見出し画像

ワインのスタイルに影響を与える醸造工程まとめ

こんにちは☺今日はずっとまとめてみたかった内容です。
皆さんはワインの赤/白/ロゼ/オレンジ それぞれどのような醸造工程を経ているのか、
そして同じ色のワインでもスタイル(風味やボディ、香りなど)に大きな違いがある要因は何なのか、ご存じですか?

ワインの勉強をする前までの自分はブドウ果皮の色素の違い!とばかり安易に思っていました。
しかし醸造の工程が決定的に違うのです。

下記の通り整理してみました!
 1. 使われるブドウの種類
 2. 簡単な工程
 3. ワインのスタイルに影響を与えるその他オプション

全てのワインに当てはまるわけではなく、メジャーな手段である点ご了承くださいませ。

1. 使われるブドウの種類

赤   黒ブドウのみ 
白   白ブドウのみ
ロゼ  黒ブドウのみが主(EU外では白に少量の赤を加えて造ることも)
オレ  白ブドウ

2. 簡単な工程 (必須な工程のみ記載)

★赤ワイン  
1. 黒ブドウを破砕除梗し、果汁に皮や種を漬け込む。
2. 果皮と一緒に果汁をアルコール発酵させる(色素とタンニンを共に抽出するため)
 ※発酵温度は20~32度(色素と風味とタンニンの抽出を助けるため温かい環境が必要
3. 圧搾

★白ワイン
1.白ブドウを圧搾し、果汁を抽出。
2.果汁のみ(果皮や種は含まれていない状態で)アルコール発酵させる。
 ※発酵温度は12~22度
3.瓶詰め

★ロゼワイン
1. 黒ブドウを絞って果汁を抽出。少し漬け込む。
2. 抽出された果汁のみをすぐに発酵させる
 (=白ワイン造りの要領だが黒ブドウを使用)

★オレンジワイン
1. 白ブドウを破砕除梗し、果汁に皮や種を漬け込む。
2. 果皮や種と一緒に果汁を発酵させる
 (=赤ワイン造りの要領だが白ブドウを使用)

3. ワインのスタイルに影響を与える 醸造に際しての主なオプション

果皮からタンニンと色素(赤・ロゼ・オレンジ)、香り成分をうまく抽出し、酸や糖のバランスをとることが要!

★全ての色のワインに共通★

①補酸、②補糖、③ブレンド、④ステンレス貯蔵、⑤オーク熟成、⑥オークチップの使用

~発酵前後~
①補酸 
➡ワインの発酵前(発酵中、発酵後の場合もある)に粉末の酒石酸(リンゴ酸、クエン酸などの場合も)を添加する作業。
目的⑴ 最終的なワインのスタイルを鑑みた味わいの調整
大量生産されるブドウは温暖・高温な地域で栽培されるため、酸味を十分に保てない場合が多い。
世界各地で一般的だがヨーロッパでは暖かい地域に限り認められている処理。
目的⑵ 微生物汚染のリスクをおさえる
酸が低い環境下 (高いpH下)では醸造中に微生物が繁殖し、望ましくないフレーバーが生じる。補酸によってpHを調整し、亜流酸の添加量を減らすことができる。

②補糖(シャプタリザシオン) 
➡発酵中または発酵前に破砕後のブドウにテンサイやサトウキビ由来のショ糖、濃縮マストや精留濃縮マストなどブドウ由来の糖を加える作業。
目的⑴ ワインのできあがりに合わせたアルコール強化
特に冷涼な気候でブドウの糖度が上がらなかった場合、生成できるアルコール量も少なくなり、最終的にボディが弱くなる。ワイン法で規定された最低アルコール度数に届かない、などの可能性をさけることが可能。
目的⑵ 十分な発酵時間を保つ
ブドウの糖度が低いと糖がアルコールに転化し終るスピードが早くなり(=発酵時間が短くなり)、果皮からのアロマの抽出が不十分になってしまう。

~アルコール発酵後~
③ブレンド
➡発酵が完了したワインを複数混ぜる作業
目的⑴ ワインのスタイルを構成する特定の側面(色素、ボディ、タンニン、酸味、風味など)を増強したり、バランスを調整する
目的⑵ 複雑性を高める
目的⑶ 一定のスタイルをつくる

~瓶詰前の熟成~
ステンレスタンクで貯蔵
目的⑴ 純粋な果実風味を持つワインを造る
一定期間オークで熟成
目的⑴ 粗いタンニンをなめらかにし、香辛料やトーストの風味を加える
ステンレスやコンクリートタンクにオークの樽板やチップを入れる
目的⑴ ステンレスの清潔に保ちやすい側面や、コンクリートの費用が安い側面をいかしつつ、オークのトースト風味を素早く付ける

★赤ワイン★

①房ごと発酵、②発酵前マセラシオン、③発酵後マセラシオン

~発酵前~発酵直後~
房ごと発酵させる
➡ブドウを破砕せず、酸素にふれない環境を造る作業
目的⑴ 酵母が関与することなく果肉の細胞内にアルコールが生じる(細胞内発酵)
目的⑵ 果肉の中で独特の果実のアロマが生まれる
炭酸ガス浸漬法 (carbonic maceration), 半炭酸ガス浸漬法 (Semi-carbonic maceration),房ごとのブドウと破砕したブドウを使う方法の3種類がある。

②発酵前の抽出(マセラシオン)
➡破砕後、果汁をしばらく果皮や種子と接触させたまま放置する工程。
目的⑴ 色素と風味成分の抽出

発酵後の抽出(マセラシオン)
目的⑴ タンニンの抽出
この段階では液体内にアルコールが存在するためタンニンが溶け出されやすく、抽出量が増える。飲みやすいスタイルを作る場合は望ましくなく、骨格を必要とする場合に少量のワインに施される。

★白ワイン★

①スキンコンタクト、②マロラクティック発酵の阻止、③マロラクティック発酵の利用、④澱との接触

~発酵前~
①スキンコンタクト(果皮浸漬)

➡ブドウ果汁を果皮と短時間接触させる工程。
目的⑴ 風味と感触を強める
果皮と種子由来のフェノール類が関係して厚みのある感触になるといわれている。アロマを形成している成分は果皮中に数多く、フェノール類がどれほどワインの香味を形成するかは断定できない。たいていの場合、酸化のリスクを避けるためこの作業はなされない。
※スキンコンタクトは一般的に低温で数時間で終わる点が特徴であり、赤ワイン醸造工程にあるマセラシオンは約2~3週間であるため浸漬時間が大きく異なる

~発酵中~
②マロラクティック発酵を阻止

➡ワインを冷やす、または亜流酸を加えることで発酵を意図的に中断させる工程
目的⑴ 酸味と第一アロマである果実の香りを保持する

③マロラクティック発酵を利用
➡発酵を自然に進める(意図的に阻止しない)
目的⑴ 酸味をやわらげなめらかさやバターのようなのこうなスタイルをつくる
アロマティックではない品種でワインにまろやかでクリーミーな口当たりを与える。ブルゴーニュ産のほぼすべての上質白ワインで利用される。

④澱との接触 (澱攪拌)
➡細かい澱の沈殿物を粉砕してワインと混ぜる作業
目的⑴ こくのあるまろやかな口当たりを与えるため


思っていたより長くなってしまいました!広く代表的なものを網羅できているのではないかと思います。ご参考までに☺

参考文献
・WSET level3 公式テキスト
・TANOSHII WINE
https://tanoshii-wine.com/chaptalisation/
・ソムリエ手帳~ワインのおすすめ知識~
https://wsommelier.com/note/2019/12/14/post-1385/
・家ワイン
http://iewine.jp/article/2805


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?