実を言うとロシア経済はもうだめです。突然こんな事言ってごめんね?っていうお話


でも本当です


私、以前こんな記事を書きました。


この記事を要約しますと「ロシアは戦争準備金として金(GOLD)を開戦前に溜め込んで戦争の経過と共に現金化して戦費にしてるっぽい、でもってもう枯渇してる」


こんな記事も書きました。


この記事の要約は「ロシアは以前から円高誘導の為に日本円を外貨備蓄してたっぽくて今次戦争で戦費にするために吐き出してるっぽい、でもってもう枯渇してる」


ロシアさんお金無いです、猛烈に無いです。
あちこちで「ロシアはオケラになって負ける」と呟かれてます。
それに対してロシアは擁護派からは「そんな事無ぇよ」という反論が出て来てます。
開戦初期には「ロシアは食糧と石油を自給自足出来てる国なんで負けない」みたいなの。
両方とも輸入任せの本邦への当て付けのつもりだったんでしょう。


最近、こんな記事がTLに流れて来ました。

こちらの記事を要約しますと「ロシアが今次宇侵攻に費やした費用はGDPの3%で第二次大戦の対独戦時には61%だったし第二次大戦時の米国は50%だったので全然少ない。因みにソ連のアフガン侵攻の時は0.4%だった」


こちらの記事を読んだ私の印象はこうです。

第二次大戦のソ連の戦いは酷いもんでした。
軍人、民間人合わせて2660万人の方が亡くなったと推定されています。
ちなみに太平洋戦争で亡くなった日本人は、B-29に空襲されて原爆2発落とされて、軍人、民間人合わせて290万人前後です。
当時のソ連は日本の10倍近い犠牲者を出して侵略して来たドイツ軍を追い返し、逆にベルリンまで攻め込んで勝利しました。
ロシア人の誇りです。
この第二次大戦のソ連とドイツの戦い(ロシアでは『大祖国戦争』と呼んでいる)は、有史以来最悪の戦争と言われてて、犠牲者の数は群を抜いています。

現在のロシアがウクライナの首都攻略に失敗して以降ジリ貧で費用も人材もジャブジャブ使い倒してそれでも勝てると思ってる根拠でもあります。
おそらく大抵のロシア人(特に年配の方)は「大祖国戦争に比べたら大した事ない」し、このまま力押ししてれば押し返して勝てると考えてるのでしょう。

ロシアさんは大事な事を忘れています

しかし、大祖国戦争と今回のウクライナ侵攻とでは大きな違いがあります。
大祖国戦争では英米は味方でしたが、今回はウクライナ側に付いているのです。
大祖国戦争の時に使ったGDPの61%、殆どは自前じゃないのです。
特に米国からのレンドリース法による支援は絶大でした。
今回はそのレンドリース法はウクライナ側に適用されています。
大祖国戦争の時のエピソードは今回ウクライナ側に例えられるべきなのです。
(まぁ実際当時ウクライナはソ連の一部で参加してますし侵略も受けてます)
そもそもロシアさん、米英を敵に回して起こした侵略戦争はだいたい負けた上に国家破綻してるんです。
クリミア戦争と日露戦争の時は結果的に革命起きて違う国になりましたし、アフガン侵攻ではソ連が消滅しました。
前例が2回あるのです、じゃあ3回目も同じ結果になると予想するのは自然な流れです。

あと、単位が違うのです

数字を比較する場合には、その比較条件を揃えなければなりません。
GDPってのはその年にその国が稼いだ金額の事で、戦費とはその戦争が始まってから終わるまでにかかった費用の事です。
戦争が何十年も長引けば何十年分のその国の稼ぎの中から戦費を捻出する事になるので、経済的負担として考えるのなら1年辺りの対GDP比率で考えるのが打倒です。
大祖国戦争はだいたい4年やりましたので1年当たりの対GDP比率は約15%、アフガンは10年ですので0.04%になります。
ウクライナ侵攻はもう1年4ヶ月程になりますが、統計が出た時点での数字はもうちょっと前の時期の物になるでしょうし、計算の簡略化の為に1年とします。

となると、それぞれの戦費の対GDP比率/年は
・大祖国戦争時は15%
・アフガン侵攻時は0.04%
・ウクライナ侵攻は3%
となります。

現在ロシアがウクライナ侵攻に使った戦費は、対GDP比較でソ連のアフガン侵攻時の75倍にもなる、という事です。

…うん、「歴史的に見て非常に少ない」額で国家破綻してるんですねソ連さん。

まぁ実際には戦費で破綻したというよりは経済制裁が効いたと考えるのが妥当でしょう。
GDPの0.04%が10年続いた所で国が潰れるとはちょっと考えにくいです。
ところがコレが3%となるとかなり効きますよね。
それでいて経済制裁の効果もソ連時代より大きい。
ソ連時代は冷戦真っ只中でソ連は西側諸国と殆ど経済交流が無かった。
それでも制裁で断絶されたら国家破綻しました。

今回のウクライナ侵攻の場合、開戦前迄のロシアは普通に西側諸国と取引していました。
それがいきなり中断されます。
今まで西側から手に入れていた物は全部身内で用意しなければなりません。

…ところが、ロシアが自前で作れる物は限られるのです。

こちらは2021年版知的財産権等使用収支のランキングです。
ロシアは後ろから5番目、特許等の収支で黒字になれない国だと分かりますし、他の国に売れる技術も無いという事が分かります。
また、上位の国々は殆どが西側の国で、この表では見る事が出来ませんが収支が黒字になってる国は10位にまで届いていないのです。

つまり、西側諸国とお付き合いが切れた国は最新の技術を得る事が出来ないので先進国でいる事が出来ません。
良い例が北朝鮮とイランです。
一般市民レベルではそらもう今時のアフリカの辺境国より貧しい生活しています。
そんな国が今まで国家としての形を維持出来たのはロシアからの支援があったからでしょう。

では、ロシアがそうなった時に国体を維持出来るだけの支援をしてくれる国はあるでしょうか?

A:ありません

その時には、かつてソ連が崩壊した時と同じ事が起きる筈です。

それが終わりの合図です

ソ連のルーブルはかつてドルやポンドと同じケタでした(当時ユーロはまだ無かった)
ソ連崩壊後にルーブルは大暴落して今や日本円と変わらないレートです。
つまりルーブルは1/100になったって事ですがそれは対円比較の話で円は昔は対ドル比較で200円以上でしたから半分迄は行かなくても2/3位にはなってるという事です。

『ソ連崩壊後』と書きましたが、ソ連が崩壊したのは1988~91年でルーブルの暴落は1995~99年の間に起きていて、ルーブル安がソ連崩壊の原因になった訳ではなくソ連崩壊後に旧東側世界の経済が西側と交流する様になってから起きています。

ところが今回のウクライナ侵攻では開戦前から西側経済との交流がありましたんで開戦時から為替はダイレクトに動きます。
開戦直後からルーブルが暴落した時にはちょっとした騒ぎになりましたが、ルーブルが金利を大幅に上げた事から反転して高騰し、元の価格の倍近くになりました。

が、その価格を維持出来ずにじわじわと下落を始め、金利もいつの間にか元の水準に戻ってルーブルは価格を維持出来ずに元々の価格を割り込んで止まる気配はありません。


それがやんだら、少しだけ間をおいて終わりがきます。

私はロシア語読めませんので現地の情報に直接触れる事は出来ないのですが、去年の割と早い時期から「ロシア経済は23年夏頃に破綻する」という話を何ヶ所かで見かけました。
それはロシア国外の野次馬の意見ではなく、その内のひとつはロシア財務省のトップによるプーチンへの報告だというお話も聞いてます(私自身はこのニュースのソースに辿り着いてません)

で、コレ書いてる時点で既に7月、『もう夏』なのですよね。

財務省トップの発言のソースを探していて見つけた記事がありましたんで貼っておきましょう。

この記事を要約すると「為替介入するのに石油ガスの売り上げじゃ足りないんで外貨売却してます23年の2月は1月の3倍の外貨売却します」

私が最初に貼った円安の記事やルーブル暴落の可能性を裏付ける内容になってます。

ロシア財務省の人はこうやって在庫の確認しながら放出している訳なので、在庫切れがいつ頃になるのか予想はしているのだろうな、とも取れる記事です。

『夏』と言える時期はコレからせいぜい2ヶ月です。
何が起きるのか刮目しましょう。

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