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仕事の品位は自分達が決めている

「福祉の仕事は誰にでもできる仕事」
「不況の時には福祉の仕事の求職者が増える」
 
 
みたいな話をちらほら聞きます。
いや、直接聞く訳じゃないんですけどね。
なんていうか、「風評」です。
 
 
 
対して、僕らの現場では雇用形態や役職に関わらず利用者さんへの支援に入っていたりします。
そしてその上に管理経営層がいる感じです。
 
 
 
会社ってほぼほぼこういうのに似た構造なんだと思うんですが、いつもほんのりとした疑問を感じます。




少しぼんやりした話ですが、経営とかお金とか、価値とか、そういう物に関わる話かな、と思うのでよかったらお読み下さい。




経営運営の「ハンドリング」のみに一番をコストかける構造 

これはシンプルに費用対効果的な問題です。

会社体がある程度のカタチになってくると、いわゆる「管理・マネジメント」が必要になってきます。それはそれで仕方ないんだけど、何となく感じるのは、内部のやりくりにかかるコストが大きくないですか?ということ。

いわゆる役職みたいなものがついてくると、大体部下を抱えて、その部下をマネジメントしていくことと、社内での役割がひっついてきてそれを全うすることが求められるわけですよね。
当然抱えている責任も大きいので、給与も高くなり、立場も上がり、それはそれで大変だと思うんです。





でもよ。





管理とマネジメントの本質って、多分だけど「社内資源を最適化しながら、自社が提供する価値を高める、もしくは新たな価値を生み出す」的なところで、間違っても内部のあれこれを治めたり収めたりすることに終始することが「目的」ではないはずだと思うんです。


というかそれが目的化してしまった瞬間からその任を担う人にかかってくる報酬は「コスト」になってしまう気がするんです。
少なくとも僕は自分の上司がどうやら何も価値を高めているわけでもなさそうで、価値を生み出してもいなさそうだったら、ちょっと幻滅します。
もちろん、それはそれで大変な役割であることは分かるのでいいんですが、「それで会社は前に進むのか?」と不安にしかなりません。



 
価値(マネタイズとキャッシュポイント)はどこで生んでる?特に対人援助業はより現場にそれがないか?

これはいわゆる生産効率の問題ですが、お金の問題にも絡みます。


少なくとも対人援助業って、当たり前ですが現場の最前線にいるスタッフが「商品」です。ここが会社にとっての一番の生命線です。
ここのクォリティがどれだけ高いかが勝負で、どんなに理念やビジョンでいいことを謳っていても、現場の最前線のクォリティがそれを物語っていなければただの嘘になってしまいます。

特に、対人援助は基本的なキャッシュポイントは現場にあるし、マネタイズの仕組みとしても最終ラインはやっぱり現場よりになりがち。現場のクォリティって死活問題な気がするんです。


僕の持論ですけど、ぶっちゃけ現場のスタッフさんにしっかり給与がいくような仕組みを作ったほうが上手くいきます。
もちろん何でもかんでも、ということではなく、彼らの生み出している価値をきちんと評価する仕組みです。






「お金じゃない、大事なのはやりがいだ!」



って声ももちろんあります。


いや、そうです。仰る通り、やりがいとか張り合いとか大事です。
人それぞれ感じ方は違うけど、仕事を「楽しい」と思える設計は当然大事ですよ。




でもよ。




誰だってその仕事をしながら生活しているんです。

人によっては本当に心血を注いでやっているんです。

「やりがい」「張り合い」「楽しさ」の名のもとに、生活の糧をケチってたら、そこに良い品質なんて整いません。

これ間違っちゃいけないことなんです。


というか、「やりがい」とか「楽しさ」って、当事者が感じて述べることであって、他人がとやかく言うもんではないです。
会社という器がやれることって、彼らが最高のパフォーマンスを維持更新していくためにどうするか、で、最高のパフォーマンスを出せている状況が担保されて初めてそれを価値として打ち出せるんじゃなかろうか、と思うんです。

だから現場を育てたらそれだけのものが出来上がるんです。というか、そういう採用設計・育成設計・評価設計・報酬設計をした方がいいと思います。




あなたの時間(それにかかるお金)はそこに費やして本当に見合ってる?

お金の話ばっかりでいやらしいですよね。あの、くれぐれも間違わないでほしいんですが、「どうやってお金を儲けるか」という記事じゃないですよ。
限られた資金をどういうふうに使っていくのか、ってことが言いたいんで、僕はお金儲け自体には一切興味がないので。


僕は今法人の理事をさせていただきながら就労移行支援事業所の管理者もさせてもらいつつ、地域の就労移行支援事業所の協議会の役員もさせてもらい、なおかつ個人でオンラインコミュニティを運営させてもらっています。
これだけ見ると自慢たらしいですね。ごめんなさい。


こういう役割を担わせてもらっている僕が多分やらなきゃいけないことって、自分の法人が、理念を実現するために、社会の中でその価値を出し続けられるように、会社が前に進むためのあらゆる仕組みや環境を創っていくこと。

そして、自分の事業所が最高のパフォーマンスを維持できるように、いろんな道筋を見せてそれを叶えられるようにしていくこと。

地域の就労移行支援事業所がもっといい社会資源になるために、課題を抽出してそれを解決するための施策を提示して遂行すること。

そして、自分のコミュニティの叶えたい未来のために、色んな人と会ったり、毎日のようにコツコツアウトプットしたり、何かしらカタチを創れるように試行錯誤したりすること。

です。


今も現場支援や現場稼働に入ることはあるけど、そこに時間や手間を割きすぎてしまうのは、僕は自分のやるべきことをサボっていることになると思っています。

肩書が大事なわけじゃないんです。自分の与えられている役割ってなんだっけ?って話です。その役割を果たすことに矢印を向ける動き方ができていなかったら、僕は現場のスタッフ以上の報酬をもらうだけの価値がないと考えています。

そして、やるからには成果をきちんと出していかなければ、その座にいるべきではないとも思います。



えらいストイックげに書いていますが、これは巡り巡って自分のためでもあって、やるべきものを定めるからそこに向けて自分が成長できたり力をつけられたりするんですね。


僕は僕じゃなきゃ出来ない事をやらないと、僕にかけてもらってるものはただのコストに成り下がると思うので、自分が現場に立つよりは、現場に立つ人を見つけたり育てたりするし、自分の中で「できる」と分かったものは渡していきたいと思ってます。



自分の時間やコストって、何のためにあるのか、ってことが仕事の品質を決めるんだろうな、という話です。



 
結果自分達で「誰でもできる仕事」にしてない?

現場でリーダー、スタッフ、管理者問わず同じような仕事に従事していたり、管理経営層が価値の創出をしていないと、それって結果「誰でもできる」仕事になりませんか?


対人援助のカテゴリって、日常性が強くてどうしても毎日のランニングに追われがちなジャンルのお仕事だとは思うんです。
でも、だからこそなんとなくランニングするんじゃなくて、そこから価値を生み出して、そして課題をスパーンと解決するから「誰にでも出来はしない」ノウハウが蓄積するプロの仕事になるんじゃね?と思わずにはいられないんです。



現場の最前線にいる人は、誰にも真似できない個性で対人援助を繰り広げられるのが理想で、それを拾い上げながら伸ばしたり活かしたりしていくのがリーダーや管理者の理想で、大きなチームとしてどんな価値を生み出そうとしていくのかを示して伝えながらもそのハンドリングをしていくのが運営経営者の理想だと思うんです。

ただ、なんとなくそういうところから離れてしまって、価値を生むことも高めることもできなくなったら、本当に自分たちで「誰にでもできる仕事」にしてしまうことになります。


そう思わせないだけのことをしていきたいな、と自戒も込めて書いてみました。

 


 


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