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【後編】THE RIGHT OF KAIJU (735字) │ 特撮ショート

 これまでの惨状は連日報道され、市民の間でも団体に対する非難が出始めたが、ガイドラインが取り下げられる様な事態にはならなかった。警備隊内では退職者が相次ぎ、腹いせに内部の実態をネット上で暴露する者や、被害者の会まで立ち上がり、失業に伴う補償を求める活動が各地で起こる始末に。

 「どうせまた、燃料のムダ使いって書かれますよ」
 「そうだろうな。何も警備していないのだから」

 怪獣発生の一報を受けても、向かう道中の機内は重い空気に包まれる方が普通になったある日。岐阜県土岐市上空を飛んでいた二人は、言葉を失う光景を目の当たりにする。

 雲の近く、ゆっくりと漂うそれは、全身から光を放つ、巨大な蝶の様な形をしていた。閃光の様に輝いているから蝶ではないのだが、後部から見える大きな羽の様なものが、そう思わせた。呆気に取られていると、機内にけたたましい警報方が鳴り響く。

 「隊長、周辺空域の放射線量が急上昇してます」
 「そんなバカな。近くに原発はないぞ」

線量計はあっという間に基準値の値を超しており、直ちに本部に報告がされた。

 その後、放射線モニターで対象が観測された結果、空間放出源として特定され、あらゆる選択肢を考慮した駆除が現場で行われる必要があった

 「ただちに攻撃の許可を請う。繰り返す」

何度もマイクに向かって説得を試みる隊長だったが、ついにはヘルメットと一体になったそれを、怒って放り投げてしまった。

 「中止だ。いよいよこの国は狂ったようだ」
 「なぜですか。なぜ市民を守らせてくれないんだ」

痛みを感じるかもわからない。人間が食べるわけでもないのに。

 「そう、やつらはそれを言っている」
 「どういうことです」

 「あれは、我々人間の救世主だから攻撃するなと、言って聞かないそうだ」

【前編】はこちらから


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