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映画館に好きな人を見に行く。ただそれだけでも。

「今のうちにできることをしておいた方がいいよ」

産休に入ってから出産を迎えるまで猶予があるこの時期は、どうやら無敵の期間らしく。

先輩ママたちに「今しかできないことを楽しんで!この先自由なんてないから!」と励まされてるような脅かされてるような言葉を、たくさんいただきました。

「今しかできない」と思いすぎると悲しくなるので、意識しすぎないようにしつつ。

今日は見たい映画があり、映画館に行ってきました。確か「映画館に行く」も、この時期のおすすめとしてマタニティ雑誌に書かれていたなと思いつつ。


見たのは「劇場版 アナウンサーたちの戦争」。シリアスな作品で、心が元気なときじゃないとだめだ!と思っていたら……公開からだいぶ時間が経ってしまいました。

内容は、太平洋戦争中にラジオ放送による「電波戦」に巻き込まれていった、日本放送協会のアナウンサーたちの実話に基づく物語。去年テレビドラマとして放送され、この度映画化されたものです。

数ある作品の中でなぜ今、これを見に行ったのか?

答えは簡単で、主演が森田剛だから

戦時中のことを知るべきだから、ではなく「自分が好きな人が出てるから」なんて。あまりにも安易で怒られてしまいそうですが。

それでも、見てきました。

作品の中で描かれる「電波戦」は残酷で。嘘の言葉を、アナウンサーたちがそれらしい伝え方で伝えることによって、国民の心が簡単にコントロールされてしまう様子が描かれていて。

当時の残酷さに胸が締め付けられながらも、嘘か本当かわからない情報を簡単に信じて、知らないうちに人を傷つけているのは現代も一緒だな……とゾッとしました。

エンタメを通してしか歴史的なことや現代の問題と向き合おうとしないなんて、卑怯かもしれません。

それでも、見ていなければ知らないことを知れたし、感じられなかったことを感じることができたので。そこにはきっと意味があると、信じたいです。


お腹の中の人が大きくなる頃には、この時代はどうなっているのだろう。

一人で映画を見ているはずが、二人で見ているような感覚になってくるのだから妊婦というのは不思議なもので。

いつか今日のことを思い出して「あの頃はまだマシだった」なんて、言わなくて済むように。

過去や今の問題と向き合うきっかけを、産まれてくる人と共に定期的に作っていけたらな。

例え「映画館に好きな人を見に行く」みたいな、安易な向き合い方だったとしても。

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