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過去の自分に手紙を書いたら、過去の自分が励ましてくれた。

 10代の頃の自分に、手紙を書きたくなった。
 きっかけは、古賀史健さんの『さみしい夜にはペンを持て』を読んだこと。

 この本を読み終わったとき、「タイムスリップして10代の頃の自分に届けたい」と思った。
 だが、そんな夢はあまりに非現実的だ。

 でも、今の私が当時の私に手紙を書くことならできる。
 もちろん、当時の私に届けることはできないのだけど。

 今の私がいるのは、10代の頃の私が頑張って生きていてくれたおかげ。
 その感謝を伝えたかった。

 そして同時に、「大丈夫だよ」とも伝えたかった。
 どんな失敗をしようと、選択を誤ろうと、私は今、生きているから大丈夫。
 今はこんな手紙を書けるほど、穏やかに毎日を過ごせているから大丈夫。
 生きていれば、とにかく何とかなるから大丈夫。

 そんなことを、手書きのノートに書いてみた。

 とはいえども、また自分への自信を失ってしまう出来事があった。
 そんなとき、本棚や机の奥に過去のスケジュール手帳をしまい込んでいることを、ふと思い出した。

 何となく、それらを引っ張り出し、自室の机の上に積み上げてみた。
 スケジュール手帳といっても、A6サイズの大きさで、1日につき1ページで書き込みができるもの。
 だから、その日にあった出来事を、日記として書き記すこともできる。

 手帳を開いていくと、過去の自分が、これまた失敗や間違いを繰り返しつつも、毎日を懸命に生きている様子がうかがえた。

 なぜだか過去の自分が、今の自分を励ましてくれている気がした。

 自分には誇れるものがあった。
 誰に褒められるわけでもないのに、私は自分のために毎年、スケジュール手帳を買って、日々、そこに何かしら書き記していたのだ。

 もちろん、何も書かない日が続いていることもあれば、言葉にならない代わりにその日の気持ちを色鉛筆で表す時期もあった。
 そして、一部のスケジュール帳は、コロナ禍のときに断捨離として捨ててしまった。
 それでも、10冊近い手帳が今、手元にある。
 開いてじっくり中身を読んだら、それこそあまりの恥ずかしさに消え入りたくなることもある。
 それでも、私が十分に頑張って生きてきたことを証明する手帳だ。
 これを書いてきた自分を、心から誇ろうと思う。

 そして、私はこれからも文章を書いていきたい。
 未来の自分を励ますために。
 そして、過去の自分への感謝を込めて。
 なるべく心地よい言葉を使って、ネガティブな出来事があろうともいつか思い出した時に笑い飛ばせるように。
 過去の自分も、未来の自分も、読んで安心できるような言葉を書いていきたい。

もしサポートをいただければ、とても嬉しいです。自分の幸せ度を上げてくれる何かに使いたいと思います。