'preversion'とは?映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より
長年愛用してきたiPhone8を道に落として割ってしまったため、先日しぶしぶSEに買い換えたのですが、
その際にApple TV+に3ヶ月間無料で入れる特典がついてきたので、昨年劇場で見逃していたマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観ていたところ、気になる英語表現がありました。
時間で言うと、1h35m辺りのところで、アーネスト(ディカプリオ)とヘイル(デ・ニーロ)の対話のシーン。文脈は、白人夫のアーネストがオセージ族の妻モリー(リリー・グラッドストーン)の妊娠を告げたのを受けて、ヘイルが言う台詞。
preversion?
'preversion'という語は通常の辞書には載っていない。おそらくperversion「(性的)倒錯、堕落、誤用」のそれこそ誤用なのだろう。
作中冒頭でアーネストが女好きで"I like red. I like white. l like blue. l like all of'em"などとどんな人種でも構わないといった人物だとの前置きがあったことを踏まえてのperversionなのでここでは「(性的)倒錯」というニュアンスでの発言なのだろう。
ヘイルが普段はオセージ族の後見人を気取りながら、2人の間での妊娠を「倒錯」と呼ぶような実は差別的な人間であり、しかも何かにつけて好んで聖書を引用したがるくせにperversionをpreversionと言い間違える程度の教養であることなどをこの誤用によって観客に伝えようとしていると思われる。
ちなみにApple TV+での日本語字幕は、
という、文脈と文字制限を踏まえた意訳となっていた。私だったら「それもお前の錯倒なのだろうが...」などとするかなあ。
映画自体の感想はFilmarksに投稿したので、よければそちらも合わせてどうぞ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?