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妊娠糖尿病(GDM)と妊婦健診で言われたあなたへ〜お産編〜

こんにちは!
福井県から、助産師のゆっきぃです。

前回は、妊娠糖尿病になると、お母さんや赤ちゃんにどのような影響が出るの?と言うことや、診断されたら、妊娠中どんな治療を行っていくの?ということなどについてお話しました。

今回は、妊娠糖尿病があったらお産は経膣分娩できるの?ということや、陣痛が始まる前にお産をするの?、またお産のときのも合併症はあるの?、そして生まれた赤ちゃんにはどんな合併症があるの?ということなどについて、助産師が分かりやすくお話していきたいと思います。

1. お産は経膣分娩できるの?

妊娠糖尿病の妊婦さんであっても、基本的にお産の方法は経膣分娩です。
帝王切開は、産科的な適応がある場合に限られます。
産科的な適応とはどのような場合でしょうか?具体的にご説明しますね。

帝王切開は通常、赤ちゃんの状態やお母さんの状態が悪化したために緊急の出産が必要な場合や、赤ちゃんが大きくて経膣分娩が難しいことが予測される場合、あるいは糖尿病の合併症が経膣分娩することによって悪化する危険性が高い場合に行われます。
ちょっと怖いですよね。
ただ、妊娠糖尿病を持っている妊婦さんでは、帝王切開率が一般妊婦さんよりも高いことも事実です。
例えば、妊娠糖尿病妊婦さんでは、妊娠末期になって赤ちゃんの状態が突然悪くなることがあります。
妊娠末期に胎児心拍数モニタリング検査を行い、もし赤ちゃんが苦しいというサインがあれば、帝王切開になる可能性が高くなります。
また血糖の管理が不十分な場合には、4kg以上の巨大児を出産することもあり、その場合経膣分娩は困難になってきます。

そして4kg未満であっても、赤ちゃんの肩に筋肉や脂肪が蓄積するために、赤ちゃんの頭が出た後に肩がでることが困難になる場合もあり、重症仮死を起こす危険性があります。
これを肩甲難産というのですが、肩甲難産が予想される場合にも帝王切開が選択されます。
また、血糖の管理が上手くいかないと、妊娠高血圧症候群になる可能性が高くなります。
足の浮腫や、尿にタンパクが降りてくる、高血圧になるといった特徴が出てきます。
そのような場合も帝王切開の可能性が高くなるので、血糖を上手くコントロールしていきたいですね。

2. 妊娠糖尿病があったら、陣痛が始まる前にお産するの?

妊娠糖尿病であっても、お母さんの血糖値が食事療法で良好に保たれ、お母さんに合併症がなく、赤ちゃんの健康状態や発育も正常であれば、多くの場合、40週6日まで自然陣痛を待つことが可能です。
しかし、41週以降は分娩誘発を行うことが勧められています。
では陣痛が始まる前にお産をする必要があるのはどのような時でしょうか?

それは、自然陣痛が起きてくるのを待つ間に、お母さんや赤ちゃんの状態が悪化する危険性があると判断される場合です。
妊娠中は胎児心拍数モニタリングという検査や、超音波画像を用いて赤ちゃんの健康状態を検査します。
この検査で赤ちゃんが苦しいというサインを出している場合には、妊娠週数などを考慮した上で、陣痛が始まる前にお産をする場合があります。
また、お母さんの血糖の管理がとても難しい場合や、重度の糖尿病の合併症を持っている場合、あるいは妊娠高血圧症候群を合併している場合も、予定日以前に分娩誘発や帝王切開分娩を行うことがあります。
その時には、さまざまな検査で赤ちゃんの成熟度具合を確認した上で実施します。
この時、お産の方法は、お母さんの合併症や赤ちゃんの推定体重、赤ちゃんが逆子かどうか、お母さんの既往歴などから判断します。
そして帝王切開する理由がない場合は、経膣分娩で出産することを選択できます。

3. お産の時にも合併症があるの?

お産の時には、お母さんの血糖を定期的に測定し、正常な範囲に維持することと、胎児心拍数モニタリングで赤ちゃんの健康状態を連続して確認することが大切です。
経膣分娩中に最も起きやすい異常は、胎児心拍数モニタリングの異常です。
赤ちゃんが苦しいサインを出します。
助産師たちは、そのような万が一の場合に備えて、帝王切開にすぐにシフトできる準備を整えながらお産のサポートに当たりますので、安心してくださいね。
また、妊娠糖尿病を持つ妊婦さんでは、赤ちゃんの推定体重が正常な範囲であっても、頭に比べて肩幅が大きく、赤ちゃんの頭が出たあとに肩が引っかかって肩が出てくるのが困難になる場合もあります。 
このような肩甲難産の頻度は低いものの、熟練した産科医の対処が不可欠です。
また赤ちゃんの娩出には母体に麻酔をかける必要が生じます。
赤ちゃんが仮死状態で生まれる危険性もあり、蘇生のための新生児専門医が必要になります。
私たち医療スタッフは、一丸となって皆さんの出産に臨みますので、安心してくださいね。

4. 生まれた赤ちゃんにはどのような合併症が起こるの?

妊娠中の血糖コントロールが悪い場合は、巨大児もしくは低出生体重児として産まれる可能性が高くなります。
特に赤ちゃんが大きい場合、経膣分娩の時に、産道の抵抗が大きくなるため、頭血腫、頭蓋内出血、上腕神経麻痺、鎖骨骨折などお産の時の損傷を伴う可能性がゼロではありません。
また出生後は、妊娠中の高インスリン血症の結果として、赤ちゃんが低血糖、特発性呼吸促迫症候群、多血症となりやすいので、十分な経過観察が必要となります。
出産直後から、私たち医療スタッフがしっかりと観察させていただきますね。

参考文献
1)糖尿病と妊娠に関するQ &A、日本糖尿病・妊娠学会
2)福井糖尿病療養指導担当者講習会教本第3版、福井糖尿病療養指導研究会編


いかがでしたでしょうか?
今回は、妊娠糖尿病があってもお産は経膣分娩できるということや、陣痛は40週6日まで自然陣痛を待つことができるということをお伝えしました。
また、お産の時には、お母さんのお母さんの血糖を定期的に測定し、正常な範囲に維持することと、胎児心拍モニタリングで赤ちゃんの健康状態を連続して確認することが重要だということ、妊娠中の血糖コントロールが悪い場合は、様々な合併症が起こる可能性があることをお伝えしました。

次回で「妊娠糖尿病(GDM)」シリーズも最終回です。
次回もお楽しみに。


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