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発声の悩み

歌うたいの悩みは複雑多岐に渡ると思います
ピッチ、リズム、ビブラート
姿勢だ、腹筋だ、丹田だ!
声量、音域、滑舌、いやそもそも声?

よく尋ねられる質問に
「ボイトレってしてますか?」
してますよ、と答えると
「した方がいいですか?」
と続きます。

するかしないか?問われれば
した方が良いとは思いますが
答える前に
シンガーとしてのゴールがどこなのか?
お尋ねすることもあります。

声は世界に唯一ひとつのあなたの財産です
結論からお伝えすると
「歌いたい歌」と「歌える歌」が
同じとは限らない
「教える人の技術」と「あなたの声帯」には
相性がある
ということに集約されると思います。

本日は私のボイトレ経験について
書いてみようと思います。
ごきげんよう✨
シンガーソングライターの
MILAミラ/魅羅緒みらおです( ̄^ ̄)ゞ

長文になってしまったので
初めて目次をつけてみました。
文字数7,600余です。お時間のある時にお暇つぶしにお読みください。


1.ボーカル教室

私は『ヒトカラ』という言葉が認知される以前から
ひとりでカラオケに行っていました。
出身地である北海道では、仕事の帰りに後輩とよくカラオケに行っていたのですが、上京して周囲にカラオケに行く人がほぼゼロで、それこそ宴会で嫌々歌わされるのがカラオケ、という雰囲気で。
幸い【採点ゲーム】など、ひとりでも結構楽しめるので、良い点数を出す!という自己満足で有意義に(笑)ヒトカラをしてました。

85〜92点、調子が良いと95点
一昔前の採点ゲームはピッチとリズムがある程度正確なら
高得点が取れたんですよね。
(今はAIが表現力まで判定するので、おいそれと人前で挑戦できない💦)

とある時期、声の伸びが悪くなって
思うような得点が取れなくなりました。

夜勤中、そんな話を後輩としていて
「あ、これいんじゃないですか?」
後輩がたまたま郵便受けに入っていたタウン誌を持ってきたといい、そこにボーカル教室の体験レッスンの記事がありました。

効果があるかみてから決めればいい、そんな軽いノリで受けに行きましたが、トレーナーさんのアドバイス通り歌うとスラスラと歌える!
効果を実感し、正式にレッスンに参加することにしました。
個人レッスン、グループレッスンがありました。
ボーカル教室主催でカラオケ会や大きな会場・ライブハウスをレンタルした発表会もあり、それなりに充実していたと思います。

しかし、ある時点で気づいてしまったのです。
レッスンを受けた曲は上手に歌えて、受けていない曲はそれほど上手く歌えていない。それは自分だけでなく、他の生徒さんたちにも同じことがあてはまりました。
ボーカルレッスンという言葉に定義があるかは判りませんが
「歌がうまくなった」のではなく
「その曲をうまく歌う歌い方」を習っていたと気づきました。

・カラオケで十八番の曲を恥ずかしくなく歌える
・自分が気持ちよく歌えている実感がある
もし歌うゴールがここなら
ボーカルレッスンで充分満足できたのだと思います。
しかし、わたしは欲が出てしまっていたのです。

2. 音楽事務所とワークショップ

わたしは主にアニメソングを好んで歌っていました。
単純にアニメが好きだから、というのもありましたが
アニメの主題歌=アニメソングという【カテゴリー】なので
演歌もあるし、ラップもある。ポップスもロックもある。
異なるジャンルの曲を歌いこなせるようになる、
実力が試される【カテゴリー】と勘違いしていたと思います。

ひとりカラオケをしていたときは得点こそが評価でしたが、ここで転機がふたつ、訪れます。

ひとつめは【商業ライブ】
お友達の弾き語りライブを聞きに行ったライブバーで「ボーカル教室通ってるの?ここで歌ってみない?」と誘われたこと。
丁度アニソンカバーライブの企画が進行していたところに、鴨葱カモネギで来店!という具合で、バーで歌うことになりました。
アニソン好きの出演者、お客様!
特殊な盛り上がり方をしてました(笑。
拍手がうれしくて、もっと上手くなりたい!もっとたくさんの人の前で歌いたい!と欲望が膨れていきました。


ふたつめは【音楽事務所】
バーライブのことをブログに書いていたら、都内の某音楽事務所からDMが来て「事務所のオーディションを受けてみませんか?」と声をかけていただきました。
プロになりたい、とかそういうのはあまりなかったのですが、ボーカル教室のレッスンに限界を感じていたときだったので、事務所で専門的なボーカルレッスンを受けられると聞いて、その詳細を聞きたくてオーディションを受けました。
ボーカル教室とは違って、
筋力づくり、声量増強のボイストレーニングの他、ソルフェージュ、音楽理論、作詞・作曲の講義、ダンスレッスン…
いい声、いいパフォーマンスの為のレッスンが揃っているということで、期待が高まります!
ボーカル教室を辞めて、【事務所】の研修生として所属させていただくことにしました。

事務所所属と云っても【研修生】扱いですと、レッスンに明け暮れる日々で、歌の仕事は来ません。看護師のお仕事も並行しておりましたので、時間にも制約がありました。
事務所主催のライブ等はノルマ自腹で正直、金銭的にも精神的にも切迫していきました。
アニソンシンガーを目指して、ハリのある声を出すための訓練を続けたわけですが、思ったように声がでない、逆に出にくさ感が悪化していました。

そんなとき、事務所主催のライブでお世話になったライブハウスで、2日間のシンガー向けのワークショップが開かれているのを見つけました。

ライブハウスのオーナーは強面でしたが、はっきりとした物言いでアドバイスをくださるので、悩んでいるならセカンドオピニオン…いや、医者じゃないんですけど、第三者の意見を聞いてみるのもいいかもしれない、と思ったんですよね。
(これが今の師匠です)

ワークショップは2人の先生がおられて、歌唱方面のアドバイスをくださった先生が「本当にボイトレ受けてるの?それ、君の声帯に合っていないから辞めた方がいいよ」と仰いました。

事務所では個人カルテに基づき、クリアしたら次のレッスンに進む仕組み。
わたしは(諸事情割愛しますが)目指していたアニソンシンガーは辞めて、鍵盤弾き語りシンガーソングライターを目指すことになりました。
路線は変わったのに、レッスンの内容は変わらない。
ここに疑問を持ちまして。

ワークショップの他、体験入学やら、カラオケ会社のキャンペーンやら、いろいろなボイストレーニングを受けまくりました。
どの先生のアドバイスも珠玉のご指摘!なのですが、自分が出したいと思う声には至りませんでした。

音楽事務所とは諸々ありまして退所。
けれど音楽は続けたかったのでどこかで歌を習いたい!
かつてワークショップを受けたライブハウスでアーティスト育成のレッスンが受けられると聞き、ワラにもすがる思いで門戸をたたきました。

3. 声帯のストレッチ

シンガーソングライターということは、作詞、作曲、歌唱をする訳ですが、このうち、作詞に関しては、事務所所属中に良い講師に恵まれまして、その時のテキストは今でもバイブルにしております。

ライブハウスの育成レッスンでは
・ソングライティング(作曲)
・ボイストレーニング
を受けさせていただいています。

さて、ボイトレレッスンの第1回目。
2日間のワークショップのとき
「本当にボイトレ受けてるの?それ、君の声帯に合っていないから辞めた方がいいよ」と仰った先生に習うことになった訳です。

先生に歌ってみてと云われて、
十八番おはこの曲、オリジナル曲を歌唱。
先生は少し時間をおいて
「どこまで極めていきたい?」
と質問されました。

は?どこまでってどういう意味?と首をかしげました。
「プロのシンガーとしてやっていきたいのか、アマチュアのシンガーで自分が楽しめればいいのか、カラオケで恥ずかしくなければいいのか。目標設定によって、教える内容が変わって来るんだよね」と。

この頃もまだ、プロになる!という強い意識はなく、
かといって、今以上に極めるとしたら、
プロを目指すことになるんだろうなぁ、と思いました。
でもま、言葉で「プロになりたいです!」と発することは出来なくて
「自分の声を磨きたいと思っています」と答えました。

「じゃ、ひとまずプロを目指すってことでいいね?」
先生にそう、念を押されました。
決意が半端なのを見透かされてたと思います。

続けての質問。
プロとアマチュアの違いって何だと思う?アマチュアにも歌の上手い人はいるよね?」
これには「お金が稼げる人がプロかな?」と答えて、先生に失笑されました。「歌の分野のことを聞いているんだよ」
先生からの正解は
・アマチュアで上手い人は、調子が良ければ上手く歌える人
・プロはどんなときでも、一定水準以上で歌える人
とのことでした。
今日は声の調子が悪くて。いつもならもっと歌えてるんだけどね。緊張して声が出なかった。…いろいろ(自分も含めて)歌に言い訳する人はプロではない、ということ。お金を得るからには(金銭が発生しないとしても)、聴いているお客様が満足・納得する歌を提供すること、これがプロ。

「プロを目指す前提で話すとね、君の声は悪い癖がつきすぎていて、多分直すのに6か月はかかると思う。最初は何をやらされているか、まったく理解できないと思う。もちろん、説明はするけれど、効果がでるには時間がかかるから、信じて6か月ついてきてくれる?6か月たったら、ある日突然、声が変わるから。君の声を一緒に探していこう

わたしは先生のその言葉を信じることにしました。
自己判断で何をやってもうまく行かなかった、けれど歌いたかった。
何より
「君の声を一緒に探そう」
という言葉が響きました。

それからのレッスンは、本当に、何をやっているのかわかりませんでした。半年間、ただただ先生の指示通り、声を出しました。
そして半年後。
本当に突然、声が変わったのです!

あ、なんか怪しい通販番組みたいになってますね(笑。

ボイトレの先生がやってくださっていたのが
声帯のストレッチ」だそうです。
内容は書けません(笑。
先生独自のメゾットなので。

先生曰く。
①最初のボーカルレッスンでかなり独自の癖がついていた
歌いたかった歌が男性ボーカルの曲が多く、特にラルク様、アジカン様、ガクト様、ときどきヒライケン様、それぞれ歌い方に特徴のあるボーカリスト様で、その癖をコピーしたことにより、他の歌でも無意識にしゃくったり、声をつぶしたりと歌に合っていない歌い方をしていた模様です。
②事務所で受けたレッスンは君の声帯では出ない声の強要だった
「事務所で行ったボイトレは、パワフルな声が出る声帯の人に行えば効果的かもしれないが、君の声帯はそういう声が出ない声帯なので、歌唱力は伸びなかった、むしろ声帯が疲弊していた。声帯にはそれぞれ向いている曲のジャンルがある。残念だけど、君の場合、パワフルなアニソンは無理なので、その方面は趣味として楽しむにとどめた方がいい。君の声帯が出せる君らしいパワフルボイスを育てていこう」とのご助言。

冒頭に書かせていただいた結論
「歌いたい歌」と「歌える歌」が
同じとは限らない
「教える人の技術」と「あなたの声帯」には
相性がある

あなただけの声帯。
骨格も性別も筋力も、ひとそれぞれ。
リズム、ピッチ、活舌、音域、それらは訓練で伸びることはありますが、歌えるジャンルは必ずしも希望通りとは限らない、ということ。
そして、自分に合う「ボイストレーニングのメゾット」を選択することも大切といえるようです。

ちなみに音域ですが
上には伸ばせますが、下は限界があるとこのこです。
低音はギフト」というのだそうです。
これは声帯の長さに関係していて
女性より男性の方が長く、高身長の人の方が長い、という傾向にあるそうです。音域を広げたい方は、高いほうの拡張を視野に入れた方が良い、低音を伸ばす場合は、専門家と一緒がおすすめとのことです。


4. オリジナル曲の威力、そして

ここからは発声に関してはオプション的なお話になります。
蛇足です。個人の感想です(笑。

ライブ、オープンマイク、カラオケバー…
いろいろなところでいろいろな方のお歌を聴く機会がありますが
あ、この人いいなぁと思った方は
オリジナル曲をお持ちの場合が多いです。

カバーライブをしている時
オリジナル曲をお持ちの方が羨ましかったです。

誰かに作ってもらったという方もいれば
ご自分で作ったという方も。
でも、オリジナル曲をお持ちの方全てが
歌がうまいなぁという訳でもなく。

オリジナル曲を作り始めた頃のこと
観に行った友人(シンガーソングライター)のライブに
元劇団四季の役者さんがゲスト出演されていたのですが
その方のお言葉が印象的でした。

「僕は彼(私の友人)のことが羨ましい。
僕は有難いことに、大きな舞台でたくさんの賞賛を
いただくことが出来たのだけれど
それは表現者として【1】から【10】を創る事に
努力をしてきたにすぎない。
けれど彼は【0】から【1】を創っている。
同じ≪創る≫に見えて、全然違う。
根っこの部分で≪創る≫人にはかなわないと思う。
彼は創造者であり、表現者である
それが本当に羨ましい」

名前を聴けは「ああ」と多くの人が頷く有名な方でした。
一流アーティストのリップサービス
…だったのかもしれません。でも
童心にかえったようなキラキラした瞳で
話されていました。


わたしは曲を作る事自体が好きなので
シンガーではなく
クリエイター側になろうと考えていました。
歌唱印税より作詞作曲印税の方が歩合高いですし。
(浅ましい)
オリジナル曲を作り始めたのは
事務所に籍を置いていたころで
「クリエイターもいいけど、作った曲をどう歌うか
シンガーに指導する力も必要だ。
まずは自分がシンガー活動を経験した方がいい」
と事務所の社長にだまされて
シンガーソングライターになったのです!
今ではこのことをMCのネタにしてますが
創って歌う活動を続けて
これは真実だったなぁと思います。
(今でもクリエイター志望は変わりませんw)

プロのシンガーさんが歌うと同じ歌でも違う曲に聞こえる
という経験は皆様、お持ちだと思います。
勿論、アレンジや音階の違いもありますが
「コピー」ではなく「カバー」という言葉を使いますよね。

①プロの歌を聴いて覚えて真似て上手に歌う;これはコピー
②既に発表された曲でも自分の解釈で自分らしく歌う;これはカバー
③誰も歌ったことのない歌を歌う;これはクリエイト≪創造≫
後者ほど、表現力を求められていると云えると思います。

メジャーデビューされているシンガーさんの歌も
必ずしも≪創造≫ではないこともありますね。
「仮歌」といって、曲を試験的に歌うシンガーさんも
いらっしゃいます。
「仮歌」を歌った曲がそのままメジャー契約になり
メジャーデビューとなるケースも稀にあるそうです。

発声とは直接関係ないかもしれませんが…
自分で作った曲が歌いにくいこともあります。
特に初期に作った曲は💦
メロディと歌詞
頭の中ではうまく鳴っていたものが
リアルに落とし込むと
解剖学的に難関なことがありました。
メロディに歌詞を乗せたとき
メロディの高低差と、
発音を司る口のかたち主に口唇と開口速度や角度)が
解剖学的に「動かすの無理!」っていう状態も
起こり得るのです。
歌詞は歌ってみないとわからない
曲先で詞をあとからつける商業曲では
作詞家さんの技量が問われます。
ここはシンガーソングライターは有利とも
云われています。
歌いにくかったら自分で詞もメロディ変えちゃえるのですw

ある意味、ボーカロイドというツールは強いですよね。
解剖生理は関係ないので
高さも発音も設定次第、自由に当てはめられる。

生の歌も、レコーディングした歌も、ボカロも、
それぞれの世界観があって良さがあります。
だから、生が最高!という訳でもないし
人間が最高!という訳でもない時代になったと思います。
ボーカロイドに人間のように歌わせる技術も上がっていているので
そのうちVシンガーとは異なる
AIシンガーみたいなものも当たり前になって来るかもしれない?

それでも、≪人≫が歌うとき
メロディやリズム、歌詞の意味、
それだけではない何かをも歌声に乗せていると思います。

音が外れているのに
聴いていると楽しくなる歌い手さんも居ます。
ラップというジャンルもあります。

【0】から【1】へ創造する人が居て
【1】から様々なカタチ(表現)に想像する人が居て
そのどちらも楽しむことが出来る
人(または機械)の声や作品がそれぞれの個性であると同時に
受け取る人の感性も個性であり
音が人の身体に入る瞬間
≪その人フィルター≫的なもの
(いわゆるATフィールド)を通過して
創り手が創造(想像)したのもとは別のカタチ(表現)となって
その人の身体に組み込まれていく。

音楽とはそういった【変化する】生き物なのだと
思っています。

だからゴールが無くて
果てしなく楽しい。

創造は模倣から始まる
という先人の言葉もありますね。
誰かの真似ではない自分らしさを見つけるためには
まず他人を知らなければならない。
斬新なアイディアに見えても実は
過去に見た先人たちの作品をどこか模倣している。

試行錯誤をしているうちに
ああ、自分はこんな感じが好きなんだなと分かる。
その好きを突き詰めた先に【0】から【1】になる瞬間がある。

発声については
ある程度メゾット化されているので
自分に合うメゾットを探し、コツコツ努力すると
昇格していくと思います。
そして、技術を磨ききった先に
「さて、自分とは何ぞや」という
訳の分からない謎の壁が出現します。
いや、私の場合、出現しました!というのが正しいかな?
【1】~【10】が逆に【0】になる、ような?
そこで一気に景色が変わりました、とだけ
お伝えしておきます。


もうひとつ、大切なことがありました。
それは【第3者の耳】を持つこと。

自分自身に聞こえている声と
他人が聞いている自分の声が違うことに
いつ気が付きましたか?

そう、生涯、他人が聞いている自分の声
自分が聞くことはできないのです。
今は精度の良い録音機器もありますので
近いものが聞けるかもしれません。
でも、機械は「今日の声、疲れてるね」とは
云ってくれません。

あなたの声をジャッジしてくれる専門家の耳。
プロであるほど
これを大切にしていると云います。
ボイストレーニングは
歌がうまく歌えるようになったら終わりではない
声を維持する指標を持ち続けることも
必要だと思う次第です。


以上、プロを目指す前提でレッスンを受けてきた
シンガーソングライターのつぶやきでした(*'ω'*)
長文にお付き合いいただきまして
ありがとうございました。


どんだけの声を出すんじゃい?と
気になった方はこちらから(録音ですけど笑)↓↓↓


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