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新潟生産者訪問記 〜カーブドッチ〜

カーブドッチワイナリー

10/23、新潟にワインコーストを広げ、新潟にワイン造りの技術指導を行なっているワイナリー、カーブドッチさんの元へ行ってきました!

カーブドッチがワイナリーを立ち上げたのは1992年。
新潟の市街地から車で30分ほど行ったところ、海と砂に囲まれた場所に新潟ワインコーストは位置します。
新潟ワインコーストのワイン造りはカーブドッチを始め、フェルミエ、ドメーヌショオ、カンティーナ・ジーオ、ルサンクワイナリーと、5軒のワイナリーが軒並み今注目を集めている。
そんな新潟のこの場所でできるワインはどのような仕上がりになるのか、お話を伺わせていただきました。



併設レストラン・トラヴィーニュでワインの体験

新潟ワインコーストに到着し、まず併設のレストラン・Restaurant Travigne(レストラントラヴィーニュ)に伺わせていただきました。

こちらの食事では、カーブドッチの代表取締役・今井さんもご同席の下、ワインと食事を堪能させていただきました。

飲ませていただいたのはこちらの3点
・シャルドネ ブランドブラン ブリュット
・うみがめ(ソーヴィニョン) 2021
・ピノ・ノワール2019

シャルドネ ブランドブランブリュットは泡立ちがよく、柑橘系の香りがトップに上がり、
爽やかな酸味と、後味にほろ苦さやフレッシュな印象を与えるスパークリング。

うみがめは「どうぶつシリーズ」と呼ばれる、醸造家の掛川さんの趣味にはしったワイン達の通称。
自社農園のソーヴィニョン・ブランを使用した白ワイン。
濁りのある、無濾過無清澄のワインで、柑橘の香りと、潮風が感じられる、まさに「うみがめ」が連想できるようなワイン

ピノ・ノワールは、とてつもなく完成度の高い素晴らしいワインでした。
凝縮した果実の香り、スモーキーな硬質的な香り、程よい樽香。
味わいにもフルーティーさとまろやかなアタック、余韻の方に来る硬質的なほろ苦さ。凝縮感が感じられながら、バランスの素晴らしいワインでした。

料理はこちらのメニュー

・バターナッツのポタージュ
・カツオのニース風サラダ
・深雪もち豚のパン粉焼き 栗のピューレ添え
・ドライフルーツのクラフティ

どれも味付けが素晴らしくバランスが良くて、調理の丁寧さが伺えました。
特に新潟県の一軒の農家だけで育てられている豚肉・深雪もち豚のパン粉焼きは舌がとろけました、、、
肩ロースの部位がとてつもなく柔らかく、カリカリのパン粉での仕立てが最高でした。
ただの食べログでした。ぜひ食べに行ってください。


それぞれの料理と、ワインを楽しんだ後にはいよいよ見学。

カーブドッチツアーへ

食後には外に出て、実際にワイナリー内の見学を。

カーブドッチの持つ畑、
ワイン作りを行う醸造所、
ワインを販売する売店

それぞれ見学させていただきました。

いよいよ醸造設備見学!

畑を見学した後には醸造所と、貯蔵庫の見学をさせていただきました。

まずは、こちらのフローの見学
収穫→除梗→圧搾→発酵(タンク・樽へ投入)
実際の白ワインの醸造フローに沿って説明していただきました。

体験させていただいた中で印象的だったのは発酵前、発酵中、発酵後のワイン飲み比べ(正確には発酵前はワインと呼べないのだけど)。

発酵が始まる前のものはシャルドネ。アルコールが生成されていない分香りが上がってこず、しっかりとした甘みを感じる。

発酵中のものはケルナー。アロマティックな品種かつ、アルコールが生成されててきているので豊かな香りが感じられるが、飲み口には甘みがまだ感じられる。

発酵後に飲んだのはアルバリーニョ。発酵を終え、沈澱している酵母と共に寝かせるシュール・リーと呼ばれる工程を行っていた。酵母が活発に働いているからなのか、イーストのような香りと、海の潮風のような香り。飲み口もドライになっていて、糖分が発酵を終えてアルコールになっていることがわかる。

ここではなんと、醸造長の掛川史人さんが作業をしており、直接ワインについての話も聞かせていただいた。

この掛川さんが趣味で作っているという「どうぶつシリーズ」についての話も聞かせていただいた。
現在リリースされているスタンダードなキュヴェたちは、通常”品種名”を冠したワイン名で販売をしている。
対して、どうぶつシリーズに関しては、ワインのイメージを動物にたとえ、そのイメージのもと醸造を行っている。
自然環境のもと、栽培を行なっている以上、全てのブドウが完璧に仕上がることはないと言うのが現実だと話していた。
リリースしている品種以外にも、現在20種類もの品種を栽培しているため、このブドウたちをどう活用するかと言うのがワイナリーとしての仕事だと語る。

例えば、澱とともに熟成させて旨みを抽出する。
例えば、低温で発酵させることで果実がもっているアロマを引き出す。
例えば、無濾過無清澄でナチュラルなワインを楽しんでもらう。

その時々のブドウの状態に対して、適した醸造方法を行う掛川さんの話からは職人としての魂とも呼べるような熱意が感じられました。

タンクの見学を終えた後は、樽の貯蔵庫へ。
ちょうど、収穫を終えた時期でもあり、仕込まれたブドウは樽の中で発酵が行われていた。
ポコポコと音がする発酵中の樽に、熟成中の樽。輸入されたばかりの新樽。
それぞれの樽の中に眠っているワインたちはこの数年のうちにリリースされるであろうワインたち。

醸造工程の中で、発酵、熟成とそれぞれの段階でステンレスタンクと樽を使い分けるが、大きな違いがあるなら、空気との関わり方。
ステンレスタンクは密閉状態なのに対し、樽は緩やかに空気に触れ、呼吸させている状態。
空気に触れることによるメリットとして、緩やかに酸化を促すことによって品質の安定感とまろやかさが生まれ、味わいや香りにも複雑みが増す。

樽を使うと言うことは「樽の味付けをする」と言うことで、これはワイン自体が樽の味付けに負けないしっかりとした特徴を持っている必要がある。
樽を使われるのは主にカベルネ・ソーヴィニョン、ピノ・ノワール、シャルドネ、アルバリーニョなど。

貯蔵庫を見た後には、瓶熟成を行う保管庫の中へ

ここには、樽やタンク内で行われた熟成の工程の後、瓶詰めされたワインたちがさらに熟成される部屋。

普段、一般向けには解放されていないのだが、今回はご厚意で中まで見せていただいた。

基本的に、瓶に詰められた後、すぐさまワインとしてリリースされることは少ない。
瓶詰めされたばかりのワインはまだ粗く、落ち着かせる必要があるため、このセラーで管理される。
ここにも熟成中のワインたちが何千、何万本と言った単位でワインが保管されていて、圧巻の光景でした。
10月の仕込み中は、自社畑のみならず、各地の農家さんから葡萄が届くため、ワイナリー内は1年で一番場所が必要になる時期だと言う。

そんな仕込みの忙しい時期には、このスペースを利用して醸し中のポリタンクが置かれており、そこで聞いた話が非常に面白かった。

ポリタンクの中には、ブドウを絞った後の果汁と絞った後の果皮が入っており、果皮は浮いてきて果汁に蓋をしているような状態になる。
このタンク内に、棒を挿し、かき混ぜる行為をピジャージュ(櫂入れ)と言われるが、この行為によって、果皮の成分が液体に抽出され、ワインの成分になっていくと言う説明をいただいた。
このピジャージュという行為が、ポリタンクの中にどうやって櫂を入れるのかだけでも、香りの出方、味わいの抽出などが変わってくるそうだ。
醸造長である掛川さんはこういった所まで意識を張り巡らし、醸造を行っているのだという。

ワイン以外のお酒造り、

醸造所の見学を終えた後は、売店へ。

売店では、ワインだけではなくビールやシードルの販売も行っていた。
クラフトビールの新ブランド「CAVE D’OCCI BREWING(カーブドッチブルーイング)」は”ワイナリーらしいビール”をテーマにしており、ワイン醸造家がビール造りを行っている。
このビールの醸造をしているのも、20代の若手醸造家の方が担当しており、これまでのワイン造りにも携わっていた方がビール作りの責任者を務めている。

シードルに関しても、リリースし始めて今年で3年目になるそうだが、正直な所、これまでの2年間はそこまでうまく行っていなかったというお話もしてくださった。
しかし、年々醸造を続けていくにつれ、改善を積み重ねて、今年のリリースしたシードルは少量ながらも満足のいく出来になったのだという。

売店はその他にもマルシェ、ベーカリー、ジュエリーショップまで。
地元野菜の販売や、ヨーロッパから仕入れた本場の食材、パン工房で焼いたパンに、シャルキュトリーなど、様々な体験を与えられる施設になっていた。
カーブドッチを見学しての印象

カーブドッチワイナリーは、ワイン造りのみならず前述のようにレストランでの食事から、宿泊施設、マルシェでも楽しむことができる。
ウェディングも行っており、ワイン造りだけに限らず様々な事業で成功を収めているカーブドッチ。

ワインを世界に広めていく上で、観光とともにワインを楽しめる条件を作っているカーブドッチには正直圧倒されました。
実際、これまでのカーブドッチのワインの美味しさは感じていたし、新潟ワインコーストの他の生産者の皆産も個性豊かなワインを作っており、一つの産地として拡大し続けています。
日本が世界に誇る産業の一つとして、”日本ワイン”を作り続ける環境を知ることができる素晴らしい機会をいただきました。

今後も広がる新潟のワイン産地に是非注目してみてください。

カーブドッチワイナリー
https://www.docci.com/

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