見出し画像

富久長 純米 八反草2020二年熟成「その爽やかさ唯一無二」

「ふくちょう」の「はったんそう」です。漢字、日本語は難しいです。先ず「富久長」は広島県の今田酒造本店さんのSAKE銘柄で、代表取締役にして製造責任者である杜氏を今田美穂さんがお務めになられています。今田さんは個人的にも二十年近く親しくさせていただいている、とても敬愛している御仁でして、2020年イギリスBBCが選ぶ世界に影響を与えた「100人の女性」に日本人で唯一選ばれた、日本が世界に誇る職人、クラフトパーソンでいらっしゃいます。今年2022年にはForbes誌が多分野において50歳を超えて活躍する女性50人「50オーバー50」アジア太平洋版にも選出されたばかり。

そういう訳で今田さん個人の素晴らしい評判の挙げるとキリがないほどですけども、ここでは重要視するのはやはりSAKEそのものです。
そして八反草、原料米の名前です。八反、八反錦というものは比較的知名度も高いかと思いますけども八反草は知名度でいえばマイナーです。それもそのはず、八反草は今田酒造本店さんが復刻に尽力した、一度は歴史が途絶えた古い酒米でして「富久長」でしか原料として用いられない、「富久長」においても唯一無二のアイデンティティーをもつ存在なのです。

八反草についての詳細や歴史は上記リンク先より学んでいただけると嬉しく思います。その八反草の存在が、このSAKEに接する際の豊かなスパイスになるのは確かでして、それでいて重要視するのはやはり原料米としてSAKEに与えるテイストです。


八反草は、例えるなら女性のマラソンランナーのような、非常にシャープで小柄、それでいて硬く引き締まったようなイメージがある酒米でして、味わいに豊潤さを演出しやすいものではないと感じています。なので個人的にはあまり高精米にせずに醸造する事で、スッピンの魅力、まるで大地を踏みしめながら駆け抜けるかのような素朴な心地良さが演出できるかと。今田酒造本店さんでは精米歩合違いで数種類の八反草のアイテムがありまして、個人的に70%精米歩合のこの純米酒を好むのは上述の理由があります。
その精米歩合から稲わらが感じられつつもバジルなどハーブのような爽やかなグリーンの印象があるアロマがあるのが八反草の特徴かと。団子など甘さのイメージは少なく、高精米ではなくとも引き締まった印象をキープできるのも八反草、そしてそれを理解して醸造する今田さんの技量の賜物です。ただ、単に爽やかなSAKEだったら高精米のアイテムの方が爽やかであるのは優位性高く、なので個人的に二年という少し熟成期間を取って、且つ常温帯で飲む事で爽やかな味わいの中に小気味良くSAKEらしく米の風合いがある複合的な魅力を狙って冬季にサーヴする事にしました。酒器がステムレスのチューリップ型グラスです。燗酒にしても幅広い温度帯で楽しめますし、その際は陶器にて。夏季だったら冷酒帯で白ワインにない爽やか味わいを求めてワイングラスで楽しむのも大いにアリでしょう。


よって、コストパフォーマンスが良いのでどの左党にもお飲みいただきたく、意を決して飲むのではなくカジュアルに接する事でこのSAKEが持つ心地良さをフラットに楽しめるかと思います。また甘さが少ないのでワインラヴァーにも互換性高くお楽しみいただけるかも。ボーダーレスな味わい、実にドリンカブルなSAKEです。ペアリングは白身のお刺身はベストなように思えまして、サラダチキンを使うような一皿にも。また広島県という事で、生の牡蠣にレモン果汁を垂らして合わせるのは鉄板でしょう。
7+/10p


≪富久長 純米 八反草2020二年熟成≫
株式会社今田酒造本店 広島県東広島市安芸津町


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?