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スウェーデンのコンサルタントが教えてくれた「MECE」を使う本当の意義

僕が今留学している大学は、ビジネススクールということもあり、様々な有名企業と提携したワークショップがかなりの頻度で行われている。

学校の入り口にも企業のロゴがずらりと並んでいるのだが、特に多いのがコンサルファーム。BCGやpwc、ADLなどなど。なんとこの学校の卒業生の50%はコンサル業界に就職するのだそう。コンサル人気は日本だけじゃないらしい。

僕も先日、ローランドベルガーが主催する2時間ほどのケース解きのワークショップに行ってみた。そのワークショップの冒頭で日本でもよく聞くMECEの解説があった。

MECEという概念は知っていた。ただ、それは就活で面接を通過するために必要になるかもしれないフレームワークの一つぐらいの認識しかなかった。 

「MECEがなぜ大切か」「MECEがどのようにコンサルの実務で活きてくるのか」

このようなことは考えたことがなかった。今回のワークショップでは、MECEを使う本当の意義について考えさせられるいい機会になったので、書き留めておく。ご指摘などあったら教えて頂きたいです。

まずMECEとは?

MECEとは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略語だ。各要素がそれぞれ独立しつつ、全体を網羅している「もれなく、ダブりなく」(“No gaps, No overlaps”) の状態だ。

このワークショップでは冒頭のアイスブレイクとして、次のような問題が出された。

Q. 次の9つの言葉をMECEになるように、分類しなさい。

1. Soda (炭酸水)
2. Potatoes (ポテト)
3. Balloons (風船)
4. Lamb (ラム肉)
5. Hats (帽子)
6. Fireworks (花火)
7. Cream (クリーム)
8. Wine (ワイン)
9. Champagne (シャンパン)

あなたならどう考えるだろうか。

「食べ物」と、「飲み物」である程度は分類できるだろう。でも残りの「風船」「帽子」「花火」はどんな共通点があるか…。共通点が思いつかないということはそもそも切り口がスマートじゃないのか…。とか考えつつ、どんな答えを出してくるのだろうとプロコンサルタントの切り口を待っていた。

彼の答えは次のようなもの。

全体を「新年会に必要なもの」(shopping for new years party)と位置付け、「飲み物」「食事」「デコレーション」の3つに分類。

「飲み物」として「Soda」「Wine」「Champagne」
「食事」として「Potatoes」「Lamb」「Cream」
「パーティ装飾」として「Balloons」「Hats」「Fireworks」

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「今から新年会のための買い出しをします。主に必要なものは、『飲み物』と『食事』と『デコレーション』です。『飲み物』は具体的に〜〜が必要で、『食事』は〜〜が必要で、・・・」

確かにこのように説明されたら、一貫したストーリーがあって分かりやすい。ただ9つの物をリストアップされるよりも覚えやすいし、全体を把握しやすい。

ここからが本題だ。なぜこの考え方が大事なのか。

「MECE」を使う本当の意義①:説得力が増す

MECEを使う一つ目の意義は、説得力が増すことだ。コンサルタントの仕事は、主にクライアントの課題や悩みを解決すること。どんなに頭が切れるコンサルタントが難しい言葉を使って説明しても、理解して納得してもらえなければ仕事にならない。

MECEが本当に力を発揮するのは、プレゼンテーションの時だ。

上の例をとって説明してみよう。
あなたが新年会のおつかいを頼まれたとして、

「新年会の準備に必要だから、炭酸水、ポテト、風船、ラム肉、帽子、花火、クリーム、ワイン、シャンパンを買ってきて」

と言うようにただ羅列された要素を言われるのと、

「今から新年会のための買い出しをします。主に必要なものは、『飲み物』と『食事』と『デコレーション』です。『飲み物』は具体的に〜〜が必要で、『食事』は〜〜が必要で、・・・」

上のように綺麗に分類された塊として要素を言われるとで、どちらの方が買い忘れが起こりにくいだろうか。

きっと二番目の方なのではないだろうか。頼まれた方も、必要なものとしてしっかり「飲み物」「食事」「デコレーション」と新年会に必要(であろう)ものが分類されているので、「他に新年会に必要なものがないか?」と悩まずに済む。

つまり、MECEを使って全体の大きなテーマを見せてから、中ぐらいの分類を見せることでクライアントは自然とプレゼンについてこれる。また、プレゼン中に疑問に感じるポイントも少なくなるだろう。結果的に、プレゼンの内容に納得する確率が高まる。

これが一つ目の意義だ。

「MECE」を使う本当の意義②:仕事効率化につながる

二つ目の意義。それはMECEを使うことで仕事の効率が上がることだ。ワークショップではこちらがかなり強調されていた。

実務において、一つのプロジェクトやクライアントを一人のコンサルタントが担当することはまずない。だいたい4~5人のチームで一つのプロジェクトに取り組む。

ではどうすれば、チーム内で効率よく課題に取り組めるのか?

実際の仕事では、大概パートナーやチームリーダーが最初に一つの大論点をMECEを使って、「もれなく、ダブりなく」分類するという。そして分類された中論点をチームメンバーに振り分け、各々が調べたものを合わせることでチームはシナジーを発揮できる。

この時に綺麗にMECEとして、課題が分類されていないと複数人が同じ問いに対して別々に答えを探している状況や、そもそも一人一人に仕事を分類できない状況におちいってしまう。

上の例を取ると、MECEがしっかりできてないと、「買うものが多く、一人では買い出しができないので分担したいが、買い出しの分担ができない」「二人の人が必要以上にワインを買ってきてしまう」という状況が生まれる。

このような状況になっては、せっかく個々の能力は高いのにチームになってしまうことで非効率が発生し、生産性が落ちてしまう。

だからこそ、チームの生産性をあげるためには、MECEになるようにクライアントの課題を分類するのが大事なんだと。

それぞれが自分の仕事に対するアウトプットを集中してできる環境を作ることも、一つのMECEの意義だというのだ。

この発想は新しかった。

Tsubasa

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