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福祉は「出口」のプロセスを設計しなきゃいけないんじゃないか

まだまだ情報が行き届いているとは言えないんですが、実は福祉には様々な入り口があります。公的な機関(行政)などはもちろんのこと、指定認可を受けた事業所だったりインフォーマルな資源だったりと意外と多彩です。
 
 
もちろんその入り口を知らない方にとっては、決して間口が広いとはいえないので、僕らは情報を必要な方にどうやって届けていくのか、という事が重要な課題だったりするんですが。
 
 
ただそれよりも重要な課題だな、と思うのは「きちんと設計された出口の少なさ」とだと感じています。
 
 
婚活支援とか障害者の性について、marginというオンラインコミュニティから地域の中で取り組んでいてすごく顕著に感じるんですが、ややもすると福祉の出口は「就労」に集約されがちで、それ以外の出口についてはもしかしたらあまり議論もされていないのかもしれません。
 
 
これは僕のものの見方の問題もあるのかもしれませんが、ずっと「福祉が社会に融け込む」と言ったり「社会との接地面を増やす」と言っているんですが、それはつまり福祉から社会に繋げていった上で、そこにも委ねながら支えていけるようになることだと思っています。そして最終的には福祉にほとんど頼らずに、繋がった社会の中である程度やりくりしていけるようになることが理想です。
 
 
 
それこそ「就労」のプロセスがそのいい例で、例えば支援機関から一般就労をすると一定期間並行して就労しつつも福祉的な支援を受けられます。そして就労自体が安定したら制度としての就労支援は終結に向かいます。
福祉(支援機関)から社会(雇用している企業)に繋げていった上で、社会に委ねながらやんわりと間接的に本人を支えていくという流れが設計されていますよね。
障害者雇用の推進や福祉制度の後押しが強い側面もありますが、この流れ自体は終わりどころの是非は別として、福祉が社会の中に入っていき、接地面を増やしていって社会の中に対象者の方をランディングしていくプロセスはきちんと踏まれています。
 
 
 
多分これと同じようなプロセスがいろんな場面で生まれていくことが必要なんじゃないかと思うんです。
 
 
 
恋愛や結婚という出口、性についての発散や相談が果たせる出口、暮らすということの出口、楽しむという出口。
もちろんその先にはまた新たな福祉の入り口が必要になることもあるかもしれませんが、さまざまな入り口があるということはやっぱりさまざまな出口があることは必須で、今は多くの福祉の中でその出口があまりに少なすぎることによって、ずっと福祉の中で抱え込んで福祉の世界の中で滞留してしまう、という構造になってしまっているように感じます。
  
 
大事なのは「少しずつ福祉から社会に渡していくための動線をどのように設計していくか」で、それぞれの支援分野の中で目の前の対象者さんをしっかりとサポートするだけに終始するんじゃなくて、この出口の設計を考えていかないと福祉という業界はパンパンに膨れ上がってしまって循環が生まれなくなります。
 
 
生きていく(食っていく)ためには「就労」という出口はもちろん欠かせませんが、それ以外にも少しずつ支援者が抱えているものの中から社会に繋げていくものを生み出してほんの少しずつ委ねていけるような流れを作っていくことが、今すごく必要な気がしています。
 
 
時々ちょっと皮肉のように「福祉に一回世話になったら2度と離してくれない」というような言葉を耳にします。
これはもちろん福祉サービスの報酬設計からくる「抱え込み問題」の文脈を指しているのかもしれませんが、出口のなさも結果的な業界全体での抱え込みというか滞流にも繋がっているんだろうな、というのも自戒を込めて感じます。
 
 
福祉人、というのは性質的には確かに困りごとを持たれている方を受け入れたり受け止めたり、ということは得意だけど、もしかしたら送り出していくということがまだまだ苦手なのかもしれません。でもやっぱり福祉にかかっている人がパンパンにいる状態って決して健全じゃないと思います。
 
 
本来は福祉とか支援、というのはそこから立ち上がって自立していくための「通過点」の選択肢のひとつのはずなんです。
もちろん生涯を通じてしっかりと支援を受けなければならない方だっていらっしゃるとは思いますが、みんながみんな本来そうではないはずです。
 
 
就労だけじゃない福祉の出口のプロセスを設計することが、今の福祉のあり方をもっと前に進めていくことに繋がるんじゃないかと僕は思います。
出口までのプロセスが設計されていて初めて「自立支援」を謳えるんじゃないかと。
 
 
それは必ずしも国だけの責任じゃなく支援に携わっている僕ら自身の責務でもあるんじゃないかと思います。
 
 
福祉が社会に融け込むということが大事だといつも僕は言っているんですが、それはつまり福祉の出口設計をきちんとデザインしていかなきゃいけない、という事なんだと思います。
 
 
 
久しぶりに書いたnoteで自分の思考を整理してしまいました。
 
 
 
 
 
 
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