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【詩】地図にない島

地図にない島で
わたしはいつも
海を見ている
 
沖の船は
スローモーションで
空と海の境を動く
 
キラキラ見える
小さな点が
近づいてくる
 
風が止む頃
流れ着くそれは
緑の瓶で
 
栓を抜く
小さな手紙
胸が震える
 
 
今日も
未来の
君に
会えた でも
 
いつか
今の
君に
会いたい
 
私も
そう
だから
忘れないで
 
必ず
きっと
絶対
死んでも
 
 
返事を書く
胸の鼓動
キスの封印して
 
波が受け取れば
あとは風まかせ
イルカが笑う
 
小さな
点が
水平線に
 
消えた
夜は
星が
囁く
 
 
    波の間に間に
      涙こぼれて
    夢の間に間に
      ため息ついて
 
 
地図にない島で
わたしは今日も
海を見ている
 
沖のカモメは
スローモーションで
泳ぐ仕草して
 
キラキラ見える
小さな点
なぜか不安になる
 
瓶の中には
何も見えない
私は涙ぐむ
 

抜く
手が
震え

いる
 
何て 
悲しい
運命
なの
 
懐かし

香りが
吹き上
がり
 
数え
きれない
小魚たち
になり
 
わたし

周りを
回る
 
それは
星の粒

できていて
 
泳ぎ
ながら
空へ
昇ってゆく
 
もう
  二度と
     会えない
最後の
  知らせが
     今ここに

  見る
     ことさえ
苦しい
  拷問
     になる
 
 
    波の間に間に
      涙こぼれて
    夢の間に間に
      ため息ついて
 
 
ああ 何てこと
こんなことって ほんとに
有るのかしら
 
誰かが私の後ろで
咳払いして……


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