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虜になる循環の生理学②「循環」のみかた

 では、本書の共感した部分を抜粋して紹介しようと思います。もちろん、この記事を機に興味を持った方は、実際に読破してみてください!

共感ポイント① 循環 = 「A.酸素運搬」と「B.組織灌流」

 循環がうまくいっているかどうかを判断するのは難しい(裏返すと、「ショック(=循環不全)の認識も難しい)ので、

「A.酸素運搬」と「B.組織灌流」の2点がうまくいっているか考えよう

 ということです。そして、過去の記事を読んでくださっている方は強烈に納得していただけると思いますが、「酸素」の大切さは、どんな栄養素の重要性よりも大きかったですよね。

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 じゃあ、A. 酸素運搬がうまくいっているかはどう考えるのでしたっけ?これはICU管理をしないとピンと来ない方が多いかも知れません。できるだけざっくり紹介した記事が過去記事にあるので、時間があれば下の記事を参考にしてみてください。

 次に、B. 組織灌流がうまくいっているかはどう考えましょう?身体全体に灌流がうまくいっているかは、ざっくりいって「血圧」がちゃんとあるか?です。そして、適切な血圧、というのは残念ながら個人差・臓器差がありますが、低すぎず高すぎずにコントロールする、ということが大事ですね。これは「後負荷のコントロール」のところでも述べました。

 血圧は簡単に測定できるので、「B. 組織灌流」に関してはICUだろうが一般病棟だろうが、もちろん在宅の患者さんでも評価できますね。

 一方、「B. 組織灌流」は保たれていても「A. 酸素運搬」がうまくいっていない場合があるのが困りますね。血圧が保たれていてもショック(=循環不全)の患者さんがいるということです。
 ICU以外でこれを客観的に認識するのは難しいです。SvO2という客観指標がないからです。だからこそ、一般病棟でも患者さんをみるメディカルスタッフは、バイタルサインとセットで以下の3つの項目を観察する「クセ」をつけましょう。それは

 「脳」= 意識障害(特に興奮状態)
 「腎」= 尿量低下(もしくは濃縮尿に気づく)
 「皮膚」= (網状皮斑やCRT延長、冷たい末梢)

です。
 

まとめ(循環がうまくいっているかどうかを「感じ取る」)

 「患者さんの血圧がきちんと保たれ(もちろん他のバイタルサインも)、普通に会話が成立し、手足が温かく、尿量がしっかりあれば、循環はざっくりうまくいっているだろう」という考え方はアリなのです。

 バイタルサインの中でないがしろにされがちな「呼吸数」も意識してくださいね!「頻呼吸・努力呼吸に気づけるかどうか」も、医療従事者の「センス」だと感じています。本書に書いていないことまでつい語ってしまいましたが、共感ポイント1つめについて、語りました。
 興味を持った方は下記リンクからamazonに飛ぶこともできますので、どうぞ。続きは次の記事で語ります。



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