて、なぜ雪野がこんなところでビールを飲んでいるかが明らかになる。

彼女は社会の不条理さに打ちのめされ、ストレスから味覚障害にまでなってしまった。
その結果、チョコとビールしか味がわからなくなったのだ。そんな中、孝雄の純粋さに雪野は救われ始める。

主人公の孝雄の純粋なまっすぐさと、社会に打ちのめされて歩けなくなった雪野の姿は対比しており、知り合いという距離を保ちながら物語は進んでいく。

お互いが少しずつ自分のことを話し始め、距離が縮み始めた時、梅雨が終わり、物語が動き始める。

この美しい流れから見える孝雄と雪野のやり取りや心理描写は、現代に疲れた人にこそ刺さるはずだ。
社会の不条理さや理不尽さを生きる我々は孝雄のような純粋さを忘れてしまっている。
この映画を見ていると、自分の今と過去を対比させられるような感覚に陥るのだ。

※ちなみに私は刺さりすぎて切腹みたいになっており、嫁に介錯してもらった。

現代は生きづらい世の中だ。
技術の進歩とともに人間関係は複雑化している。
社会の不条理さに辟易し、精神を病む人もいるくらいだ。
そして、それが今は普通となりつつある。

まさに現代に生きる我々に刺さる映画だと思う。

◆美しすぎる映像

新海誠作品といえば、美しい映像表現である。
太陽のハレーション、水面の反射等、様々な舞台を新海誠の手で聖地に変えられてきた。

本作も同様だ。
新宿御苑の東屋をモデルにした孝雄と雪野が出会うベンチも、美しい雨と緑の表現により舞台としての美と安らぎを最大化させている。

水の表現をここまで演出するとはさすが新海誠様。
梅雨の時期が舞台である以上、雨が降る場面が多い本作だが、どんよりとした空気感に物語に対するワクワクとした感覚をもたらしてくれる。

映像美を見るだけでも最高の映画と言えるだろう。

◆繊細すぎる心理描写

年齢差10歳程度の2人の心理描写を絶妙なバランスで表している。
性格の違いだけではない。立場の違い、経験の違い、生きる世界の違い、夢の違い。2人が共通するのは庭園のベンチに座っているということだけ。

庭園のベンチをハブとして、何もかもが違う2人が不器用に分かり合っていく様はあまりにも美しい。

しかし、映画内の心理描写では疑問が出てくる部分もあるだろう。
孝雄と雪野の心理描写に視点が当てられているため、他の登場人物の心理がわかりにくいのだ。

そこで…

◆小説版で補完しろ!!

新海誠作品は小説版も見るべきである。
心理描写だけではなく、劇中語られなかった部分まで小説版はしっかりと語ってくれる。

言の葉の庭の場合、孝雄と雪野以外の登場人物もしっかり書かれており、映画の続きまで描かれているとのことだ。

とはいえ、実は言の葉の庭の小説版は私もまだ読めていなかったりする。
サイバーパンクが忙しかったのだ…。

なぜこんなことを言うかというと、同じく新海誠作品、「秒速5センチメートル」の漫画、小説によりいろいろ補完できたからである。

物語の理解が深まるので映画視聴後、小説版も是非手に取ってほしい。

サイバーパンク終わったら読もう…

◆最後に

以上、赴くまま書き殴ってしまった。
とにかく最高にエモい作品なので見てみてほしい。

金曜日の雨の夜、ビール片手に見ると最高の気分が味わえるはずだ。
今ならアマプラで見れる。

余談だが言の葉の庭が舞台になるそう。
舞台映えする作品だろうから、是非見てみたいものだ。


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