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当たり前に「選べる」人生を支援する

そういえば、音声とか自分のFacebookページの告知などではお知らせしたり発信していたんですが、テキストで改めて書いたことがなかったので、少し書かせてもらおうと思います。
僕が住んでいる地域でこれから始めようとしている「障害者の婚活支援」についてです。



もともと話の始まりは自分の事業所を利用している利用者さん達の生活を見ている中で思ったことでした。



うちの事業所ではいいのか悪いのかちょくちょくカップルが生まれます。
交際から同棲、結婚まで支援させてもらったカップルもいますし、普通に交際の中で起きる問題やトラブルに介入させてもらうこともあります。


そうかと思えば、今までずっとそういった異性との交流だったり、性という問題からずっと忌避されてきたが故に触法行為に及んでしまった方とお話している中で、性の問題以前にそもそも異性との関わりの経験値が圧倒的に不足していることが分かったりもしました。


ずっと考えていたんですが、よく見渡すとそもそも一応の性教育くらいは受けていらっしゃる方は少なくないけれど、こと異性との交際だったり、将来的な結婚みたいなことって僕が住んでいる地域では全くと言っていいほど支援がありませんでした。


もちろん個別ではそういう支援もされてきたのかも知れませんし、今までにもそういったものは存在していたことはあるのかも知れませんが、僕が調べる限りでは特に恋愛や結婚のための支援というのは存在していませんでした。
どころか、何となくの肌感ですが、どちらかというと障害者の恋愛や結婚、というのはトラブルや問題が多くてあまり歓迎的な感じではない?とさえ思えるところが端々に感じられることも。



ちょっと極端な例だと、いわゆる異性間トラブルが発生するリスクを懸念してかどうか分かりませんが、支援事業所によっては連絡先の交換を禁止している、とか。
恋愛については「プライバシー」なので基本ノータッチでいて、トラブルが起きてから介入したり、場合によってはそれでも介入しなかったり。
これは少し世代的には古いのかも知れませんが、そもそも障害がある時点で我が子には恋愛も結婚も無理だしトラブルを起こしてはいけないから、とそういったものに触れさせずに育ててきていたり。


あくまで極端な話ですが、どうやら障害者の、特に当事者同士の恋愛だったり交流というのがあまり好意的に受け止められていないような感じさえ受けていました。



確かに事業所で支援をしていても、当事者同士の恋愛にはトラブルも問題もないとは言えません。
ただそれは起こそうとして起こしているものでもなければ、当人同士は真面目にお付き合いをしようとしてそれでも若さゆえだったり、経験不足ゆえに起きるものがほとんどです。


なんならそれは僕らが若い頃にそうだったように、と思えてなりません。



いわゆる「障害特性」と呼ばれるものから、対人スキルに課題があってその上で恋愛となれば難易度はあがるのかも知れません。
情動の振り幅が激しくなるので、情緒面の課題がある方だとその浮き沈みが自傷だったり他傷などの表出に繋がることもあるかも知れません。
よく心配される「乱れた性交渉」のきっかけになるかも知れません。
「恋愛依存」のような心理状態の温床になるのかも知れません。



リスクと心配を列挙すれば確かにそうかも知れません。


ただ、それは結局彼らがいつか自発的に恋愛をすることがあれば自然と生まれてくるものです。
これらのリスクや懸念は、それこそ抑制できるものではなくどこかで向き合わないといけないものです。


だったら見えないところでそんなトラブルが生まれて当事者もしんどい思いをするようになるよりも、はじめからしっかりと支援をするスタンスで障害者の恋愛や結婚に僕ら支援者自体が向き合ったほうがいいんじゃないか、と思いました。



今でも「マッチングアプリ」とか「婚活パーティ」とか「結婚相談所」とか、一般でも恋愛や結婚に苦手さをもった方向けのサポートと言うか支援みたいなものは多く存在しています。
ちょっと表現は不謹慎かもしれませんが、障害の有無を問わず異性との交際や関係づくりに困難さを抱えている方がいるからそういったサービスが生まれているんだと僕は認識しているんですが、なぜそれが障害がある方にはないんだろう?
と考えたわけです。


一般に流通しているそういったサービスも、決して障害がある方はご遠慮願います、とは言われてはいませんが、実際には少し利用に躊躇してしまうのも事実、だと思います。
もちろん利用されている方もいるんだと思いますが、そもそも恋愛自体に一歩踏み出せてない方にはやっぱりちょっと遠いサービスというのが体感じゃないかと思います。


なので、単に障害者向けの婚活サービス、ではなく「支援としての婚活サポート」というところから設計してみたらどうか、と考えて動かしだしたのがこれから始める「障害を持たれた方向けの婚活支援」です。



僕らもまだ動かしてみなければ分からない部分も多々ありますが、ただの出会いイベントや婚活パーティをするんじゃなくて、当事者の方が恋愛に踏み出すためのサポートを支援者さんと一緒に踏み出せるように設計していこうと考えています。


なので、イベントからではなくて「彼氏彼女をつくるためのプチ勉強会」みたいなものを定期開催しながら、そこで少しずつ恋愛のためのノウハウを勉強して、支援者さんともやりとりしながら初めて出会いのためのイベントに参加する、みたいな流れを作ってはどうか、ということを試みています。


当事者だけでなく支援者さんも巻き込まないといけない取り組みなので、それがどう地域に受け止められるのかは分かりません。


でも、当事者の方を支援するって福祉サービスを上手く利用すればいい、というものではないですよね。
本人のライフステージに合わせた支援というものは必ず必要で、子どもから成人になりました、そこで就労をしました、グループホームとかで暮らし始めました、で人の人生は完結はしないじゃないですか。


遊びにも行きたいし、旅行にも行きたい、車の免許を取りたい人もいれば、恋愛や結婚をしたい人も当然います。


障害があることで、支援を受けていることで?、人生の選択を諦めないといけない、って多分おかしいことです。
もちろんそこを支援するインフラがないから「仕方ない」としてしまうのもとってもおかしな話です。



恋愛や結婚を賛美して盛り上げようとしているわけじゃありません。
そこは当事者の方が選択したらいいことだと思います。


大事なのは「選択できる」ということだと思っています。


就職したい、と思ったらそちらにチャレンジするための支援が受けれられる、転職しようと思ったら支援が受けられる、免許を取りたいと思ったらそのための支援が受けられる、恋愛や結婚をしたいと思ったらそのための支援が受けられる。
支援が必要な方が自分の人生を選択するときに、「支援が受けられない」から選択できないということがなんだかとても嫌だなぁ、と思います。


自己責任で行う場合の選択肢はたくさんあるのに、支援が必要な方に必要な支援がなくて結果選択肢がなくなってしまう、というのはきっと僕ら支援をする側の最も大きな課題なんじゃないかと思うんです。


もちろん個人への直接支援は大切です。でも直接支援だけでは人生や生活を支えることはなかなか難しい。インフラがなければ進められない支援もあります。


たまたま今回は婚活支援というところを手掛けていますが、きっと障害を持たれた方が自分らしい人生を送るためにはもっと「選択肢」を増やしていくことは必要だと思います。


今回の取り組みが、そのきっかけになったらいいな、という想いを込めて、ちょっとずつ進めていってみようと思います。


主に地元の支援者と運営しているオンラインコミュニティ「ふくし会社margin」で運営していますが、いろんな地元の福祉人や、民間の結婚相談所の方にも協力いただきながら進めています。


まずは8月21日にプチ勉強会としてセミナーを開講しようと思います。
興味がある方、いらっしゃったらぜひご連絡ください。

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あ、あとこんな活動をちょこちょこ行っているオンラインコミュニティ「ふくし会社margin」も興味がある方はぜひ覗いてみてください。



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