「暮らす」は、生きる
GWが明けましたねぇ。
実は6月から今運営している就労移行支援に付随して「生活訓練」という事業を始めるんですが、もう5月じゃないですか。
めちゃくちゃ追い込み時期ですよ。
あれやこれやとやらなきゃいけないんですが、そもそも生活訓練を何のためにやるのか、どんな意味を持つ場所なのか、これをきちんとお伝えしとかないとなぁ、と思います。
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もともとirodoriは、就労移行支援事業所と名乗りながら、「就労」を目的にもゴールにも置いていない場所です。
就労というのは当事者の方が生きていく社会の中のあくまで一部の要素でしかありません。
就労を叶えた本人が生きていくのは社会というステージで、間違っても家と職場の往復だけで生きていくわけじゃないんです。
もちろん、社会の中で生きていくにも働く事、お金を稼ぐ事は必要なんですが、間違ってもそれが生きる目的になるわけじゃなく、どんな生活を送りたいか、どんな人生を歩みたいか、そこに目的や意味が存在しています。
そして、生活や人生を送る舞台は「社会」です。
だからうちの事業所では、就労を目的に置かず、「社会の中で生きていく」ことを支援する場所と自分達を定義づけています。
生活訓練のコンセプトは、「暮らす、は生きる」です。
つまり、社会の中で生きていくために、「暮らす」の部分を支援する機能を持った場所を作りたいと思ったんです。
就労移行は、働くことや社会に飛び出していく、という部分の支援の機能を持った場所です。
そして、ひっそりやっている「住居支援」は、自立のための実践と練習のための機能を持った場所です。
「暮らす」力をつけ、働く力をつけ、社会に飛び出して自立のための実践練習を積んで、社会の中で生きていく事に自然に馴染んでいけるようなステップをイメージしています。
だから「家」なんです。
「暮らす」力を身につけるための支援をするんだったら、そこは間違っても四角い箱ではなくて、生活のにおいのするような環境の方が圧倒的にリアルです。
実際に洗濯をし、干し、掃除機をかけほうきではき、ご飯を作り、必需品を買い物しに行く…
人が「暮らすための」環境で自分達の「暮らす」を身につけるわけです。
割と理に適っていると思っています。
でも、「暮らす」ということは家事や身の回りをことをすることだけじゃないんです。
もちろん生活訓練としてはそういう身辺自立のための訓練を行えることは必要なんですが、それだけじゃいけないんです。
それがもうひとつ生活訓練を行う上で大事にしていることです。
就労移行支援でも同じようなコンセプトを掲げています。
「社会に巣立つための場所であると同時に、いつでも帰れる居場所」。
つまり「居場所である」ことです。
「暮らす」ということは自分の居る場所がある、ということだと思っていて、それってやっぱり「家」じゃないですか。
だから、生活訓練の事業においてもやっぱり訓練の場所でもありつつ居場所でありたいんです。
うちを利用される方には、本当に居場所なんてどこにもないような状況で利用をされる方も少なからずいます。本当の自宅ですらホッとできないようなことも。
そして多分社会に出た後も、困った時、悩んだ時、愚痴りたい時に行ける場所なんてそんなにはなかったりします。
「社会の中で生きていくため」の支援というのは社会に送り出していく、ライフステージをどんどん進んでいくばかりを指しているんじゃなくて、ふと立ち止まること、ちょっと立ち返ること、場合によってはちょっと逃げることだって僕らにもあることなんだから、そういうときにふと帰れる場所をつくることも大事な支援なんだと思っています。
就労移行では、社会に疲れた時にちょっと立ち寄ったり、悩んだ時に駆け込んできたり、母校のような居場所のイメージでやってきていたんですが、今回の生活訓練は同じようなイメージ、っていうわけにはいきません。
「暮らす」に密着している居場所としての意味合いもある「家」です。
もしかしたら利用者さんだけじゃなくて人が「集う」という機能もあっていいかも知れない。
福祉制度にはうまく乗っかれないけれど少しずつゆっくりと進んでいきたい人の「生活に最も近い行き先」みたいなニュアンスの場所であってもいいかも知れない。
生活上の緊急事態に使うことが出来るような機能を持った場所が必要かも知れない。
まだ固まってはいないんですが、少しだけ今までとは違う意味合いの「居場所」というものも作り上げていきたいと思っています。
なんにせよこれからスタートしていく場所です。
単に就労するための事業所、身辺自立を高めるための事業所、にはなりません。
どこまでも「社会の中で生きていくため」の支援をいつも見据えていきたいと考えています。
「暮らす」は生きる。
僕らなりの解釈で体現していきたいと思います。
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