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トランプ相場を想う


トランプの国際戦略は、19世紀のアメリカが採用していた「自分のできる範囲に注力して、アメリカの国益を最大化する」というものとDNA的に一致する

伝統的な共和党の考え方であり、突拍子の無いヘンテコリンではない

第一次世界大戦後にスーパーパワーとなってしまったので、世界各地におせっかい活動(=アメリカ的価値観を世界に布教する宣教師)をはじめて100年が経過した

現在の中国やロシアは、過去10年間で少しは弱体化したとはいえ、アメリカの思うようにコントロールできるレベルではなくなった

よって、再び「自分のできる範囲に注力して、アメリカの国益を最大化する」という戦略に回帰するのは妥当かもしれない
そして、それは欧州とアジアが「自分の事は自己責任で処理する」ことを突き付けられているのだ



トランプが再びアメリカ大統領に就任すれば混乱、混沌の世界が再び訪れるだろう。アメリカ合衆国という世界覇権国の覇権の意味も、ドル基軸通貨の意味。同盟国と覇権を争う中国ロシアとの区別。
アメリカ合衆国の国益。

我が国に置き換えると、今も昔も戦後は一貫して米国の手先であり太平洋における最大の同盟国、反共の不沈空母として重要なポジションであった。


1950年代、1960年代、1970年代

特にソ連が米国のライバルとして脅威であった1950年代、1960年代、1970年代においては対ソ連の太平洋の防波堤、不沈空母として最重要のポジション。経済的にも軍事的にも大きな覇権国米国からの恩恵と掩護を受けた時代であった。
覇権国家米国のアジアにおける戦争においても、最前線支援基地として、朝鮮戦争、ベトナム戦争においても具体的な兵員を戦地への派遣する後方基地および、あらゆる軍需物資の提供する市場として戦争特需に湧き、企業業績、GDP、国民所得は戦争特需で大きく跳ね上がり、株式市場も戦争特需のたびに大きく吹き上がる事を繰り返した。

また当時は、為替も円安で、先端分野においても米国テクノロジーの提供、市場においても世界最大市場の米国市場の開放という恩恵を与えられ未曾有の経済的発展を迎えた。

が、暗転する。その日本の繁栄の大前提であった覇権国アメリカからの恩恵が無くなって行ったのだ。
理由は単純明快。敵がいなくなったからだ。
ソ連の急速な弱体化である。
1980年代に入るとソ連はもはやアメリカに対抗するチカラがもう無い事は明白になりつつあった。
そこで覇権国アメリカの敵として認識されたのが、そうつい最近までソ連への防波堤として恩恵を与え大事に大事に育ててきた日本である。

気がつくと日本は育ち過ぎ、明確に覇権国アメリカへの経済的な敵、覇権追尾国として存在していたのだ。アメリカ本土の不動産や、アメリカ企業をどんどん買収して来ていたのだ。



1980年代、1990年代

1980年代、1990年代、ソ連の弱体化とともに日本は覇権国アメリカの敵として認識され、今までの円安、先端分野育成テクノロジー供与、市場開放などの恩恵のドアはすべて閉じられた。逆に通貨為替は円高へ、日本を封じ込めるライバルとして韓国、台湾、中国へ恩恵を与える事で日本へ打撃を与え日本企業の先端技術は韓国、台湾、中国へ流出し、この3国は日本を追い抜き追い越す勢いで発展を遂げていく。ついにはかつて日本が1980年代に米国へ経済的に侵略を行ったように、、


2000年代、2010年代

2000年代、2010年代になると韓国、台湾、中国の企業により日本の大企業は次々と軍門に下り買収されるようになる。
最先端技術で完全に追い抜かれた瞬間であった。
具体的には韓国サムスン電子、台湾のTSMC、中国のテンセント、アリババ、バイドゥ、ファーウェイなどなどである。2000年代2010年代と時代が過ぎていくにつれて、これらの韓国、台湾、中国の最先端テクノロジー企業達にはもはやかつてアメリカと経済的覇権を争った日本の企業はどこも太刀打ち出来なくなっていた。日本の先端企業はどこも、韓国のサムスン、台湾のTSMC、中国のテンセントなどとの競争は諦め、彼らへ部品、部材を提供する側として生き残るのみという時代になった。

最先端分野においては、韓国のサムスン、台湾のTSMC、中国のテンセントなどには対抗は不可能なほどの差が日本企業はついてしまっており、TSMCやサムスン電子へのサプライヤーとして生き残る企業はまだまだ沢山あるがライバルとしてはもはや存在しない。

TSMC、SAMSUNGなどにはもはや対抗できないが、部品や部材や装置機械などを納めるサプライヤーとしてはまだまだ日本の最先端精密部品、部材、機械、装置メーカーは多数ある。

サプライヤーとして世界的なシェアを維持獲得しているのは村田製作所、KEYENCE、NIDEC、TDK、東京エレクトロン、SCREEN、ディスコ、信越化学工業などである。


2020年代

さて、2020年代に入ると米中覇権争いが本格化し、コロナ渦により反グローバル、ブロック経済、鎖国、、と前世紀の世界大戦前を彷彿とさせる殺伐とした各国がエゴ、自国第一主義を剥き出しにした世界になってきている。そんな中で、現職のトランプ大統領がバイデンに大統領選挙で敗北し、政権交代が発生したのだ。









■バイデン⇔トランプ
■ガラリと変わる世界

・脱炭素推進⇔化石燃料推進
ウラン、リチウム、天然ガス、原油

・戦争紛争⇔和平ディール
軍事セクター、防衛費、軍事費

・同盟⇔対話
同盟国へも圧力?
同盟国経済逆風?、ドル安誘導?



■トランプ相場を想う

2016年当選時マーケット振り返り
16/11/8~12末 上昇%

①素材:
5233 太平洋セメ+25

②プラント:
6333 帝国電機 +33
1963 日揮HD +20  

③建機:
6240 ヤマシン +74
6432 竹内製作 +35

④防衛:
7011 三菱重工 +24

2016年当選時のマーケット振り返り
当時は積極財政期待で日米ともに株高へ

①鉱業・石油関連:化石燃料復活期待

②建機・素材関連:インフラ投資増期待

③軍事・防衛関連:在日米軍負担軽減
日本防衛費増加期待  

さて、今年はどうなるか

北米売上が大きい:
4063 信越化
6301 コマツ
6305 日立建 

👉この3社ももちろん注目


■トランプ氏の経済政策 

🔴独立した中央銀行の価値を理解できず、金融引き締め政策を嫌う
🔴財政赤字と債務が危険な道を辿っているにもかかわらず、減税を約束
🔴中国だけでなく、世界に対して貿易戦争 を始めるつもり、関税が所得税に取って代わるかもしれないと示唆



■大統領選挙における最大の市場恩恵は規制政策か トランプが当選した場合、Cato、Heritage、AEl、AFPIなど(主要シンクタンク政策研究機関)が、すでに何百もの大統領令を起草し、トランプ政権の初日から施行できると確している。

それらの大部分は規制緩和なのだ



■所得税収入の大部分を関税に置き換える
トランプ氏の税制提案  

🔴あらゆるスタグフレーションの元凶となる処方箋
🔴国際市場で商品を購入する中流階級と貧困層に負担をかける
🔴世界的な経済戦争を引き起こすことになる

👉サマーズ氏大警鐘

■トランプ氏の所得税収入を関税で置き換える政策

◇大恐慌時のスムート・ホーリー関税

GDP の1% に相当し莫大な損害を与えた。
この関税が大恐慌を引き起こした一因とも。

所得税収入の半分を関税に置き換えると、
スムート・ホーリー関税水準から6 倍の関税となる。 

👉サマーズ氏大警鐘



■バンス副大統領候補
「真の課題」は中国-米国に最大の脅威
👉ロシア、ウクライナと交渉し、「この問題を速やかに決着させるだろう。そうすれば米国は真の課題、つまり中国に集中することができる」



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