見出し画像

呼吸器系の「基礎」

ここまでの復習

循環器系は物流システムだと言いました。そして、その物流システムに乗っている資源やゴミの流れをものすごくざっくりと説明しました。

これらを運ぶのは「血液」ということになりますが、いわゆる「血液内科」的な血液の仕組みについてはまだまだ触れません!ヘモグロビンが酸素や二酸化炭素を運んでいる。そこまでで十分です。

循環システム(血液)をクリーンに保つシステム①ガス担当

細胞にとって酸素が不可欠なことは繰り返し述べてきたつもりです。もう少し知りたい方は、最下段にリンクを貼っておきますのでご覧ください。

この、血液に含まれる酸素の量(ものすごくざっくりな言い方をしました)を調整しているのが「呼吸器系」です。また、あちこちの細胞がこの酸素を燃やすことで「二酸化炭素」というゴミが出ます。これも酸素と同じく「ガス」なので、呼吸器系で排泄されます。**呼吸器系は、「血液の中のガス成分」をキレイに保つ役割がある**、ということをまず押さえてください!(正直、まずはこれだけで十分、と言いたいくらいです。)

「内呼吸」と「外呼吸」

実は、用語がややこしいのですが、ここで2つの「呼吸」というワードについて説明させてください。実際に、わたしたちがイメージするような「肺を使った呼吸」のことを「外呼吸」と呼んでいます。ではいったい「内呼吸」とはなんなのか?これは、「細胞レベルで酸素と二酸化炭素を交換すること」なのです。

呼吸器系でクリーンにした血液が、あちこちの細胞に行き渡ると、そこで細胞は自分の欲しい酸素を引き抜き、ゴミである二酸化炭素を血液に放り出します。この細胞レベルでの酸素と二酸化炭素のやりとりが「内呼吸」なのです。体内の細胞たちが呼吸しているイメージで「内」呼吸だと思ってもらって構いません(覚えれたらOK)。

「外呼吸」も「内呼吸」も「拡散」という原始的な方法で交換が起きている

これら、肺や組織で起こっている「酸素と二酸化炭素の交換」なのですが、実は結構原始的な方法で行われています。それは「拡散」という方法です。医学用語が出てきたので「うわっ」と構えてしまった方もいらっしゃるかも知れません。大丈夫です!ものすごくざっくり説明しますよ!

キレイなものと汚いものを混ぜたら、時間と共に両方が混ざり合って、全体として中くらいの汚ささになっていく」というものすごいシンプルな現象のことを言います。

われわれの吸っている空気はキレイです(キレイだと断言できないかもしれませんが、キレイということにしておいてください!相対的に、ということです)。一方、我々の静脈「血」は細胞が「資源」を抜き取って「ゴミ」を出した後の血液なので汚いです。

この静脈血が肺に流れてくると、キレイな空気と出会います。厳密に空気と血液は混ざり合いませんが、キレイな空気との間で「酸素が多いほうから少ないほうへ」「二酸化炭素が多い方から少ない方へ」という動きが起こります。これが、肺で酸素と二酸化炭素を交換する、ということです。「交換する」とまるで自主的にやっているように思いますが、単に、濃い方から薄い方に流れている、というだけだと思ってください。これを「拡散」とカッコよさそうに言っているだけだと思ってください。

わたしたちが自主的にやっている(つもり)なのは「換気」

では、私たちが呼吸器系を使って自主的にやっているつもりのこの「呼吸」とは何なのでしょうか?これを「換気」といいます。これはイメージしやすい言葉ではないでしょうか?

たとえば、室内にカメムシが入ってしまい、何とか退治に成功したとします(もしくは、誰かが部屋の中でオナラをしてしまったとします)。室内は臭いで充満しますよね。このとき、窓を開けて「換気」すると思います。そう、部屋の中の「汚い(?)空気」を外に出して、部屋の外の「きれいな空気」を中に入れようとしますよね。このとき、「はやく臭いから解放されたい!」と思ったらどうしたらいいでしょうか?たとえばわたしだったら、窓の近くに扇風機を置いて、できるだけ早く中の空気と外の空気が入れ替わるようにします。

では、私たちの「肺」ではどうしているのでしょうか?肺では「外呼吸」により、常時、肺の中(「肺胞」の中)で二酸化炭素が溜まっていき、酸素が減っていきます。この放っておくとドンドン汚くなる「肺の中」の汚い空気をできるだけ多く外に出して、また新しい「外のキレイな空気」を肺の中に入れたい。そのために、われわれの肺は、「風船」という仕組みになっています。伸縮自在な風船を大きくしたり小さくしたりすることで、肺の中の空気を積極的にキレイにしています。これが「ヒトの換気」です。

「肺」を間接的に膨らませたり縮ませたりする「胸郭」

中学の理科の実験を覚えていますか?

「肺」を模した風船を縮ませたり、膨らませたりする実験です。

肺も、実は自力で伸びたり縮んだりできるほど筋肉質ではありません。先ほど述べた「拡散」が起こりやすいよう、とっても薄いつくりになっています。そして表面積を増やすために「肺胞」という(肉眼では見えないくらい)ものすごく小さな粒々に分かれる構造になっています。要するに、ペラッペラなのです。

だからこそ、この理科の実験のように、「肺の外の仕掛け」があるのです。この、肺を含んだ「胸」全体のこと、いわば「イレモノ」のことを「胸郭」といいます。

そして、図の黄色のゴムの部分に当たるのが「横隔膜」です。わたしたちが「息を吸う」とき、この横隔膜をグッとお腹がわに下げているのです(意識していないかもしれませんが)。この動きにより、息を吸うと、お腹が膨らむわけですね。この横隔膜の動きを強く意識して呼吸をすること。これが音楽の授業で先生によく言われた「腹式呼吸」の正体です。

「肺循環」と「体循環」

そろそろ「お腹いっぱい」な方もいらっしゃるかもしれません。最後に、これだけ説明させてください。

「循環器系」の中でも、肺に行って酸素を受け取り二酸化炭素を吐き出し(拡散ですね)、また帰ってくる。この部分のことを「肺循環」といいます。

できるだけ用語を少なく「呼吸器系」の役割について説明してきました。なんとなくイメージが掴めたら十分です!

これを読んだあなたが、「教科書を読む前にイメージをつかめ」たら、この記事を書いた甲斐があります!あなたの「スキ」をお待ちしています!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?