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介護をしている全ての人へ#89 ~ 桜の木の下で②

 母と日帰り旅行、自分との時間を1分1秒も漏らさず思い出に留めようと写真を撮り続ける母を思い出した。「たのしい」「ありがとう」を繰り返していたことを思い出すと、今でも鼻水が垂れてくる。

2019年3月30日(土) 母の日記

 東京へ、往路新幹線 帰路 在来線
 8:40に夫をデイサービスに送り出す。今日は宿泊サービス利用。
 運転手さんと同乗のかわいらしい女の子に促されて車に乗り込んでいった。昨日の不機嫌から一変して今日は饒舌。
 車で駅へ、道が混んでいて、あと一歩というところで乗車予定の新幹線を逃がす。その旨、息子に連絡するも電話に応答なし。
 久しぶりの新幹線は満席だったが、親切な若者が席を譲ってくれた。髪を短く借り上げて、自衛隊の兵隊さん? 長男が大学に行かずに自衛隊に入ると言い出した時には、家族中で反対したけど、あれほど凛々しいなら賛成してあげてもよかったかもしれない。
 長男から、ウィックの手入れをしてくれる美容室の予約を30分遅らせてくれた旨の連絡あり。LINEは便利。
 よく考えれば、私が東京まで出向かなくてもウィックの手入れはできた。気分転換させてくれた息子に感謝。
 東京駅から、タクシーに乗って銀座の美容室へ、親切そうな美容師さんが、髪型や色合いなどの相談に乗ってくれた。
 今度は、少し華やかなスタイル、田舎のおばあちゃんには少し派手にみえる。
 昼ご飯は、銀座の割烹加賀屋。すごくおいしかったけど、支払いが心配。
 昼食後、運動靴をプレゼントしてくれた。今日は、桜を見ながら皇居の中を見ることができるという。すごくうれしい。
 こんなに気配りができるのになぜ息子にはいい人ができないのか…2回も結婚している〇〇さんの馬鹿息子を少し羨む。
 30分ほど行列にならんで宮城へ、”病は気から”ということがよくわかった。膝の痛みも感じることなく1時間ほどの散策。一生の思い出、ありがとう。
 東京駅の大きなお弁当屋さんで深川弁当(私)と牛肉のお弁当(長男)とお茶とビールを買って、二階建ての東海道線に乗って帰路につく。根府川あたりは海が見えてすごく景色がいい。
 何もかも楽しかった。いい息子がいて幸せ。

2019年3月30日 (土) 私の日記

 母と東京見物、母と二人で旅行できるのはこれが最後かもしれない。
 カツラの手入れをして、母がよく話をする、加賀屋で昼ごはん。銀座の店を眺めて、皇居の桜をみるだけの短めの東京見物。次は、”はとバス”に乗りたいと言っていたが、実現出来たらうれしい。
 膝に水が溜まっているのに、がんばって歩いてくれた。
 母、いつもより饒舌で楽しそうだった。皇居の桜の写真を清水の友達に送信していた。
 この先、幸せな時間が少しでも長いこと、母が苦しむことが無いように祈るばかり。

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