詩と少年

詩が好きです。料理を作るのも好きです。時々ケーキやクッキーを食べたくなって焼きます。好…

詩と少年

詩が好きです。料理を作るのも好きです。時々ケーキやクッキーを食べたくなって焼きます。好きばかりで毎日を過ごせたらいいなと思っています。

最近の記事

【詩】悪魔っ子

ラソラソラソラソ ラソラソラソラソ ラソラソラララドー バリバリスピード上げてく君の感情にスイッチオンして 善きも悪しきもスルッと舐め尽くしてしまいましょう 9999999999.9パーセントのキムチ100に変えてみたい 9999999999.9パーセントの気持ち100に変えてみたい 千年万年一億光年百億千億最終光年 美人もB U S Uもゲスもカスもガスも もりもりもりもりみんなもりもり 盛りだくさんで相手してやるぜ 早くやくやく早くやくやく好きか嫌いかはっ

    • 【詩】小さな木

      小さな木が生え それは僕の心と一緒に成長していった それは葉を増やし 葉脈を増やし 葉脈が陽光で受胎し 新しい芽になり 芽は葉に 葉は茎に 茎は幹に 幹は枝を伸ばし腕に 手に 根は足に 僕は木が顔を見せるのを待った 木は顔をつけなかった 二本の腕を組み 五本の足を組んで座ると 残りの枝を丸めて頭を作り それは籠のようで 中から鳥の雛が頭をもたげた 雛は成長して葉っぱの翼をつけ  細枝の足で歩いた 僕は ある日 枝切り鋏で 籠に扉をつけ

      • 【歌】夕暮れ

        ふうーっと 空の向こうで 息をする 暑さ沈まる   夏の夕暮れ

        • 【詩】抱いて

          抱いて 心から それが叶うなら 他には何もいらない 抱いて 嘘でもいいから それが叶うなら もう死んでもいい 抱いて 一度でいいから それが叶うなら 永遠に愛するから 抱いて お願いだから それが叶わないなら あなたを嫌いになる術(すべ)を教えて

        【詩】悪魔っ子

          【歌】やかん

          二リットルの やかんが吐き出す 麦の蒸気 揺れて昇りて 夏雲となる

          【歌】やかん

          【句】やかん

          やかん沸き 夏をひびかす 湯気の音

          【句】やかん

          【詩】夢の石

          石を見つけたのは ピクニックに行った時だった 夏の光は暑熱の硬度で私の裸の肩を焼いた 河原の石は炭化し トンボが谷間を行き来する聡明な空 水浴するサンダル  足の指が川の流れに沈む 川面をを跳ねる光  プリズムが作る図形 揺れる光の泡  小魚の曲線が散って 砂間から石が覗いた  揺れて 微笑む 幾世紀も前から 太陽の顔の紋様 その丸い石は 私の心を閉じ込め 私をポケットに入れた 石は 川から上がると見えなくなった  石は ベッドの上で毎夜光ったが見えなかった 夢の中で 石は

          【詩】夢の石

          【詩】母のメロディー

          父が九十二歳で亡くなったあと わたしは九十歳の母と暮らした 母のそばで わたしは言葉のギターを弾く 毎日母の足取りは少しずつ遅くなる 毎日母の世界の回転は少しずつ遅くなる 母のそばで わたしは言葉のギターを弾く 毎日母の忘却は少しずつ速くなる 毎日母の世界の落下は少しずつ速くなる 母のそばで わたしは言葉のギターを弾く 毎日母の歩く距離は少しずつ短くなる 毎日母の世界の境界線は少しずつ短くなる 母のそばで わたしは言葉のギターを弾く 毎日母のため息の時間は少し

          【詩】母のメロディー

          【句】紫陽花

          紫陽花の 葉脈すべる 恋しずく

          【句】紫陽花

          【詩】夏の涙

          夏の涙は 何色かしらと 空に問い 答えた夕立に 逃げ惑うわたし

          【詩】夏の涙

          【詩】嫌(いや)

          ゼロから始めてまたゼロに戻るなんて嫌 堂々巡りで振り出しに戻るなんて嫌 できたのにできなくなるなんて嫌 嫌嫌嫌嫌いやいやいやいやいやいや 地上百五十回のビルの屋上から飛び降りるなんて嫌 バンジージャンプなんて通過儀礼だと考える原住民なんて嫌 食べたくないものばかり並んでいる昆虫食なんて嫌 本当のことが言えない人ばかりと話すのは嫌 人をすぐ信じてしまった過去の私が嫌 誰とでも本音で話したかったけどそうできなかった自分が嫌 やったのにやってないなんていうことが平然と言える厚顔なシ

          【詩】嫌(いや)

          【詩】写真

          私を語るには四枚の写真で十分だ 一枚目は赤子の私  母に抱かれ背景に水色のカーテン 私は母の瞳を天のように眺めている 神が彫刻を始める前の皮膚はふくよかで その乳白色は煌めいて 焦点の定まらない瞳は これから始まる時間を見て  指で空間に触れようとしている  声を出した瞬間 世界は形になった 二枚目は誕生日の私 少女は友達に囲まれながら 両親や祖父母の笑みを感じながら  綺麗なドレスにうっとりしながら ケーキの蝋燭の束を吹き消そうと 赤い頬を膨らませている まだ魔法を信じ

          【詩】写真

          【詩】蛍光うさぎ

          裸で夢をみる 恋人の白い背中が 窓から覗く月の光で割れ 一匹のうさぎが現れた 描かれたように うさぎは重さと厚さを持たなかったが 月の光がうさぎに色を与え うさぎは緑に輝いた うさぎは跳ねながら 部屋の窓から飛び出した 私は彼女のそばに横たわっていたが 視線はうさぎを追った うさぎは確固たる意図を持ち どこかへ向かっていた 視線は うさぎを避けるように 駅へ向かった 汽笛の音 発車のベル 鈍色の天井灯 車内に乗客が数人いた それは影のように 持ち場を離れなかっ

          【詩】蛍光うさぎ

          【詩】心が自分のものでない

          心が自分のものでないのは 自分が 他人だから 心を止めれば 私たちは 軽くなる 心の重さを測るには 時間がかかる から  季節は 秋が良い  時間にも質量があって 夏は 瞬間に破裂する 風が吹いて    日差しが神の視線に変わる時     蝉は 天まで 飛んでゆき       星に止まる 午後の栄光と夜明けの残光 ペンと線の影 窓から 飛来 額に当たる 蜂 は もう一度 自分の行き先を 確かめる

          【詩】心が自分のものでない

          蝉の断章の記憶 第10(最終)話

           急に眩暈がした。その声は目の前の男ではなく、遠くの方から——地の果てから、あるいは地中の奥深くから聞こえるようだった。男が差し出した万年筆を手に取ると、催眠術にかかったようにわたしはその本に上半身を傾けた。意識がぼんやりして……万年筆が、不安定な体勢のわたしを支えるように動いて手を引っ張った。いつの間にか、わたしは自分の名前でなく次作のタイトルを書き始めていた。        『○○の冒険』  驚いたわたしは手の動きを止めようと抵抗した。が、無駄だった。ペン先は生き物よ

          蝉の断章の記憶 第10(最終)話

          【詩】どうしようもなく

          どうしようもなく生まれたこの世界で どうしようもなく生きてゆくのは どうしようもなく奴隷的で どうしようもなく自分が止まっても どうしようもなく人も世界も動き続けるので どうしようもなく逃避するか どうしようもなく何も考えないか どうしようもなく刹那的になるか どうしようもないから立ち上がるしかない 空は今日も青い どうしようもなく青いから どうしようもない希望を見つけて どうしようもない感動を追いかける どうしようもない人生を探す

          【詩】どうしようもなく