ソーシャルワーカーが、クライアントに不利益を被らせないために考えておくべきこと
ソーシャルワーカーは、日々、自身の「感情」を吟味し、それを意図的にクライエントへの援助過程に活かし、組み込んでいくこと(「ケースワークの原則」でいう「統制された情緒的関与」)を試みます。
「好調」「不調」というような援助者の感覚が、クライエントにどのような影響を及ぼすのかということについて考えたとき、「クライエントの不利益にならない」ために、感情に任せた「好調」「不調」の振れ幅をコントロールする術を学ぶ必要がある、というところに思考を移すことができます。
クライエントにとって、「専門職との出会い=プラスの連鎖のスタート」と言い切れるわけではないのです。そうであってはならないのですが、不利益を生じさせてしまう危険性について、ソーシャルワーカーが自覚的でないと「マイナスを生まない。不利益を生じさせない」という意識が芽生えません。
社会人2年目に、どのような時に、クライアントに不利益を被らせる可能性が高くなるのか、ということを書き出しましたことがありました。
・時間や気持ちに余裕がないとき
・自分があまり良くない感情を抱きやすい特定の傾向をもつクライアントの場合(つまりは苦手だと感じる要素を持つクライアントであるとき)
・始めてのパターンの生活課題を有するクライアントと出会う時(面接前に複数の分岐が想像できなくて不安を感じる)
上記、不利益を被らせる可能性が高くなる事案を書き出しに、対応策を考えていきました。自分でコントロールできる時間の少ない臨床現場において、徹底的にコントロールできる時間を増やすために、現場で行なった工夫については、改めて記せたらと思っています。
志高く現場で奮闘するソーシャルワーカーの誰ひとりとして、クライエントに不利益を及ぼそうと思ってはいません。でも、だからこそ、物事には表裏、陰明があるように、ソーシャルワーカー自身の振る舞いや言動や感情、心身の健康を、ときに点検し、クライエントに不利益を生じさせない、という自覚を都度、再確認するべきだと私は思っています。
ソーシャルワーカーにとっては、100人のうちのひとりのクライアントであったとしても、クライアントにとっては、選ぶことのできない1/1の出会いであるかもしれないのだから。
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