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腸研究が導く、最新腸活

腸内細菌の歴史は長く、最初の発見は 1670年代に遡ります。オランダのレーウェンフックが、自作の顕微鏡を使って、大便の中に肉眼では見えない多数の微生物が存在していることを発見したことが始まりと言われています。

19世紀後半から腸内細菌を対象とした科学的研究が開始され、パスツールやコッホによって細菌学の基礎が築かれました。大腸菌やビフィズス菌、乳酸菌などがこの時期に発見されました。

20世紀になると腸内細菌に俄然注目が集まり出します。腸にはいい働きをする菌と悪い働きをする菌がいて、どうやらブルガリア人が長寿なのはヨーグルトに含まれる乳酸菌のおかげらしい。ということでヨーグルトブームが巻き起こり、今日のプロバイオティクスにつながっています。ヨーグルトのブームは100年以上続いているという事です

プロバイオティクスとは

プロバイオティクスは、体に良い働きをする微生物(主に細菌)のことです。これらの微生物は、特に腸内に住んでいて、私たちの健康に良い影響を与えます。
例えば、ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる微生物がプロバイオティクスです。これらの微生物は、私たちの腸の中で活躍し、消化を助けたり、免疫システムを強化したりします。
要するに、プロバイオティクスは私たちの体にとって友好的な微生物であり、健康に良い影響をもたらすものです。

しかしデメリットもあり個人差によって腸内環境や健康状態が異なるため、同じプロバイオティクスでも効果が異なる場合があったり食事、運動、ストレスなどがプロバイオティクスの効果に影響を与える場合があります。

さらに研究はすすみ、人の腸内には膨大な数の腸内細菌が棲んでいて、細菌同士が腸内にびっしりと群棲していることが分かりました。
菌が主植物の叢のように見えることから「腸内細菌叢」、または「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。20世紀末になると"腸活"ブームはますます過熱していきます。今度は腸内細菌を育てましょうというプレバイオティクスという考え方が提唱され、食物繊維やオリゴ糖を含む健康食品がドラッグストアに溢れ返りました。

プレバイオティクスとは

プレバイオティクスは、私たちの腸内で善玉菌(体に良い菌)の活性を促進する食物成分のことです。具体的には、私たちの体が消化できない食物繊維やオリゴ糖(糖分子が短い鎖で連なったもの)が含まれます。

これらの成分は、私たちの腸内環境を整え、善玉菌の増殖を助ける働きがあります。善玉菌が増えることで、腸内のバランスが整い、健康に良い影響をもたらします。簡単に言うと、プレバイオティクスは私たちの腸の中で善玉菌を元気にする食べ物の一種です。

しかし、やはりデメリットがあり、適切な種類や量のプレバイオティクスが摂取されていないと効果が得られない場合があったり、腸内環境や健康状態によって個人差がある場合、体質によって既存の腸内環境がプレバイオティクスの受け入れに適さない場合があります。

その後もプロバイオティクスとプレバイオティクスのいいとこ取りして、どちらの要素も兼ね備えるシンバイオティクスも登場しました。

さて、このように腸活はもはやブームではなく、健康の常識とされています。それもこれも、腸内細菌研究が進められてきたおかげです。世界中の研究者のおかげで腸内細菌叢のバランス具合が肥満や糖尿病の予防に繋がったり、鬱を改善したり、認知症に何らかの関わりがあったり、睡眠の質を上げたりという可能性が注目されています。

そこでここ数年、新たな考え方として提唱されているのがポストバイオティクスという概念です。これは腸内フローラを介さず、直接腸から吸収されて体内で作用します。

なんの為に腸活をするのか?それは「乳酸菌生産物質」を作るため。

『乳酸菌生産物質』とは、乳酸菌、すなわち善玉菌によって作り出される代謝物です。
乳酸菌生産物質にはペプチド、ビタミン、短鎖脂肪酸をはじめとする数多くの物質があり、生体調節や免疫、病気の予防、老化の制御など多くの作用があることから、私たちの健康には必要不可欠な物質と考えられています。
いわゆる"善玉菌"と呼ばれる腸内細菌は、腸の蠕動運動の促進、腸内を弱酸性に保つことで有害菌の働きを抑制、免疫の働きの調整、生活習慣病の予防などさまざまカラダにいい働きをしてくれます。でも実はさまざまな健康作用を及ぼしているのは、腸内細菌が作り出す代謝物の方ではないか、ということが分かってきました。

数々の研究と発見で、腸内環境への考え方が変わってきています。
しかし「腸活」を目的として摂取している食品のトップは、いまだに「ヨーグルト」 。 次いで「納豆」、「乳酸菌飲料」というデータも出ており、 やはり日々の食事から生きた 乳酸菌を摂取するプロバイオティクスが「菌活」に直結していることがわかります。

従来欧米でもプロバイオティクスが主流でした。 しかし、参入企業の増加や、 幅広いエビデンスの進行によって、 最近でプロバイオティクス、プレバイオティクスにならび、殺菌菌体や代謝物を指すポストバイオティクスとしての定義も進んでいる。

ヨーグルトを食べる。食物繊維を摂る。発酵食品を摂る。
それはもう古い方法かもしれません。

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