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きき酒選手権2022~県予選と全国大会を経てのコツと練習法~

1.きき酒選手権大会とその参加へのハードル

日本酒業界には業界団体の日本酒造組合中央会が主催する全国きき酒選手権大会というイベントがあります。詳しくは下記の公式リンク先からどうぞご確認くださいませ。

簡単にいうと個々人のテイスティング能力を競うもので、業界人として酒造&酒販店関係者を除く人達が参加できます。基本的に各都道府県が予選を行なって代表の2名を決めて全国大会へ、というフローです(不参加の県もあるようで実際今回は32都道府県参加でした)。
さてさて、お読みくださっている方々は参加したいですか?
自分の周りでは、例えばノムリエと称してワインをソムリエのように味わいを探りつつあくまでもあくまで私的嗜好探求に終始する御仁や、クラフトビールの世界線ではひたすらにクリエイティブを探求していて共感性のある品質評価のプライオリティが必ずしも高くない御仁など、斯様な方々が多くいらっしゃいます。そしてSAKEでは感覚的な飲酒人口に対して「ただの飲兵衛ですから」と言って私的評価は行なっても客観的な品質評価を避ける方々が圧倒的に多いです。資格保有という点でも、非業界層で何かしらのワイン資格をお持ちの方々はポツポツといらっしゃいますけどもSAKEでは居なくはなくとも少ない印象です。因みにビール資格をお持ちの非業界の御仁は少なくとも自分は知りません。

上述のような情勢には感覚的に3つの理由があるように予想します。
①品質評価は難しい
②私的嗜好とは異なるものも多く経験しなくてはならない
③(主に時間的な)余裕がない

先ず①につきまして、これは一定の、しかもある程度沢山の経験を経なければならず、しかも独学であれば時間が掛かる事が多く誰かしらメンターを見つければまだしも、ただただ宴席で飲酒体験を積んで年齢を重ねてしまうと・・・色々とこじれる事もあるようです。。。何よりも、そもそも品質評価を求めない御仁もいらっしゃいます。その点に関しましてはまた私見がありますけども別の機会に。
次に②は誰もが皆様好まないでしょう所謂練習です、嗜好品ゆえに苦行に近いかもしれません。嗜好品くらいは可能な限り好きなものだけを探究したいという欲求は全くもって理解します。
そして③。飲酒年齢に達している皆々様は忙しいです。なるべく自己研鑽を本業に注ぎ込みたいのは当然で、趣味は趣味としてメンタルをリフレッシュしたりフィジカルをリラックスしたいものです。

以上、これらの①と②が直接的なテイスティング能力の醸成に繋がると考えている訳です、、、ですが、ここまで1000文字以上を綴ってきておきながら、実は今回のきき酒選手権大会というのは基本的には②を必要としないルールになっています。


2.嗜好順位法というきき酒ゲームルールとは?

きき酒と見聞きして多くの方々が「商品名が付いてないものを飲んで商品名を当てるなんてできない!」と仰るのですけども、元来きき酒はそういうものでもなく、ましてや当該きき酒選手権大会は嗜好順位法という審査ルールにて競います。詳しくは下記の画像をご覧ください。

3枚とも宮城県酒造組合より

つまりはマッチング、1回目に飲んだモノ達に順位をつけて、同じモノ達がランダムに用意されている2回目にも順位をつけて、そしてアナタのテイスティング能力が高かったら用意されたモノ達に対して1回目も2回目も同じ順位付けをしていますよね、というのが嗜好順位法です。これだと嗜好における多岐にわたる経験は必要条件にならず自らの嗜好感性のみをひたすらに磨き上げていればイケるゲーム、つまり優勝する事ができる大会なのです。因みに、基本的に参加費は無料でして(例えば宮城県大会は、県大会とはいえ仙台市の一つの会場で日時が設定されて行なわれますので仙台市から離れた御仁は各種コストが発生します)、それでいて上位入賞者には何かしらの景品が贈呈されますので圧倒的に御得かと。


3.コツと練習法

そういう訳で、御自身のテイスティング能力に一定の自信がある御仁は是非ゼヒ参加されてみては如何でしょうか?とお奨めする次第です。なお、自分が勤める酒場では、SAKEを銘柄ではなく品質でお奨めするようにしていますのでお越しになる御客様の多くは優に参加しても好成績を収めるのではないかと思っています。ここで基礎的なテイスティング能力の醸成法は述べませんけども、これから嗜好順位法で高得点を獲得するためのコツと練習法を、具体的に自分の大会当時使用したメモ用紙を公開しながらお伝えします。

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