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Lavender | #ほしかったラブレター

振り返ると、もっと早くに出会っていたとしても、おかしくなかった。

初めて出会った時から1年間、〇〇は、偶然、私の隣の席だった。
でも、なぜか、その期間に、〇〇と話した覚えが未だにほとんどない。
業務の連絡しかしていなかったから、かな。

次の年、〇〇は、私から離れた席に移動した。
だけど、〇〇と話したことは鮮明に残っている。
あの時、いろいろあったから。
恋愛とか浮ついたこと、考えている暇はなかった。

なのに、気付けば、私は、なぜか、〇〇に惹かれていた。

きっかけを思い出せないのは、
〇〇がずっと優しかったから、かもしれない。

そんな気持ちに嘘を付けなくて、
でも、何かを知りたくて、
勇気を振り絞って、〇〇を誘って、二人きりでご飯に行った。

会う前から緊張して、
さらに、目の前に座られて、余計に緊張して、
内容のほとんどを思い出せない。

大笑いするようなことはなかったけど、
なぜか落ち着いた、あたたかい時間だった。

お互いのことを少し知れて親近感が増したのは、私だけなのかな。

その次の年、〇〇と私は、再び隣同士になった。
〇〇と話した上で、席を隣同士にした。
それは、偶然というよりも、当時の人間関係と私情がそうさせた。

2年前とは違って、左に影が見えると緊張した。
でも、影が見えないと寂しかった。

そんな日々は、早く過ぎていき、気付けば、別れが来ていた。

人との別れを経験すると、私は、一定期間、からっぽになる。
当時は、本当に、全てを無くした様になった。

人を好きになるのに、理由はいらない。
そんな誰かの言葉に共感した。


時々、今でも、〇〇と複数人を交えて、会うけれど、
伝えない方が、関係性を崩さず、
好きなままでいられる、いや、いたいから、
この想いを伝えられない。

でも、〇〇は、前回の帰り際に、
社交辞令か、本心か、分からないけど、
「また、今度の春頃に。」ポツリと言った。

期待させないでほしい、でも期待してしまう。

もうすぐ、その春が来るから。

(800字)


山根あきら さんの企画に、突然、参加させて頂きます。
よろしくお願いします。

素敵な企画をありがとうございます。

お相手の名前を書いてください、とのことだったのですが、
どうしても書けなかったので、〇〇としました。
山根さん、ごめんなさい。。。


2月14日の23時59分まで、まだ時間はありますので、
皆様もぜひ参加してみて下さい。


皆様のバレンタインデーが、素敵な時になりますように。

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