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日本の蝶をつくる《生きているかたち》(2022/4/16)

そろそろ年に一度だけのウスバシロチョウの季節がやってきます。

羽を作る。から、まるでレールでも敷かれていたかのように突入した、僕の蝶づくりライフ。
羽→標本、と来たら、いつかは作りたいと考えるようになったのが《生きている蝶のかたち》です。

それもまた、手の中から自然の流れで生まれてくるタイミングがありました。


蝶にあまり接点のない人が漠然と頭に思い浮かべるそれは、おそらく標本になった姿、つまり、4枚の羽を完全に開かせて固定した姿ではないでしょうか。

こういう状態ね。

【命を奪わない標本】ウスバシロチョウ


しかし生きている蝶が自らこの体勢を取る瞬間は、ほぼないと言っていいと思います。
(※イシガケチョウなど特殊な留まり方をする種を除いて)

なので標本は標本、生きている蝶は生きている蝶で、それぞれ作ってみたかったんですね。

これらは

・【命を奪わない標本】羽を開かせて固定した標本の姿

・【自然形】生きている蝶が自由に留まっている姿

として、同種を2パターンずつ展開していくことになりました。

ウスバシロチョウ【自然形】

アサギマダラ【自然形】



さらに作る蝶たちの位置付けが子供にとってのぬいぐるみなのなら、是非やりたいことがありました。

それはフレームから自由に外し、好きな場所に連れていけるようにすること…。

ここはオプションとして強力マグネットをセットした指環やタックピンを作り、同じく蝶の胴体に埋め込んであるマグネットとくっ付けることで実現することになりました。
子供の頃に欲しかったもの、全部自分で作ってる(笑)。

ここまで来てやっと、少し自分だけのオリジナリティが出せたかな…?と思えるようになりました。

基本はフレームにセット

でも鉄製のものなら何にでも

ナミアゲハ

指環を使えば手乗り蝶も

こっちは本物の手乗りツマベニチョウ


指環のリュウキュウアサギマダラと、本物のイシガケチョウとタイワンキチョウ
イシガケチョウは、生きている本物もこのように羽を上下にギュンと開いて平たく留まります


次の段階として浮かんでくるのは、胴体まで種それぞれに忠実にリアルに作り込むことですが、これは現時点では「また別のお話」。
上記のように自由に取り外せることを前提とすると、触覚や長い胴体は強度面でのリスクがより上がってしまうのです。

まあ「別のお話」も、またタイミングが来たらするりと自然に取り組む流れがやってくるのではないかと思っているので(←おそらくお譲りはしない形で)、今はこの2パターンの蝶づくりが僕のミッション。慈しんで作らせていただいています。


作った全種類の標本/自然形の写真を並べたいところだけど(親バカ(T▽T))、それはくどいだろうと自粛。

ちなみに僕の作る標本は、標本の形ではあるけれど、可哀想だとは感じていません。
自然形と同じく、たぶん誰も見ていないところではパタパタ好きなように翔んでいて、人が来るとしれっと標本のふりに戻ってるんですよ、きっと(^m^)


お気が向きましたら、他の蝶たちも見てやっていただければとてもとても嬉しいです。



(※手作りの蝶たちはあくまでもオブジェ=壊れ物なので、強度はそこまで高くありません。連れ歩きの際はその点をご了承いただいた上、本物の蝶が留まっているようにいつも優しく気にかけてやってください m(_ _)m)




《BGM》
辻井伸行/Chopin アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22


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