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ウイングアーク1stの「リファラル採用」とは(前編)

こんにちは。Talent Attraction & Acquisition部の新米パパ、ミナミです!
いつも採用広報ブログを読んでくださりありがとうございます。

毎週、当社の様々なニュースをこのブログで発信していますが、今回は私たちTalent Attraction & Acquisition部のメインミッションである人材獲得(採用)に関する内容です。テーマは、古くて新しい採用手法、「リファラル採用(社員の知人紹介による採用)」について取り上げたいと思います。


はじめに

トレンドとしてのリファラルと執筆動機

リファラル採用は、手法としてはそれほど新しいものではありませんが、昨今では、ソーシャルでの求人情報収集の一般化や、採用活動のダイレクトリクルーティングの進展という大きな流れの中で、再注目されています。

特に高度専門人材については、人材獲得競争の過熱化から、「現時点で積極的には転職を考えているわけではない」層、いわゆる転職潜在層へのアプローチの有効性に注目する企業が増えているといわれています。

リファラル採用に関しては、各社で様々な取り組みが工夫されており、ネットで調べられる限りでも、実に多くの事例を知ることができます。(試しに、noteの記事検索に「リファラル」と入れてみると、驚くほど具体的かつ有用な知見が得られます)

ところで、採用活動の目的には、採用「前」の成果(pre-hire outcome)と採用「後」の成果(post-hire outcome)があるとされています(*1)。リファラルについて調べていると、それらがしばしばまとめて紹介されていることに気づきます。

そこで、リファラル採用の効果について、採用「前」と「後」に分けて整理することを試みたいと思いましたので、当社の取り組みや実績を題材に、前編・後編の2回に分けて考察をお届けします!

ウイングアーク1stの採用について

当社は社員数約700名の会社ですが、昨年度100名を超える正社員採用を実現しました。今年度も中途採用だけでも約60名の採用を計画しており、優秀人財の獲得は、当社の今後のさらなる成長を目指すうえでの最重要経営課題の1つとして、経営陣の中でも共通理解が形成されています。先日も、経営陣による合宿で、丸1日は人事採用領域のアジェンダが議論されました。

また当社では、中途採用の採用決定者に占める、リファラル採用での決定は例年一定の成果が出ており、直近の実績は以下の通りとなっています。

当社中途採用の全採用決定に占めるリファラル経由の比率
2021年度:36%(11/30)
2022年度:30%(30/101)
2023年度:22%(2023年8月時点の数値。採用活動は現在も継続中)

リファラル採用に詳しい有識者の方には、「3割はすごい!」と言われました

中途採用の採用チャネル構成比率の推移は以下の通りとなっており、私たちTalent Attraction & Acquisition部としては、自社採用力を高めることを重視し、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、自己応募の比率を上げることに注力しています。

当社の直近3年度の採用決定チャネル比率(中途採用)

リファラルの採用「前」成果を考える

冒頭、採用活動の目的には、採用「前」成果(pre-hire outcome)と採用「後」成果(post-hire outcome)があるという整理を紹介しました。具体的に採用「前」成果とは何を指すのでしょうか?引用元の書籍(論文)では以下のように説明されています。

雇用前の成果とは、自社の募集に応募した人数や質、多様性などである(Breaugh and Starke, 2000, p.409)。

出典:『日本企業の採用革新』服部泰宏、矢寺顕良 (著) p.26

一般的に採用活動を振り返る観点として「数と質」というのはよく言われるので、納得感のある整理だと感じます。以下、リファラル採用について採用「前」成果を具体的に考えてみます。

①:数と質の観点

「数」の観点では以下が考えられます。

  • 現時点では転職を検討していない層(転職潜在層)へのアプローチも可能となり、募集のチャネルが拡張する

  • 現時点では採用につながらなくても、候補者の方と中長期的につながり続けることで、いざというときにお声がけできる「未来の候補者様」になる

実際に、当社におけるリファラル入社の事例でも、「(当初は)積極的に転職しようと思って動いてはいなかったが、思わぬ縁で入社することになった」という話も社内で多く聞きます。

他方「質」の観点では以下が考えられます。

  • (一般的に)他の手法よりも、選考に合格する可能性が高く、内定を承諾する可能性が高い(*2)。

実際に当社においても、「人材の推薦→採用決定」の転換率について、リファラル経由は他の採用手法と比較し、約18倍高い結果となっています(当社22年度実績)

この理由は、社員が知人などを紹介する際、「自社に合っているか」を考えて推薦するため、リファラル採用という制度そのものに、高精度なスクリーニング機能が内包されていると考えられています(*2)。

推薦から採用決定の転換率に関する、人材紹介経由とリファラル経由における比較
(当社22年度実績)

質の観点に関してもう1つ重要な点があります。

  • すでに内部で働く社員が、候補者と企業の間の情報の非対称性を低減させるため、ミスマッチを抑制できる。

実際にリファラル経由での入社者の方からは、入社前に紹介者(社員)から色々と内部の話を聞けていたので、安心して意思決定できたという話もよく聞きます。労働市場には、求職者と企業との間に情報の非対称性が構造的に存在すると言われています(*3)が、採用担当である私自身の肌感覚としても、リファラル採用はこの非対称性を緩和する効果が確かにあると思います。

②:多様性の観点と求職者メリット

さらに「多様性」の観点だと、実際に当社内の実例として、「リファラルで入社された方が、別の方をリファラルで紹介してくれて入社する」ケース、言うなれば「リファラルのリファラル」も複数あります。なぜこれが多様性の事例と言えるかというと、一般によくあるのは前職の同僚を紹介するというケースだと思いますが、私の知っている社内事例だと、年齢も企業も業界も全く異なる形でのリファラルの連鎖になっているケースもあります。
この原稿を書いている最中に、まさかの「リファラル"の"リファラル"の"リファラル」という衝撃的な事例が生まれました!

ここまで、リファラル採用は企業側にとって採用「前」の成果という観点で優れていることが改めてわかりましたが、リファラル採用は、求職者と紹介者(求職者を紹介者社員)にもメリットがあることが知られています。

求職者メリット
・思わぬキャリアチェンジのきっかけをつかめる
・他の転職手段に比べて情報の非対称性が小さい
社員(紹介者)メリット
・自社のことを改めて考えるきっかけになりエンゲージメントが上がる
・一緒に働きたい人と働ける可能性がある

リファラルの「運用」を考える

当社のリファラル採用促進の取り組み

当社にも「リファラル制度」があり、冒頭述べた通り2022年度は中途入社者約100名のうち、30名程度がリファラルによる決定となっています。結果はある程度出ていますが、運用に関しては日々改善を続けています。

◆リファラル採用促進のための当社取り組み
1.制度内容の可視化
社内ポータルサイトに採用専用のページを作成し、「リファラル制度の目的と詳細」「紹介の手順」「募集ポジション」を記載し、いつでもだれでも見れる状態にする。
2.取り組みに関する社内周知
社内コミュニケーションに用いているチャットツール内で、採用専用のチャンネルを作成し、「リファラル制度の周知」「採用決定のお知らせ」「求人公開のお知らせ」「採用に関するコラム」を全社員に向けて投稿し、社内向けに採用活動の広報を定期的に実施。
3.紹介フローの整備
知人友人の方のご紹介フォームを作成し、必要情報をフォームより申請いただき、適切に管理。

一部を抜粋して紹介

「企画は易し、運用は難し」なリファラル採用

メリットの多いリファラル採用ですが、あらゆる企業で実施・成功されているかと言えば、現状「そうではない」というのが一般的な見方でしょう。

ビジネス上のあらゆる施策を「企画(=何をやるか)」と「運用(=どうやるか+実際に成果を出す)」に分けて考えるとき、人事領域はほとんどの場合「運用」がボトルネックになります(*4)。世の中の流行りの人事キーワードをとりあえず社内に取り入れようとしてみたり、他社の成功事例をマネしてみようとするとき、最も難しいのは実際にその施策を自社にフィットした形で運用に乗せ、成果を出すことです。

ある人材会社の調査によると、リファラル採用の制度を設けている企業は約3割、制度はないが紹介があれば選考はするという企業が約6割と、採用チャネルとしてはほとんどの企業に存在することがわかります。しかし同調査によれば「うまく運用されている」という企業は4割にとどまります。

そういう意味では、リファラル採用は「企画は易し、運用は難し」な施策なのかもしれません。これからの人材獲得部門には、自社にとってベストな運用を構築し、それを結果に繋げる力がより求められると思いました。

リファラル採用で最も大切なこと

ここまでリファラル採用のメリットや制度内容も含めながら、当社の状況をお伝えしてきましたが、リファラル採用は、全社を巻き込んだ推進が必要不可欠です。そしてそのためには社員が自社を信頼し、共感し、一緒に未来を創っていきたいと思っているかどうかが重要です。

ウイングアーク1stではこれから入社してくださる方、そして社員の皆さんが納得して、気持ちよく働ける環境づくりを心掛けています。

もし、当社にお知り合いがいる方でご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお声がけください!後編もお楽しみに!

「前編」の参考文献
*1:『日本企業の採用革新』服部泰宏、矢寺顕良 (著)
*2:『人と組織の行動科学』伊達洋駆 (著)
*3:『非対称情報下の労働市場におけるシグナリングに関する動学的考察』野中康生
*4:『トップ企業の人材育成力 ヒトは「育てる」のか「育つ」のか』北野唯我 (編著)

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